ワンランク上のQt GUIプログラミング: QPalette::setBrush() で実現する高度な配色テクニック

QPalette::setBrush()関数は、Qt GUIアプリケーションのウィジェットで使用される配色情報を設定するために使用されます。この関数は、特定のウィジェットの特定の要素に対して、ブラシオブジェクトを割り当てることができます。ブラシオブジェクトは、色、パターン、テクスチャなどのグラフィカル特性を定義します。

構文

void QPalette::setBrush(ColorGroup group, ColorRole role, const QBrush &brush);

パラメータ

• brush: ウィジェット要素に適用するブラシオブジェクト
• role: ブラシを適用するウィジェット要素を指定します。可能な値は次のとおりです。
  • WindowText: ウィジェットのタイトルバーのテキスト
  • Button: ボタンのテキスト
  • Light: ウィジェットの明るい部分
  • Midlight: ウィジェットの中間部分
  • Dark: ウィジェットの暗い部分
  • Mid: ウィジェットの中間部分
  • Text: ウィジェットのテキスト
  • BrightText: ウィジェットの明るいテキスト
  • Base: ウィジェットの背景
  • Window: ウィジェットのウィンドウ
• group: ブラシを適用するウィジェットのグループを指定します。可能な値は次のとおりです。
  • Active: アクティブなウィジェット
  • Disabled: 無効なウィジェット
  • Inactive: 非アクティブなウィジェット
  • Normal: 通常のウィジェット

QPalette palette;

// ボタンのテキストを青色に設定
palette.setBrush(QPalette::Normal, QPalette::ButtonText, QBrush(Qt::blue));

// ウィジェットの背景を灰色に設定
palette.setBrush(QPalette::Normal, QPalette::Base, QBrush(Qt::gray));

// アプリケーション全体の配色をpaletteに設定
QApplication::setPalette(palette);

• Qt GUI には、さまざまな標準ブラシが用意されています。詳細については、Qt ドキュメントを参照してください。
• ブラシオブジェクトを作成するには、QBrush コンストラクタを使用します。
• QPalette::setBrush() 関数は、個々のウィジェットに対してブラシを設定することもできます。

---

#include <QApplication>
#include <QPushButton>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;

  // ボタンを作成
  QPushButton button("ボタン");

  // ボタンのテキストを青色に設定
  QPalette palette;
  palette.setBrush(QPalette::Normal, QPalette::ButtonText, QBrush(Qt::blue));
  button.setPalette(palette);

  // ウィジェットの背景を灰色に設定
  palette.setBrush(QPalette::Normal, QPalette::Base, QBrush(Qt::gray));
  widget.setPalette(palette);

  // ボタンをウィジェットに追加
  button.setParent(&widget);

  // ウィジェットをウィンドウに表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

このコードの説明

1. QApplication オブジェクトを作成します。
2. QWidget オブジェクトを作成します。
3. QPushButton オブジェクトを作成し、"ボタン" というテキストを設定します。
4. QPalette オブジェクトを作成します。
5. palette.setBrush() 関数を使用して、ボタンのテキストの色を青色に設定します。
6. button.setPalette() 関数を使用して、ボタンにパレットを設定します。
7. palette.setBrush() 関数を使用して、ウィジェットの背景色を灰色に設定します。
8. widget.setPalette() 関数を使用して、ウィジェットにパレットを設定します。
9. button.setParent(&widget) 関数を使用して、ボタンをウィジェットに追加します。
10. widget.show() 関数を使用して、ウィジェットをウィンドウに表示します。

実行結果

このコードを実行すると、ボタンのテキストが青色、ウィジェットの背景が灰色になります。

追加の例

palette.setBrush(QPalette::Normal, QPalette::WindowText, QBrush(Qt::red));

また、標準ブラシではなく、カスタムブラシを使用することもできます。たとえば、次のコードは、垂直方向の線形グラデーションを持つブラシを作成し、それをウィジェットの背景に設定します。

QLinearGradient gradient(0, 0, 100, 0);
gradient.setColorAt(0, Qt::white);
gradient.setColorAt(1, Qt::gray);
QBrush brush(gradient);
palette.setBrush(QPalette::Normal, QPalette::Base, brush);

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代替方法

1. setStyleSheet() 関数の使用
   個々のウィジェットに対してスタイルシートを直接適用するには、setStyleSheet() 関数を使用できます。これは、特定のウィジェットのみの色を変更したい場合に役立ちます。

2. ウィジェットクラスのカスタマイズ
   より高度な制御が必要な場合は、独自のウィジェットクラスを作成して、塗装イベントを処理することができます。この方法により、ウィジェットの外観を完全に制御できますが、実装が最も複雑になります。

各方法の比較

方法	長所	短所
QPalette::setBrush()	シンプルで使いやすい	柔軟性が低い
スタイルシート	柔軟性が高く、コードが簡潔	複雑になる可能性がある
setStyleSheet()	特定のウィジェットを簡単に制御できる	個々のウィジェットにのみ適用可能
ウィジェットクラスのカスタマイズ	完全な制御が可能	複雑で時間のかかる実装

例

以下のコードは、スタイルシートを使用してボタンのテキストを青色に設定する方法を示します。

QPushButton {
  color: blue;
}

以下のコードは、setStyleSheet() 関数を使用して個々のウィジェットの色を設定する方法を示します。

QPushButton button("ボタン");
button.setStyleSheet("color: blue;");

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