Qt GUIプログラミング: 画像, スタイルシートも思い通り！ QTextDocument::setDefaultResourceProvider() でリソース管理を極める

Qt GUIライブラリにおけるQTextDocument::setDefaultResourceProvider()関数は、ドキュメント内のリソース (画像、スタイルシートなど) の読み込み方法をカスタマイズするための機能を提供します。標準的なリソース読み込みメカニズムを置き換え、独自のロジックを実装することで、より柔軟なリソース管理が可能になります。

使用方法

この関数は、QResourceProviderオブジェクトをポインタとして引数に渡します。このオブジェクトは、QResource::getResource() メソッドを使用して、リソースへのパスを指定し、リソースデータを取得する責任を負います。

void QTextDocument::setDefaultResourceProvider(QResourceProvider* provider);

例

以下の例は、カスタムリソースプロバイダを実装し、QTextDocument::setDefaultResourceProvider()を使用して設定する方法を示します。

class MyResourceProvider : public QResourceProvider
{
public:
    QString getResource(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用してリソースパスを決定する
        // ...
        return customPath;
    }

    QByteArray readData(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用してリソースデータをロードする
        // ...
        return data;
    }
};

int main()
{
    MyResourceProvider provider;
    QTextDocument::setDefaultResourceProvider(&provider);

    // リソースを含むドキュメントを作成する
    // ...
}

利点

ネットワーク経由のリソース読み込みを処理できます。
リソースのバージョン管理をサポートできます。
リソースデータを暗号化または圧縮できます。
リソースの場所を柔軟に制御できます。

複雑なロジックを使用する場合は、デバッグが難しくなる可能性があります。
リソースの読み込みとデータの取得は、効率的に行う必要があります。
カスタムリソースプロバイダは、QResource クラスのインターフェースと互換性がなければなりません。

QTextDocument::findResource() 関数は、ドキュメント内のリソースを見つけるために使用できます。
QTextDocument::setResourceProvider() 関数は、個々のドキュメントのリソースプロバイダを設定するために使用できます。

#include <QTextDocument>
#include <QResourceProvider>
#include <QImage>

class MyImageProvider : public QResourceProvider
{
public:
    QString getResource(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用して画像パスを決定する
        // ...
        return customPath;
    }

    QByteArray readData(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用して画像データを読み込む
        // ...
        return data;
    }
};

int main()
{
    MyImageProvider provider;
    QTextDocument::setDefaultResourceProvider(&provider);

    // 画像を含むドキュメントを作成する
    QTextDocument document;
    document.setHtml("<img src=\"image.png\">");

    // 画像をレンダリングする
    QPainter painter(&document);
    painter.begin(&document);
    document.drawContents(&painter);
    painter.end();

    return 0;
}

例 2: リソースデータを暗号化する

この例では、カスタムリソースプロバイダを使用して、ドキュメント内のリソースデータを暗号化します。

#include <QTextDocument>
#include <QResourceProvider>
#include <QCryptographicHash>

class MyEncryptedProvider : public QResourceProvider
{
public:
    QString getResource(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用してリソースパスを決定する
        // ...
        return customPath;
    }

    QByteArray readData(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用して暗号化されたリソースデータを読み込む
        // ...

        // 暗号化されたデータを復号化する
        QByteArray decryptedData;
        QCryptographicHash::Hasher hasher(QCryptographicHash::Sha256);
        hasher.addData(encryptionKey);
        QByteArray hash = hasher.result();

        for (int i = 0; i < encryptedData.size(); ++i) {
            decryptedData[i] = encryptedData[i] ^ hash[i % hash.size()];
        }

        return decryptedData;
    }
};

int main()
{
    MyEncryptedProvider provider;
    QTextDocument::setDefaultResourceProvider(&provider);

    // リソースデータを含むドキュメントを作成する
    QTextDocument document;
    document.setHtml("<style>body { background-image: url(\"data.css\"); }</style>");

    // ドキュメントをレンダリングする
    // ...

    return 0;
}

例 3: ネットワーク経由のリソースを読み込む

この例では、カスタムリソースプロバイダを使用して、ドキュメント内のリソースをネットワーク経由で読み込みます。

#include <QTextDocument>
#include <QResourceProvider>
#include <QNetworkAccessManager>

class MyNetworkProvider : public QResourceProvider
{
public:
    QString getResource(const QString& path) const override
    {
        // カスタムロジックを使用してリソース URL を決定する
        // ...
        return url;
    }

    QByteArray readData(const QString& path) const override
    {
        // ネットワーク経由でリソースデータをダウンロードする
        QNetworkAccessManager manager;
        QNetworkReply* reply = manager.get(QNetworkRequest(QUrl(path)));

        if (reply->error() == QNetworkReply::NoError) {
            return reply->readAll();
        } else {
            // エラー処理
        }

        return QByteArray();
    }
};

int main()
{
    MyNetworkProvider provider;
    QTextDocument::setDefaultResourceProvider(&provider);

    // リソースデータを含むドキュメントを作成する
    QTextDocument document;
    document.setHtml("<script src=\"https://example.com/script.js\"></script>");

    // ドキュメントをレンダリングする
    // ...

    return 0;
}

リソース管理の複雑な要件の場合は、より高度なロジックを実装する必要があります。
上記の例はあくまでサンプルであり、実際の使用状況に合わせて調整する必要があります。

そのような場合は、以下の代替方法を検討することができます。

個々のドキュメントにリソースプロバイダを設定する

QTextDocument::setResourceProvider() 関数は、個々のドキュメントのリソースプロバイダを設定するために使用できます。これにより、異なるドキュメントで異なるリソース読み込み方法を指定することができます。

QResourceProvider provider;
QTextDocument document;
document.setResourceProvider(&provider);

// ...

カスタム URL スキーマを使用する

カスタム URL スキームを使用して、リソースの読み込みを処理することができます。 Qt は、QAbstractFileEngine クラスを使用してカスタムファイルエンジンを実装することをサポートしています。

class MyFileEngine : public QAbstractFileEngine
{
public:
    bool open(QIODevice::OpenMode flags, const QFileInfo& file) override
    {
        // カスタムロジックを使用してリソースを開く
        // ...
    }

    bool read(char* data, qint64 len) override
    {
        // カスタムロジックを使用してリソースからデータを読み込む
        // ...
    }

    // ...
};

int main()
{
    QTextDocument document;
    document.setHtml("<img src=\"myresource://image.png\">");

    // カスタムファイルエンジンを登録する
    QFileSystemEngine::registerEngine("myresource", new MyFileEngine());

    // ドキュメントをレンダリングする
    // ...
}

リソースを埋め込む

リソースをドキュメント内に直接埋め込むこともできます。これは、単純なリソースの場合や、リソースの場所を固定したい場合に有効です。

QTextDocument document;
document.setHtml("<img src=\"data:image/png;base64,iVBORw0KGgoAAAANSUhEUgAAAABAAAAAQCAAAAAAC1HAwCAAAAC0lEQVR42mNkYAAAAAYAAjCB0C9AAAAASUVORK5CYII=\">");

// ドキュメントをレンダリングする
// ...

Qt WebEngine を使用する

Qt WebEngine は、Web ページをレンダリングするための強力なライブラリです。 Web ページ内のリソースは、Qt WebEngine によって自動的に読み込まれます。

QWebEnginePage page;
page.load("https://example.com");

// ページをレンダリングする
// ...

最適な代替方法の選択

最適な代替方法は、要件によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。

コードの複雑さ
柔軟性
パフォーマンス要件
リソースの複雑さ