【保存版】Qt GUIでリッチテキストを装飾する：QTextDocument::setDefaultTextOption()とスタイルシートの使い分け

QTextDocument::setDefaultTextOption()は、Qt GUIライブラリにおける重要な機能の一つであり、リッチテキストドキュメントのデフォルトテキストオプションを設定するために使用されます。このオプションは、ドキュメント内のすべてのテキストに適用され、フォント、テキスト配置、余白、行間隔などの書式設定を制御することができます。

詳細

QTextDocument::setDefaultTextOption()は、QTextOption構造体を受け取ります。この構造体は、テキストの書式設定に関する様々なプロパティを格納します。設定できるプロパティには以下のようなものがあります。

タブストップ: タブ文字の位置と間隔の設定
行間隔: 行間の高さの設定
余白: 左余白、右余白、上余白、下余白の設定
テキスト配置: 左寄せ、右寄せ、中央寄せ、両端揃えなどの設定
フォント: フォントファミリー、サイズ、太字、斜体などの設定

例

以下のコード例は、QTextDocument::setDefaultTextOption()を使用して、ドキュメント内のすべてのテキストを12ptのArialフォントで左揃えに設定する方法を示しています。

QTextOption option;
option.setFont(QFont("Arial", 12));
option.setAlignment(Qt::AlignLeft);

document->setDefaultTextOption(option);

利点

QTextDocument::setDefaultTextOption()を使用する利点は次のとおりです。

個々のテキストブロックに個別の書式設定を適用する必要がない
コードを簡潔に保つことができる
ドキュメント内のすべてのテキストに一貫した書式設定を適用できる

注意点

QTextDocument::setDefaultTextOption()は、ドキュメント内のすべてのテキストに適用されることに注意することが重要です。個々のテキストブロックに個別の書式設定を適用したい場合は、QTextCursorクラスを使用してテキストブロックを選択し、そのブロックに個別の書式設定を適用する必要があります。

フォントとテキスト配置を設定する

QTextOption option;
option.setFont(QFont("Arial", 12));
option.setAlignment(Qt::AlignLeft);

document->setDefaultTextOption(option);

余白を設定する

以下のコード例は、QTextDocument::setDefaultTextOption()を使用して、ドキュメントのすべての余白を10ピクセルに設定する方法を示しています。

QTextOption option;
option.setMargins(10, 10, 10, 10);

document->setDefaultTextOption(option);

行間隔を設定する

QTextOption option;
option.setLineSpacing(QTextOption::Percentage, 200); // 行間隔を200%に設定

document->setDefaultTextOption(option);

タブストップを設定する

以下のコード例は、QTextDocument::setDefaultTextOption()を使用して、ドキュメント内のすべてのタブストップを4文字間隔で設定する方法を示しています。

QTextOption option;
option.setTabStop(4);

document->setDefaultTextOption(option);

以下のコード例は、QTextCursorクラスを使用してテキストブロックを選択し、そのブロックに個別の書式設定を適用する方法を示しています。

QTextCursor cursor(document);
cursor.setPosition(startPosition);
cursor.movePosition(QTextCursor::End, QTextCursor::MoveAnchor);

// 選択されたテキストブロックを14ptのTimes New Romanフォントで中央揃えに設定
QTextOption option;
option.setFont(QFont("Times New Roman", 14));
option.setAlignment(Qt::AlignCenter);

cursor.setOptions(option);

個々のテキストブロックに個別の書式設定を適用する

QTextDocument::setDefaultTextOption()を使用する代わりに、QTextCursorクラスを使用して個々のテキストブロックを選択し、そのブロックに個別の書式設定を適用することができます。この方法の利点は、ドキュメント内のすべてのテキストに同じ書式設定を適用する必要がないことです。欠点は、コードが冗長になる可能性があることです。

例

QTextCursor cursor(document);
cursor.setPosition(startPosition);
cursor.movePosition(QTextCursor::End, QTextCursor::MoveAnchor);

// 選択されたテキストブロックを14ptのTimes New Romanフォントで中央揃えに設定
QTextOption option;
option.setFont(QFont("Times New Roman", 14));
option.setAlignment(Qt::AlignCenter);

cursor.setOptions(option);

スタイルシートを使用する

Qt GUIライブラリは、スタイルシートと呼ばれるCSSに似た言語を使用して、リッチテキストドキュメントの書式設定を指定することができます。スタイルシートを使用すると、デフォルトのテキストオプションだけでなく、個々のテキストブロックやキャラクターの書式設定を柔軟に制御することができます。この方法の利点は、コードが簡潔で読みやすくなることです。欠点は、スタイルシートの構文を習得する必要があることです。

例

QTextDocument {
    font-family: Arial;
    font-size: 12pt;
    text-align: left;
}

QTextBlock {
    margin: 10px;
}

QTextCharFormat {
    color: red;
    font-weight: bold;
}

カスタムフォーマッターを使用する

Qt GUIライブラリは、カスタムフォーマッターと呼ばれるクラスを使用して、リッチテキストドキュメントの書式設定を独自に定義することができます。カスタムフォーマッターを使用すると、非常に複雑な書式設定を定義することができます。この方法の利点は、高度な書式設定を可能にすることです。欠点は、実装が複雑になる可能性があることです。

class MyCustomFormatter : public QTextCharFormat
{
public:
    void formatText(QTextCharFormat &format, const QTextBlock &block, const QTextCharFormat &baseFormat) const override
    {
        // 独自の書式設定を定義する
        format.setFont(QFont("Times New Roman", 16));
        format.setForeground(Qt::red);
    }
};

// カスタムフォーマッターをドキュメントに適用する
QTextDocument document;
MyCustomFormatter formatter;
document.setDocumentFormat(formatter);