Qt GUI: QRegion::QRegion() で描画をレベルアップ! 塗りつぶしや結合も簡単操作


QRegion::QRegion() は、Qt GUIにおける描画領域を定義するための重要なコンストラクタです。このコンストラクタは、空の領域を表すヌル領域を作成するために使用されます。

構文

QRegion::QRegion();

説明

QRegion::QRegion() は引数を取らず、空の領域を表すヌル領域を生成します。このヌル領域は、描画領域を持たないため、実際には何も描画されません。

QRegion region; // 空の領域を作成
  • ヌル領域を直接描画することはできません。
  • ヌル領域は、メモリ使用量が少ないという利点があります。
  • ヌル領域は、様々な操作に使用できます。例えば、別の領域との結合や差分、特定のポイントが含まれているかどうかを確認するなどです。
  • subtract(): 1つの領域から別の領域を差し引きます。
  • intersect(): 2つの領域の共通部分を抽出します。
  • unite(): 2つの領域を結合します。
  • contains(): 指定されたポイントが領域内に含まれているかどうかを確認します。
  • isEmpty(): 領域が空かどうかを確認します。


#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QRegion>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget()
    {
        // ウィジェットの大きさを設定
        setFixedSize(200, 100);
    }

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        // QPainterオブジェクトを作成
        QPainter painter(this);

        // 領域を作成
        QRegion region;

        // 矩形を追加
        region += QRect(20, 20, 60, 40);
        region += QRect(80, 50, 50, 30);

        // 領域を設定
        painter.setClipRegion(region);

        // 矩形を描画
        painter.drawRect(QRect(0, 0, 100, 50));
        painter.drawRect(QRect(100, 50, 100, 50));
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // MyWidgetオブジェクトを作成
    MyWidget widget;

    // ウィジェットを表示
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下の図のようなウィジェットが表示されます。

左側の矩形は、QRegion::QRegion() で作成された空の領域に直接描画されています。右側の矩形は、空の領域に矩形を追加して描画されています。

この例は、QRegion::QRegion() を使って複雑な描画領域を作成する方法を示しています。

  • QRegion オブジェクトは、様々な操作を使用して作成および変更できます。詳細は、Qt ドキュメントを参照してください。
  • このコードでは、QPainter::setClipRegion() 関数を使用して、描画領域を QRegion オブジェクトに設定しています。これにより、QPainterQRegion 内の領域のみを描画します。


QRegion(const QRect &rect)

このコンストラクタは、指定された矩形を表す領域を作成します。矩形以外の領域を作成する場合は使用できませんが、矩形領域を頻繁に使用する場合は、QRegion::QRegion() よりも効率的です。

QRegion region(QRect(20, 20, 60, 40));

利点

  • 矩形領域を効率的に作成できる

欠点

  • 矩形以外の領域を作成できない

QRegion(const QPolygon &a, Qt::FillRule fillRule)

このコンストラクタは、指定された多角形を表す領域を作成します。任意の形の領域を作成できる汎用性の高い方法ですが、複雑な多角形を使用すると処理が重くなる場合があります。

QPoint points[] = { QPoint(20, 20), QPoint(80, 20), QPoint(80, 60), QPoint(40, 60) };
QPolygon polygon(points, 4);
QRegion region(polygon);

利点

  • 任意の形の領域を作成できる

欠点

  • 複雑な多角形を使用すると処理が重くなる

QRegion(const QBitmap &bm)

このコンストラクタは、指定されたビットマップを表す領域を作成します。ビットマップ内の各ピクセルを個別に制御できるため、非常に詳細な領域を作成できますが、メモリ使用量が多くなり、処理速度が遅くなる場合があります。

QBitmap bitmap("image.png");
QRegion region(bitmap);

利点

  • 非常に詳細な領域を作成できる

欠点

  • 処理速度が遅くなる
  • メモリ使用量が多くなる

QPainterPath を使用する

QPainterPath は、ベクターグラフィックス用の描画パスを表すクラスです。QRegion と同様に、複雑な形状の領域を作成するために使用できますが、QRegion よりも柔軟で表現力豊かに描画できます。

QPainterPath path;
path.moveTo(20, 20);
path.lineTo(80, 20);
path.lineTo(80, 60);
path.lineTo(40, 60);
path.close();

QRegion region(path);

利点

  • 柔軟で表現力豊かに描画できる

欠点

  • QRegion よりも複雑

カスタム領域クラスを作成する

独自の要件を満たすために、カスタム領域クラスを作成することもできます。これは高度なテクニックですが、複雑な領域を効率的に処理する必要がある場合に役立ちます。