【初心者でも安心】Qt Widgetsでグループボックスのフォーカスを思い通りに！～QGroupBox::focusInEvent()の使い方から応用例まで～

QGroupBox::focusInEvent()は、Qt WidgetsライブラリにおけるQGroupBoxクラスの仮想関数であり、グループボックスにフォーカスが入力された際に呼び出されます。この関数は、フォーカスがグループボックスに入った際に実行したい処理を記述するために使用されます。

構文

void QGroupBox::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
    // フォーカスが入力された際に実行したい処理を記述
}

引数

event: フォカスイベントの情報を含むQFocusEventオブジェクトへのポインタ

戻り値

なし

詳細

QGroupBox::focusInEvent()関数は、QWidget::focusInEvent()関数を再実装しています。デフォルトの実装では、何も処理されません。

この関数をオーバーライドすることで、フォーカスがグループボックスに入った際に、以下の処理を実行することができます。

グループボックスに関連するデータを更新する
グループボックスのスタイルを変更する
グループボックス内の特定のウィジェットにフォーカスを移動する

例

以下の例では、QGroupBox::focusInEvent()関数をオーバーライドして、フォーカスがグループボックスに入った際に、グループボックス内の最初のQRadioButtonウィジェットにフォーカスを移動するコードを示します。

void QGroupBox::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
    // グループボックス内の最初のQRadioButtonウィジェットを取得
    QRadioButton *radioButton = findChild<QRadioButton>();

    // ラジオボタンにフォーカスを移動
    if (radioButton) {
        radioButton->setFocus();
    }
}

#include <QtWidgets>

class MyGroupBox : public QGroupBox
{
public:
    MyGroupBox(const QString &title, QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void focusInEvent(QFocusEvent *event) override;
};

MyGroupBox::MyGroupBox(const QString &title, QWidget *parent)
    : QGroupBox(title, parent)
{
    // グループボックス内に3つのラジオボタンを作成
    QRadioButton *radioButton1 = new QRadioButton("ラジオボタン1", this);
    QRadioButton *radioButton2 = new QRadioButton("ラジオボタン2", this);
    QRadioButton *radioButton3 = new QRadioButton("ラジオボタン3", this);

    // ラジオボタンをグループ化
    QButtonGroup *buttonGroup = new QButtonGroup(this);
    buttonGroup->addButton(radioButton1);
    buttonGroup->addButton(radioButton2);
    buttonGroup->addButton(radioButton3);

    // ラジオボタンをレイアウト
    QVBoxLayout *vbox = new QVBoxLayout;
    vbox->addWidget(radioButton1);
    vbox->addWidget(radioButton2);
    vbox->addWidget(radioButton3);
    setLayout(vbox);
}

void MyGroupBox::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
    // グループボックス内の最初のQRadioButtonウィジェットを取得
    QRadioButton *radioButton = findChild<QRadioButton>();

    // ラジオボタンにフォーカスを移動
    if (radioButton) {
        radioButton->setFocus();
    }
}

このコードでは、MyGroupBox という名前の新しい QGroupBox クラスを作成しています。このクラスは、focusInEvent() 関数をオーバーライドして、フォーカスがグループボックスに入った際に最初の QRadioButton ウィジェットにフォーカスを移動するようにしています。

Qt Creator などの IDE を開き、新しい Qt Widgets アプリケーションプロジェクトを作成します。
プロジェクトをビルドして実行します。

グループボックスをクリックすると、グループボックス内の最初のラジオボタンにフォーカスが移動することが確認できます。

以下のコードは、QGroupBox::focusInEvent() 関数を使用して、フォーカスがグループボックスに入った際に、グループボックスのスタイルを変更する例です。

void MyGroupBox::focusInEvent(QFocusEvent *event)
{
    // グループボックスにフォーカスが入力されたことを示すためにスタイルを変更
    setStyleSheet("background-color: yellow;");
}

このコードでは、focusInEvent() 関数内で setStyleSheet() メソッドを使用して、グループボックスの背景色を黄色に変更しています。

グループボックスの状態と密接に結びついているQGroupBox::focusInEvent() 関数は、グループボックスの状態に依存して動作します。そのため、グループボックスの状態が変化すると、関数の動作も変化する可能性があります。
フォーカス遷移の制御が複雑になるQGroupBox::focusInEvent() 関数内でフォーカス遷移を制御する場合、複雑なロジックが必要になることがあります。

これらの欠点を克服するために、QGroupBox::focusInEvent() 関数の代わりに以下の代替方法を使用することができます。

QFocusPolicy を使用してフォーカス遷移を制御する

QFocusPolicy クラスを使用して、グループボックス内のウィジェットへのフォーカス遷移を制御することができます。QFocusPolicy には、以下のプロパティがあります。

TabPolicy: タブキーでフォーカスを設定するかどうかを制御します。
ClickPolicy: クリック時にフォーカスを設定するかどうかを制御します。

これらのプロパティを設定することで、グループボックス内のウィジェットへのフォーカス遷移をより柔軟に制御することができます。

例

class MyGroupBox : public QGroupBox
{
public:
    MyGroupBox(const QString &title, QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void focusInEvent(QFocusEvent *event) override { }
};

MyGroupBox::MyGroupBox(const QString &title, QWidget *parent)
    : QGroupBox(title, parent)
{
    // グループボックス内のすべてのウィジェットにフォーカス遷移を許可
    setFocusPolicy(Qt::TabFocusPolicy);
}

このコードでは、setFocusPolicy() メソッドを使用して、グループボックス内のすべてのウィジェットにフォーカス遷移を許可しています。

シグナルとスロットを使用してグループボックスの状態を監視する

QGroupBox クラスは、フォーカスが入力されたり、フォーカスが外れたりする際にシグナルを発行します。これらのシグナルをスロットに接続することで、グループボックスの状態を監視し、必要な処理を実行することができます。

例

class MyGroupBox : public QGroupBox
{
public:
    MyGroupBox(const QString &title, QWidget *parent = nullptr);

signals:
    void focusEntered();
    void focusLeft();

private slots:
    void onFocusEntered();
    void onFocusLeft();
};

MyGroupBox::MyGroupBox(const QString &title, QWidget *parent)
    : QGroupBox(title, parent)
{
    connect(this, &QGroupBox::focusEntered, this, &MyGroupBox::onFocusEntered);
    connect(this, &QGroupBox::focusLeft, this, &MyGroupBox::onFocusLeft);
}

void MyGroupBox::onFocusEntered()
{
    // グループボックスにフォーカスが入力されたときに実行したい処理
}

void MyGroupBox::onFocusLeft()
{
    // グループボックスからフォーカスが外れたときに実行したい処理
}

このコードでは、focusEntered() と focusLeft() シグナルを onFocusEntered() と onFocusLeft() スロットに接続しています。これらのスロット内で、グループボックスにフォーカスが入力されたときや、フォーカスが外れたときに必要な処理を実行することができます。

QGroupBox::focusInEvent() 関数は、フォーカスがグループボックスに入った際に実行したい処理を記述するために使用できる便利な関数です。しかし、この関数はいくつかの欠点があるため、状況によっては代替方法を使用する方が適切な場合があります。