Qt GUIにおけるQInputDeviceクラス：詳細解説

QInputDeviceクラスは、Qt GUIにおける入力デバイスを抽象化し、様々な入力デバイスからのイベントを処理するための基盤を提供します。キーボード、マウス、タッチスクリーン、ペンなど、様々な入力デバイスを統一的に扱うことができます。

主な機能

• 複数の入力デバイスを同時に扱う
• 入力イベントを処理する
• 入力デバイスの状態を取得する
• 入力デバイスの種類を識別する

クラス構造

class QInputDevice : public QObject
{
public:
    QInputDevice(QObject *parent = nullptr);
    ~QInputDevice();

    QInputDevice::DeviceType type() const;
    QInputDevice::Capabilities capabilities() const;
    QSeat *seat() const;

    bool hasCapability(QInputDevice::Capability capability) const;

    void releaseResources();

signals:
    void deviceAdded(QInputDevice *device);
    void deviceRemoved(QInputDevice *device);
};

主なメンバー関数

• releaseResources(): 入力デバイスで使用されているリソースを解放します。
• hasCapability(): 入力デバイスが特定の機能をサポートしているかどうかを返します。
• seat(): 入力デバイスが属するシートを返します。
• capabilities(): 入力デバイスがサポートする機能を返します。
• type(): 入力デバイスの種類を返します。

シグナル

• deviceRemoved(): 入力デバイスが削除されたときに送信されます。
• deviceAdded(): 新しい入力デバイスが検出されたときに送信されます。

// キーボード入力イベントを処理する
void MyClass::keyPressEvent(QKeyEvent *event)
{
    if (event->key() == Qt::Key_Escape) {
        close();
    }
}

// マウス移動イベントを処理する
void MyClass::mouseMoveEvent(QMouseEvent *event)
{
    m_position = event->pos();
    update();
}

• QInputDeviceクラスは、様々な入力デバイスからのイベントを処理するための基盤を提供するだけです。具体的なイベント処理は、個々のアプリケーションで実装する必要があります。

---

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QKeyEvent>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void keyPressEvent(QKeyEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
}

void MyWidget::keyPressEvent(QKeyEvent *event)
{
    if (event->key() == Qt::Key_Escape) {
        close();
    }
}

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MyWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、ウィンドウが表示されます。ウィンドウ内で Escape キーを押すと、ウィンドウが閉じられます。

例2：マウス移動イベントを処理する

この例では、QInputDeviceクラスを使用して、マウス移動イベントを処理する方法を示します。

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QMouseEvent>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
}

void MyWidget::mouseMoveEvent(QMouseEvent *event)
{
    m_position = event->pos();
    update();
}

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MyWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、ウィンドウが表示されます。ウィンドウ内でマウスを移動すると、ウィンドウが再描画されます。

• 具体的なアプリケーションでは、必要に応じてコードを拡張することができます。
• 上記のコードは、Qt GUIにおけるQInputDeviceクラスの基本的な使い方を示しています。

---

個別の入力デバイスクラス

• QJoystickDevice：ジョイスティック入力イベントを処理する
• QTouchDevice：タッチ入力イベントを処理する
• QTabletDevice：タブレット入力イベントを処理する
• QMouseEvent：マウス入力イベントを処理する
• QKeyboardDevice：キーボード入力イベントを処理する

利点

• より詳細な制御が可能
• 特定の入力デバイスに特化した機能を提供している

欠点

• コードが冗長になる可能性がある
• 複数の入力デバイスを扱う場合は、個別に処理する必要がある

QInputDeviceとの比較

• 個別の入力デバイスクラスは、特定の入力デバイスに特化した機能を提供しており、より詳細な制御が可能ですが、複数の入力デバイスを扱う場合は、個別に処理する必要があるため、コードが冗長になる可能性があります。
• QInputDeviceクラスは、様々な入力デバイスを統一的に扱うことができる汎用的なクラスです。

例：キーボード入力イベントを処理する

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QKeyEvent>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void keyPressEvent(QKeyEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
}

void MyWidget::keyPressEvent(QKeyEvent *event)
{
    if (event->key() == Qt::Key_Escape) {
        close();
    }
}

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MyWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

Qt Signals and Slots

• 入力デバイスからのイベントをシグナルとして発行し、それをスロットで処理する

利点

• 複数の入力デバイスを簡単に処理できる
• コードが簡潔で分かりやすい

欠点

• 詳細な制御が難しい

QInputDeviceとの比較

• Qt Signals and Slotsは、入力デバイスからのイベントを処理するだけなので、詳細な制御には向いていません。
• QInputDeviceクラスは、入力デバイスの種類や能力に関する情報を提供することができます。

例：マウス移動イベントを処理する

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QMouseEvent>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

signals:
    void positionChanged(const QPoint &position);

private:
    QPoint m_position;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
    connect(this, &MyWidget::mouseMoveEvent, this, &MyWidget::positionChanged);
}

void MyWidget::mouseMoveEvent(QMouseEvent *event)
{
    m_position = event->pos();
    emit positionChanged(m_position);
}

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MyWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

Qt Event Filters

• アプリケーション全体または特定のウィジェットに対してイベントフィルタを設定し、入力イベントを処理する

利点

• アプリケーション全体または特定のウィジェットに対して、入力イベントを処理できる

欠点

• コードが複雑になる可能性がある

QInputDeviceとの比較

• Qt Event Filtersは、入力デバイスからのイベントを処理するだけなので、詳細な制御には向いていません。
• QInputDeviceクラスは、入力デバイスの種類や能力に関する情報を提供することができます。

#include <QApplication>
#include <QEvent>

class MyApplication : public QApplication
{
public:
    MyApplication(int argc, char *argv[]);

protected:
    bool eventFilter(QEvent *event) override;
};

MyApplication::MyApplication(int argc, char *argv[]) : QApplication(argc, argv)
{
}

bool MyApplication::eventFilter(QEvent *event)
{
    if (event->