Qt Widgetsプログラミング:一歩先の整範囲入力ダイアログ!「QInputDialog::setIntRange()」とバリデーション
QInputDialog::setIntRange()
は、Qt Widgetsライブラリで提供される関数の一つであり、整数値を入力するためのダイアログボックスに最小値と最大値を設定するために使用されます。この関数は、ユーザー入力を制限し、許容される範囲内の値のみを受け入れるようにすることができ、データ入力のエラーを防ぐのに役立ちます。
構文
void QInputDialog::setIntRange(int min, int max);
引数
max
: ダイアログボックスに入力できる最大値min
: ダイアログボックスに入力できる最小値
戻り値
なし
詳細
setIntRange()
関数は、QInputDialog
クラスのメンバ関数であり、整数値を入力するためのダイアログボックスを作成するために使用されます。この関数は、getDoubleRange()
関数と同様に、ダイアログボックスに表示されるスピンボックスの範囲を設定します。スピンボックスは、ユーザーが矢印キーを使用して値を上下に調整できる入力フィールドです。
setIntRange()
関数は、QInputDialog::getInt()
関数と組み合わせて使用されます。getInt()
関数は、ダイアログボックスを表示し、ユーザーが入力した値を返します。ユーザーが入力した値がmin
とmax
の範囲外の場合、getInt()
関数はfalse
を返し、QInputDialog::rejected()
シグナルが送信されます。
例
int min = 10;
int max = 20;
int value = QInputDialog::getInt(this, "整数値を入力", "値:", 15, min, max);
if (value != -1) {
// ユーザーが入力した値を処理する
} else {
// ユーザーがダイアログボックスをキャンセルした場合の処理
}
この例では、QInputDialog
を使用して、10から20までの範囲の整数値を入力するようにユーザーに求めます。ユーザーが入力した値はvalue
変数に格納されます。ユーザーがダイアログボックスをキャンセルした場合、value
は -1 になります。
setIntRange()
関数は、スピンボックスのフォーマットを設定しません。スピンボックスのフォーマットを設定するには、QSpinBox::setFormat()
関数を使用します。setIntRange()
関数は、スピンボックスのステップ値を設定しません。スピンボックスのステップ値を設定するには、QSpinBox::setStep()
関数を使用します。
#include <QApplication>
#include <QInputDialog>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
int minAge = 18;
int maxAge = 65;
int age = QInputDialog::getInt(nullptr, "年齢を入力", "あなたの年齢を入力してください:", 25, minAge, maxAge);
if (age != -1) {
qDebug() << "入力された年齢:" << age;
} else {
qDebug() << "ユーザーはダイアログボックスをキャンセルしました。";
}
return 0;
}
このコードでは、以下の処理が行われます。
QApplication
オブジェクトを作成します。- 最小年齢と最大年齢を定義します。
QInputDialog::getInt()
関数を使用して、ダイアログボックスを表示し、ユーザーが入力した値をage
変数に格納します。- ユーザーが入力した値が -1 ではない場合、その値をコンソールに出力します。
- ユーザーがダイアログボックスをキャンセルした場合、メッセージをコンソールに出力します。
このコードは、QInputDialog::setIntRange()
関数の基本的な使用方法を示すものです。この関数は、さまざまな目的に使用できます。たとえば、ファイルサイズや金額などの他の数値入力に適用することもできます。
- コードを実行するには、Qt Widgetsライブラリがインストールされている必要があります。
- このコードは、Qt CreatorなどのIDEを使用してコンパイルして実行できます。
代替方法
以下に、QInputDialog::setIntRange()
の代替方法として考えられるいくつかの方法をご紹介します。
QValidatorを使用する
QValidator
クラスは、入力値の検証に使用できるクラスです。QIntValidator
サブクラスは、整数値のみを入力できるように制限するために使用できます。
QLineEdit *lineEdit = new QLineEdit(this);
QIntValidator *validator = new QIntValidator(10, 20, this);
lineEdit->setValidator(validator);
このコードでは、QLineEdit
オブジェクトを作成し、QIntValidator
オブジェクトを作成して、10から20までの範囲の整数値のみを入力できるように制限しています。
カスタムダイアログボックスを使用する
QInputDialog
クラスを使用する代わりに、カスタムダイアログボックスを作成して、独自のユーザーインターフェースを実装することもできます。
QDialog *dialog = new QDialog(this);
QLabel *label = new QLabel("値を入力してください:", dialog);
QSpinBox *spinBox = new QSpinBox(dialog);
spinBox->setRange(10, 20);
QPushButton *buttonBox = new QDialogButtonBox(QDialogButtonBox::Ok | QDialogButtonBox::Cancel, dialog);
QObject::connect(buttonBox, &QDialogButtonBox::accepted, dialog, &QDialog::accept);
QObject::connect(buttonBox, &QDialogButtonBox::rejected, dialog, &QDialog::reject);
QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(dialog);
layout->addWidget(label);
layout->addWidget(spinBox);
layout->addWidget(buttonBox);
dialog->setLayout(layout);
int result = dialog->exec();
if (result == QDialog::Accepted) {
int value = spinBox->value();
// ユーザーが入力した値を処理する
}
このコードでは、QDialog
オブジェクトを作成し、ラベル、スピンボックス、ボタンボックスなどのウィジェットを追加しています。スピンボックスには、10から20までの範囲の値を設定しています。ボタンボックスには、"OK"ボタンと"キャンセル"ボタンが配置されています。
QSpinBoxを直接使用する
QSpinBox
ウィジェットを直接使用して、ユーザーに整数値を入力させることもできます。
QSpinBox *spinBox = new QSpinBox(this);
spinBox->setRange(10, 20);
このコードでは、QSpinBox
オブジェクトを作成し、10から20までの範囲の値を設定しています。
どの方法を選択するべきか
どの方法を選択するべきかは、状況によって異なります。
- シンプルな整数値入力が必要な場合は、
QSpinBox
を直接使用する方が簡単です。 - 独自のユーザーインターフェースが必要な場合は、カスタムダイアログボックスを使用する必要があります。
- 入力値の検証のみが必要な場合は、
QValidator
を使用するのが最も簡単です。