グリッドレイアウトの行数を柔軟に取得:rowCount() と gridLayoutRealRowCount() の使い分け


QGridLayout::rowCount() は、Qt Widgets ライブラリにおける QGridLayout クラスのメソッドで、グリッドレイアウト内の行数を返します。グリッドレイアウトは、ウィジェットを行と列に整列して配置するために使用されるレイアウトマネージャーです。

構文

int rowCount() const

戻り値

グリッドレイアウト内の行数

詳細

QGridLayout::rowCount() メソッドは、グリッドレイアウト内に存在する行の数を返します。ただし、重要なのは、このメソッドは常にグリッドレイアウトに 内部的に割り当てられた行数 を返すということです。これは、実際にグリッドレイアウトに配置されているウィジェットの行数とは異なる場合があります。

例えば、グリッドレイアウトに 5 つの行を割り当てたとしても、実際に配置されているウィジェットが 3 行のみの場合、rowCount() メソッドは 5 を返します。これは、グリッドレイアウトに割り当てられた未使用の行が存在するためです。

QGridLayout layout;

// グリッドレイアウトに 5 つの行を割り当てる
layout.setRowCount(5);

// 3 つのウィジェットを配置する
layout.addWidget(new QLabel("Label 1"), 0, 0);
layout.addWidget(new QLineEdit(), 1, 0);
layout.addWidget(new QPushButton("Button"), 2, 0);

// 行数を取得する
int rowCount = layout.rowCount();

// rowCount は 5 を返す
qDebug() << "Row count:" << rowCount;

注意事項

QGridLayout::rowCount() メソッドは、内部的に割り当てられた行数を返すため、グリッドレイアウトに配置されている実際の行数とは異なる場合があります。実際の行数を取得するには、グリッドレイアウト内のウィジェットをカウントする必要があります。

また、QGridLayout::rowCount() メソッドは、グリッドレイアウトからウィジェットを削除しても更新されないことに注意する必要があります。これは、内部的に割り当てられた行数が変更されないためです。

代替方法

グリッドレイアウト内に配置されている実際の行数を取得するには、次の方法を使用できます。

  1. グリッドレイアウト内のすべてのウィジェットをループし、行数をカウントする。
  2. gridLayoutRealRowCount() 関数を使用する(この関数は、Qt Widgets 5.12 以降で使用できます)。
// グリッドレイアウト内のすべてのウィジェットをループして行数をカウントする
int rowCount = 0;
for (int i = 0; i < layout.rowCount(); ++i) {
  for (int j = 0; j < layout.columnCount(); ++j) {
    if (layout.itemAt(i, j)) {
      rowCount++;
    }
  }
}

// 行数を取得する
qDebug() << "Row count:" << rowCount;
// gridLayoutRealRowCount() 関数を使用する(Qt Widgets 5.12 以降)
int rowCount = gridLayoutRealRowCount(&layout);

// 行数を取得する
qDebug() << "Row count:" << rowCount;


#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QLineEdit>
#include <QPushButton>
#include <QGridLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成する
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  QLineEdit *lineEdit = new QLineEdit();
  QPushButton *button = new QPushButton("Button");

  // グリッドレイアウトを作成する
  QGridLayout layout;

  // グリッドレイアウトにウィジェットを配置する
  layout.addWidget(label1, 0, 0);
  layout.addWidget(lineEdit, 1, 0);
  layout.addWidget(button, 2, 0);

  // グリッドレイアウトをウィジェットに設定する
  QWidget widget;
  widget.setLayout(&layout);

  // ウィジェットを表示する
  widget.show();

  // 行数を取得する
  int rowCount = layout.rowCount();

  // 行数をログに出力する
  qDebug() << "Row count:" << rowCount;

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、次の出力がコンソールに表示されます。

Row count: 3

この例では、グリッドレイアウトに 3 つのウィジェット (label1lineEditbutton) が配置されています。そのため、rowCount() メソッドは 3 を返します。

以下のコードは、gridLayoutRealRowCount() 関数を使用して、グリッドレイアウト内に実際に配置されている行数を取得する例です。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QLineEdit>
#include <QPushButton>
#include <QGridLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成する
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  QLineEdit *lineEdit = new QLineEdit();
  QPushButton *button = new QPushButton("Button");

  // グリッドレイアウトを作成する
  QGridLayout layout;

  // グリッドレイアウトにウィジェットを配置する
  layout.addWidget(label1, 0, 0);
  layout.addWidget(lineEdit, 1, 0);
  layout.addWidget(button, 2, 0);

  // グリッドレイアウトから `button` ウィジェットを削除する
  layout.removeWidget(button);

  // グリッドレイアウトをウィジェットに設定する
  QWidget widget;
  widget.setLayout(&layout);

  // ウィジェットを表示する
  widget.show();

  // 行数を取得する
  int rowCount = layout.rowCount(); // この時点では 3 を返す

  // 実際に配置されている行数を取得する
  int realRowCount = gridLayoutRealRowCount(&layout);

  // 行数をログに出力する
  qDebug() << "Row count:" << rowCount; // 3 を出力
  qDebug() << "Real row count:" << realRowCount; // 2 を出力

  return app.exec();
}

この例では、グリッドレイアウトに 3 つのウィジェット (label1lineEditbutton) が配置されています。その後、button ウィジェットがグリッドレイアウトから削除されます。



そこで、QGridLayout::rowCount() の代替方法として、以下の方法が考えられます。

グリッドレイアウト内のすべてのウィジェットをループして行数をカウントする

これは、最も基本的な方法です。以下のコードのように、QGridLayout::itemAt() メソッドを使用して、グリッドレイアウト内の各セルに配置されているウィジェットをチェックし、行数をカウントします。

int rowCount = 0;
for (int i = 0; i < layout.rowCount(); ++i) {
  for (int j = 0; j < layout.columnCount(); ++j) {
    if (layout.itemAt(i, j)) {
      rowCount++;
    }
  }
}

gridLayoutRealRowCount() 関数を使用する

Qt Widgets 5.12 以降では、gridLayoutRealRowCount() 関数を使用して、グリッドレイアウト内に実際に配置されている行数を取得することができます。この関数は、内部的に割り当てられた行数ではなく、実際に配置されているウィジェットの行数を返します。

int rowCount = gridLayoutRealRowCount(&layout);

行数の変化を検知する

グリッドレイアウト内のウィジェットを追加したり削除したりした場合、rowCount() メソッドや gridLayoutRealRowCount() 関数を直接呼び出すのではなく、QGridLayout::rowsInserted()QGridLayout::rowsRemoved() などのシグナルに接続して、行数の変化を検知する方法もあります。

layout.connect(&layout, &QGridLayout::rowsInserted, this, &MyClass::handleRowsInserted);
layout.connect(&layout, &QGridLayout::rowsRemoved, this, &MyClass::handleRowsRemoved);

void MyClass::handleRowsInserted(int row, int count) {
  // 行が挿入されたときの処理
  qDebug() << "Rows inserted:" << row << count;
}

void MyClass::handleRowsRemoved(int row, int count) {
  // 行が削除されたときの処理
  qDebug() << "Rows removed:" << row << count;
}
方法メリットデメリット
グリッドレイアウト内のすべてのウィジェットをループして行数をカウントするシンプルで分かりやすいすべてのウィジェットをチェックする必要があるため、処理速度が遅くなる可能性がある
gridLayoutRealRowCount() 関数を使用する内部的に割り当てられた行数ではなく、実際に配置されている行数を取得できるQt Widgets 5.12 以降でのみ使用可能
行数の変化を検知する行数の変化を効率的に処理できるシグナルの接続が必要