Qt Widgets: アイテムビューウィジェットの装飾をスタイルシートでスタイリッシュに

QStyleOptionViewItem::Position は、Qt Widgets フレームワークにおけるアイテムビューウィジェット内のアイテムの装飾の位置を指定するための列挙型です。装飾とは、アイテムのテキストの隣に表示されるアイコンやチェックボックスなどの要素を指します。

列挙型のメンバー

QStyleOptionViewItem::Position には、以下のメンバーが定義されています。

Bottom
装飾をテキストの下部に配置します。
Top
装飾をテキストの上部に配置します。
Right
装飾をテキストの右側に配置します。
Left
装飾をテキストの左側に配置します。これはデフォルト値です。

使用例

QStyleOptionViewItem::Position メンバーは、アイテムビューウィジェットのスタイルをカスタマイズするために使用できます。たとえば、すべてのアイテムの装飾をテキストの右側に配置するには、次のコードを使用できます。

void MyDelegate::paint(QPainter* painter, const QStyleOptionViewItem& option, const QModelIndex& index) const
{
    option.decorationPosition = QStyleOptionViewItem::Right;
    QItemDelegate::paint(painter, option, index);
}

このコードは、MyDelegate クラスの paint メソッド内で実行されます。このメソッドは、アイテムビューウィジェット内の各アイテムを描画するために呼び出されます。option.decorationPosition を QStyleOptionViewItem::Right に設定することで、すべてのアイテムの装飾がテキストの右側に配置されます。

QStyleOptionViewItem::Position メンバーは、アイテムビューウィジェットの種類によって異なる場合があります。たとえば、QTreeView ウィジェットでは、QListView ウィジェットとは異なるデフォルト値が使用される場合があります。
QStyleOptionViewItem::Position メンバーは、アイテムビューウィジェットのスタイルシートを使用して設定することもできます。

例 1: すべてのアイテムの装飾をテキストの右側に配置する

#include <QApplication>
#include <QListView>
#include <QStandardItemModel>

int main(int argc, char* argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QStandardItemModel model;
    model.setColumnCount(1);
    model.insertRows(0, 10);

    for (int row = 0; row < 10; ++row) {
        QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(row + 1));
        item->setIcon(QIcon(":/icon.png"));
        model.setItem(row, 0, item);
    }

    QListView listView;
    listView.setModel(&model);
    listView.setItemDelegate(new MyDelegate);
    listView.show();

    return app.exec();
}

class MyDelegate : public QItemDelegate
{
public:
    void paint(QPainter* painter, const QStyleOptionViewItem& option, const QModelIndex& index) const override
    {
        option.decorationPosition = QStyleOptionViewItem::Right;
        QItemDelegate::paint(painter, option, index);
    }
};

このコードは、以下のことを行います。

QStandardItemModel オブジェクトを作成し、10 個のアイテムを追加します。
QListView ウィジェットを作成し、QStandardItemModel オブジェクトをモデルとして設定します。
MyDelegate クラスのインスタンスを作成し、QListView ウィジェットのアイテムデリゲートとして設定します。
MyDelegate クラスの paint メソッド内で、option.decorationPosition を QStyleOptionViewItem::Right に設定することで、すべてのアイテムの装飾をテキストの右側に配置します。

例 2: 奇数行のアイテムの装飾をテキストの下部に配置する

#include <QApplication>
#include <QListView>
#include <QStandardItemModel>

int main(int argc, char* argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QStandardItemModel model;
    model.setColumnCount(1);
    model.insertRows(0, 10);

    for (int row = 0; row < 10; ++row) {
        QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(row + 1));
        item->setIcon(QIcon(":/icon.png"));
        model.setItem(row, 0, item);
    }

    QListView listView;
    listView.setModel(&model);
    listView.setItemDelegate(new MyDelegate);
    listView.show();

    return app.exec();
}

class MyDelegate : public QItemDelegate
{
public:
    void paint(QPainter* painter, const QStyleOptionViewItem& option, const QModelIndex& index) const override
    {
        if (index.row() % 2 == 1) {
            option.decorationPosition = QStyleOptionViewItem::Bottom;
        } else {
            option.decorationPosition = QStyleOptionViewItem::Right;
        }
        QItemDelegate::paint(painter, option, index);
    }
};

QStandardItemModel オブジェクトを作成し、10 個のアイテムを追加します。
QListView ウィジェットを作成し、QStandardItemModel オブジェクトをモデルとして設定します。
MyDelegate クラスのインスタンスを作成し、QListView ウィジェットのアイテムデリゲートとして設定します。
MyDelegate クラスの paint メソッド内で、index.row() を使用して行番号を取得し、奇数行の場合は option.decorationPosition を QStyleOptionViewItem::Bottom に設定することで、奇数行のアイテムの装飾をテキストの下部に配置します。偶数行の場合は、装飾をテキストの右側に配置します。

これらの例は、QStyleOptionViewItem::Position 列挙型を使用してアイテムビューウィジェットの装飾をどのようにカスタマイズできるかを示すほんの一例です。

アイテムの状態 (選択
特定の列のアイテムの装飾をテキストの上部に配置する

スタイルシートを使用する

QStyleOptionViewItem::Position メンバーは、スタイルシートを使用して設定することもできます。これは、特に多くのアイテムを装飾する必要がある場合に便利です。

QListView QItem {
    decoration-position: right;
}

QListView QItem:nth-child(odd) {
    decoration-position: bottom;
}

このスタイルシートは、すべてのアイテムの装飾をテキストの右側に配置し、奇数行のアイテムの装飾をテキストの下部に配置します。

カスタムアイテムデリゲートを使用する

カスタムアイテムデリゲートを使用すると、アイテムの装飾をより細かく制御できます。たとえば、アイテムの状態 (選択済み、編集中など) によって装飾の位置を変更することができます。

class MyDelegate : public QItemDelegate
{
public:
    void paint(QPainter* painter, const QStyleOptionViewItem& option, const QModelIndex& index) const override
    {
        if (index.isSelected()) {
            option.decorationPosition = QStyleOptionViewItem::Top;
        } else {
            option.decorationPosition = QStyleOptionViewItem::Right;
        }
        QItemDelegate::paint(painter, option, index);
    }
};

このコードは、選択されたアイテムの装飾をテキストの上部に配置し、選択されていないアイテムの装飾をテキストの右側に配置します。

カスタムウィジェットを使用する

複雑な装飾が必要な場合は、カスタムウィジェットを作成することができます。この方法では、装飾の位置を完全に制御できますが、より多くのコードを記述する必要があります。

代替方法の選択

使用する代替方法は、要件によって異なります。

複雑な装飾が必要な場合は、カスタムウィジェットを使用します。
アイテムの装飾をより細かく制御する必要がある場合は、カスタムアイテムデリゲートを使用します。
シンプルな装飾が必要な場合は、スタイルシートを使用するのが最も簡単です。

カスタムウィジェットを使用する場合は、Qt C++ プログラミングに関する知識が必要です。
カスタムアイテムデリゲートを使用する場合は、Qt モデル/ビューフレームワークに関する知識が必要です。
スタイルシートを使用する場合は、Qt のスタイルシートの構文に関する知識が必要です。
QStyleOptionViewItem::Position メンバーは、Qt Widgets 5.14 以降でのみ使用できます。それ以前のバージョンの Qt では、代わりに Qt::AlignLeft、Qt::AlignRight、Qt::AlignTop、Qt::AlignBottom の値を使用する必要があります。