【初心者向け】Qt GUI でボタンの色を変更する方法 3 選！ ColorRole vs スタイルシート vs カスタムペイント

ColorRole の種類

QPalette::ColorRole には、40 種類以上の ColorRole が定義されています。主なものは以下の通りです。

無効なウィジェットの色
- Disabled: 無効なウィジェットの色
- DisabledText: 無効なウィジェットのテキストの色
強調色
- Highlight: 選択された項目の背景色
- HighlightedText: 選択された項目のテキストの色
基本的な色
- Background: ウィジェット全体の背景色
- Foreground: ウィジェット内のテキストの色
- Button: ボタンの色
- Light: 明るい影の色
- Dark: 暗い影の色

ColorRole の使用方法

QPalette palette;
palette.setBrush(QPalette::Button, QBrush(QColor(Qt::red)));

このコードは、すべてのボタンの色を赤色に設定します。

ColorRole グループ

ColorRole は、ColorGroup と呼ばれるグループにさらに分類されます。ColorGroup は、ウィジェットの状態 (アクティブ、無効、非アクティブ) を表します。例えば、ボタンの押下時、マウスオーバー時、無効時の色を個別に設定することができます。

palette.setBrush(QPalette::Active, QPalette::Button, QBrush(QColor(Qt::green)));
palette.setBrush(QPalette::Disabled, QPalette::Button, QBrush(QColor(Qt::gray)));

このコードは、アクティブなボタンを緑色、無効なボタンを灰色に設定します。

QPalette の適用

QPalette オブジェクトは、QWidget の setPalette() メソッドを使用して、特定のウィジェットに適用することができます。また、QApplication::setPalette() メソッドを使用して、アプリケーション全体のデフォルトパレットを設定することもできます。

widget->setPalette(palette);
QApplication::setPalette(palette);

ColorRole の例

以下は、ColorRole を使用してアプリケーションの外観をカスタマイズする例です。

ボタンを青色、テキストを白色、背景を灰色に設定します。

QPalette palette;
palette.setBrush(QPalette::Button, QBrush(QColor(Qt::blue)));
palette.setBrush(QPalette::Text, QBrush(QColor(Qt::white)));
palette.setBrush(QPalette::Background, QBrush(QColor(Qt::gray)));
QApplication::setPalette(palette);

入力欄を黄色、フォーカス時に緑色、無効時に灰色に設定します。

QPalette palette;
palette.setBrush(QPalette::Base, QBrush(QColor(Qt::yellow)));
palette.setBrush(QPalette::Highlight, QBrush(QColor(Qt::green)));
palette.setBrush(QPalette::Disabled, QBrush(QColor(Qt::gray)));
widget->setPalette(palette);

ボタンの色を変更する

#include <QApplication>
#include <QPushButton>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ボタンを作成
  QPushButton button("ボタン");

  // パレットを作成
  QPalette palette;
  palette.setBrush(QPalette::Button, QBrush(QColor(Qt::red)));

  // ボタンにパレットを適用
  button.setPalette(palette);

  // ボタンを表示
  button.show();

  return app.exec();
}

入力欄のスタイルを変更する

このコードは、入力欄を黄色、フォーカス時に緑色、無効時に灰色に設定します。

#include <QApplication>
#include <QLineEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // 入力欄を作成
  QLineEdit lineEdit;

  // パレットを作成
  QPalette palette;
  palette.setBrush(QPalette::Base, QBrush(QColor(Qt::yellow)));
  palette.setBrush(QPalette::Highlight, QBrush(QColor(Qt::green)));
  palette.setBrush(QPalette::Disabled, QBrush(QColor(Qt::gray)));

  // 入力欄にパレットを適用
  lineEdit.setPalette(palette);

