Qt GUIアプリケーション開発者必見！セッション復元機能を理解して使いこなす：QGuiApplication::isSessionRestored()

QGuiApplication::isSessionRestored() は、Qt GUIアプリケーションにおいて、前回のセッションから復元されたかどうかを確認するための関数です。セッション復元機能は、ユーザーがアプリケーションを終了した際に、ウィンドウの位置やサイズなどの状態を保存し、次回起動時に復元することで、使い勝手を向上させるために役立ちます。

戻り値

この関数は、セッションが復元された場合は true を、復元されなかった場合は false を返します。

詳細

セッション復元機能は、オペレーティングシステムによって提供される機能を利用して実装されます。具体的には、QtはQSettingsクラスを使用して、セッションデータを保存および読み込みます。

セッションデータには、以下の情報が含まれます。

ツールバーの状態
ドッキングされたウィンドウの位置
ウィンドウの状態 (最大化、最小化など)
ウィンドウの位置とサイズ

セッション復元機能は、以下の条件を満たす場合にのみ有効になります。

前回のセッションが正常に終了したこと
オペレーティングシステムがセッション復元機能をサポートしていること
アプリケーションが QGuiApplication::setAttribute(Qt::AA_EnableSessionRestore) を呼び出して、セッション復元を有効にしていること

例

以下のコード例は、QGuiApplication::isSessionRestored() を使用して、セッションが復元されたかどうかを確認する方法を示しています。

if (QGuiApplication::isSessionRestored()) {
  // セッションが復元されました
  qDebug() << "Session restored";
} else {
  // セッションが復元されませんでした
  qDebug() << "Session not restored";
}

QGuiApplication::saveStateRequest() は、アプリケーションの状態を保存するシグナルを発行します。
QGuiApplication::commitDataRequest() は、セッションデータをコミットするシグナルを発行します。
QGuiApplication::sessionId() は、現在のセッションの ID を取得します。

#include <QGuiApplication>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QGuiApplication app(argc, argv);

  if (QGuiApplication::isSessionRestored()) {
    // セッションが復元されました
    qDebug() << "Session restored";
  } else {
    // セッションが復元されませんでした
    qDebug() << "Session not restored";
  }

  // アプリケーションを実行
  return app.exec();
}

例2：セッションが復元された場合にウィンドウの位置とサイズを復元する

#include <QGuiApplication>
#include <QMainWindow>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QGuiApplication app(argc, argv);

  QMainWindow window;
  window.show();

  if (QGuiApplication::isSessionRestored()) {
    // セッションデータを読み込み、ウィンドウの位置とサイズを復元
    QSettings settings("MyCompany", "MyApp");
    window.restoreState(settings.value("windowState").toByteArray());
  }

  // アプリケーションを実行
  return app.exec();
}

#include <QGuiApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QToolBar>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QGuiApplication app(argc, argv);

  QMainWindow window;
  QToolBar *toolBar = new QToolBar(&window);
  toolBar->addAction("Action1");
  toolBar->addAction("Action2");
  window.addToolBar(Qt::TopToolBarArea, toolBar);
  window.show();

  if (QGuiApplication::isSessionRestored()) {
    // セッションデータを読み込み、ツールバーの状態を復元
    QSettings settings("MyCompany", "MyApp");
    window.restoreState(settings.value("windowState").toByteArray());
  }

  // アプリケーションを実行
  return app.exec();
}

代替方法

QSettings を直接使用する

QSettings クラスを使用して、セッションデータを直接読み込むことができます。この方法では、より詳細な制御が可能ですが、QGuiApplication::isSessionRestored() 関数よりもコード量が多くなります。

QSettings settings("MyCompany", "MyApp");
bool isSessionRestored = settings.contains("windowState");

if (isSessionRestored) {
  // セッションデータを読み込み、ウィンドウの位置とサイズを復元
  window.restoreState(settings.value("windowState").toByteArray());
}

イベントハンドラを使用する

QGuiApplication::applicationState(), QGuiApplication::commitDataRequest(), QGuiApplication::saveStateRequest() などのシグナルに接続することで、セッションの復元と保存を制御できます。この方法は、より柔軟な制御が可能ですが、イベントハンドラを適切に実装する必要があります。

void onApplicationStateChanged(int state) {
  if (state == QGuiApplication::ApplicationState::RestoringState) {
    // セッションが復元されました
    qDebug() << "Session restored";
  }
}

int main(int argc, char *argv[]) {
  QGuiApplication app(argc, argv);

  connect(&app, &QGuiApplication::applicationStateChanged, this, &onApplicationStateChanged);

  // アプリケーションを実行
  return app.exec();
}

それぞれの方法の利点と欠点

方法	利点	欠点
`QGuiApplication::isSessionRestored()`	シンプルで使いやすい	詳細な制御ができない
`QSettings` を直接使用する	詳細な制御が可能	コード量が多くなる
イベントハンドラを使用する	柔軟な制御が可能	イベントハンドラを適切に実装する必要がある

最適な方法の選択

最適な方法は、アプリケーションの要件によって異なります。

より詳細な制御が必要な場合は、QSettings を直接使用するまたはイベントハンドラを使用する必要があります。
シンプルで使いやすい方法が必要な場合は、QGuiApplication::isSessionRestored() 関数を使用するのがおすすめです。