  // 入力欄を表示
  lineEdit.show();

  return app.exec();
}

アプリケーション全体のスタイルを変更する

このコードは、アプリケーション全体のデフォルトパレットを設定し、ボタンを青色、テキストを白色、背景を灰色に設定します。

#include <QApplication>
#include <QPushButton>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // パレットを作成
  QPalette palette;
  palette.setBrush(QPalette::Button, QBrush(QColor(Qt::blue)));
  palette.setBrush(QPalette::Text, QBrush(QColor(Qt::white)));
  palette.setBrush(QPalette::Background, QBrush(QColor(Qt::gray)));

  // アプリケーション全体のデフォルトパレットを設定
  QApplication::setPalette(palette);

  // ボタンを作成
  QPushButton button("ボタン");

  // ボタンを表示
  button.show();

  return app.exec();
}

スタイルシートを使用して ColorRole を設定する

スタイルシートを使用して ColorRole を設定することもできます。以下のコードは、ボタンの色を赤色に設定するスタイルシートの例です。

QPushButton {
  background-color: red;
}

このスタイルシートを適用するには、setStyleSheet() メソッドを使用します。

button.setStyleSheet("QPushButton { background-color: red; }");

より複雑なスタイルを作成するには、複数の ColorRole を組み合わせたり、スタイルシートを使用したりすることができます。

スタイルシート

スタイルシートは、Qt GUI ウィジェットの外観を記述するための CSS に似た言語です。ColorRole を使用して個々のウィジェットの色を設定する代わりに、スタイルシートを使用してより汎用的なスタイルを定義することができます。スタイルシートを使用すると、フォント、マージン、パディングなどの他のプロパティも制御できます。

利点

複数のウィジェットに共通するスタイルを簡単に定義できる
柔軟性と汎用性に優れている
コードが簡潔で読みやすくなる

例

QPushButton {
  background-color: red;
  color: white;
  font-family: Arial, sans-serif;
  padding: 5px;
}

このスタイルシートは、すべてのボタンの色を赤色、テキストを白色、フォントを Arial に設定します。

カスタムペイント

より高度なカスタマイズが必要な場合は、paintEvent() メソッドをオーバーライドしてウィジェットをカスタムペイントすることができます。この方法は、完全な制御を提供しますが、複雑でコード量が多くなる可能性があります。

利点

複雑なグラフィックやアニメーションを作成できる
完全な制御が可能

例

class MyWidget : public QWidget {
public:
  void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
    QPainter painter(this);
    painter.setBrush(QColor(Qt::red));
    painter.drawRect(0, 0, width(), height());
  }
};

このコードは、MyWidget クラスのすべてのインスタンスを赤色に描画します。

QSS ファイル

スタイルシートを QSS ファイルに保存して、アプリケーション全体に適用することができます。これにより、コードをより整理しやすくなり、スタイルシートを後で簡単に変更することができます。

利点

スタイルシートを後で簡単に変更できる
コードを整理できる

例

/* mystyle.qss */

QPushButton {
  background-color: red;
  color: white;
  font-family: Arial, sans-serif;
  padding: 5px;
}

アプリケーションでこのスタイルシートを使用するには、次のコードを追加します。

QApplication::setStyleSheet(QFile("mystyle.qss").contents());

テーマ

Qt には、アプリケーションの外観をカスタマイズするために使用できるさまざまなテーマが用意されています。テーマを使用すると、コードを記述することなく、アプリケーションの外観を簡単に変更することができます。

利点

アプリケーションの外観を簡単に変更できる
コードを書く必要がない

例

QApplication::setStyle("Fusion");

このコードは、アプリケーションに Fusion テーマを適用します。

ColorRole を使用するかどうかを判断する

上記で紹介した代替方法はそれぞれ長所と短所があります。 ColorRole を使用するかどうかを判断する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

パフォーマンス
カスタムペイントは、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
メンテナンス性
スタイルシートは、後で簡単に変更できるため、メンテナンス性が高くなります。
コードの簡潔性
スタイルシートは、ColorRole を使用する場合よりもコードを簡潔にすることができます。
必要なカスタマイズのレベル
ColorRole で実現できるカスタマイズは限られています。より高度なカスタマイズが必要な場合は、代替方法を検討する必要があります。