ドラッグでテキストを思いのままに！Qt Widgets QGraphicsTextItem::dragMoveEvent()の使い方とサンプルコード

引数

この関数は、QGraphicsSceneDragDropEvent型の引数を受け取ります。このイベントオブジェクトには、ドラッグ操作に関する情報が含まれています。

処理内容

この関数のデフォルト実装では、テキストアイテムの位置をイベント内のpos()メソッドによって返される位置に更新します。また、update()メソッドを呼び出して、テキストアイテムの再描画を要求します。

カスタマイズ

アプリケーションのニーズに合わせて、この関数をカスタマイズすることができます。例えば、ドラッグ操作中にテキストアイテムのサイズを変更したり、他のアイテムとのインタラクションを実装したりすることができます。

例

以下のコード例は、テキストアイテムをドラッグ中にサイズを変更する例です。

void MyGraphicsTextItem::dragMoveEvent(QGraphicsSceneDragDropEvent *event)
{
    QGraphicsTextItem::dragMoveEvent(event);

    // ドラッグ開始時の位置を取得
    QPointF startPos = event->startPos();

    // 現在のマウス位置を取得
    QPointF mousePos = event->pos();

    // ドラッグによる位置変化を計算
    qreal dx = mousePos.x() - startPos.x();
    qreal dy = mousePos.y() - startPos.y();

    // テキストアイテムのサイズを更新
    setRect(boundingRect().x() + dx,
            boundingRect().y() + dy,
            boundingRect().width(),
            boundingRect().height());
}

この関数は、QGraphicsItem::setAcceptDrops()メソッドによってドラッグドロップが許可されている場合にのみ呼び出されます。
ドラッグ操作が終了したときに呼び出されるQGraphicsItem::dragLeaveEvent()関数もあります。
QGraphicsTextItem::dragMoveEvent()関数は、ドラッグ操作が開始されたときに最初に呼び出されるQGraphicsItem::mousePressEvent()関数とは異なります。

#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsTextItem>
#include <QPainter>

class MyGraphicsTextItem : public QGraphicsTextItem
{
public:
    MyGraphicsTextItem(const QString &text, QGraphicsScene *scene);

protected:
    virtual void dragMoveEvent(QGraphicsSceneDragDropEvent *event) override;
};

MyGraphicsTextItem::MyGraphicsTextItem(const QString &text, QGraphicsScene *scene)
    : QGraphicsTextItem(text, scene)
{
    setFlag(QGraphicsItem::ItemIsMovable, true);
}

void MyGraphicsTextItem::dragMoveEvent(QGraphicsSceneDragDropEvent *event)
{
    QGraphicsTextItem::dragMoveEvent(event);

    // ドラッグ開始時の位置を取得
    QPointF startPos = event->startPos();

    // 現在のマウス位置を取得
    QPointF mousePos = event->pos();

    // ドラッグによる位置変化を計算
    qreal dx = mousePos.x() - startPos.x();
    qreal dy = mousePos.y() - startPos.y();

    // テキストアイテムのサイズを更新
    setRect(boundingRect().x() + dx,
            boundingRect().y() + dy,
            boundingRect().width(),
            boundingRect().height());
}

このコードでは、MyGraphicsTextItemという名前の新しいクラスを定義しています。このクラスは、QGraphicsTextItemクラスを継承しており、テキストアイテムをドラッグ中にサイズを変更する機能を追加しています。

MyGraphicsTextItemクラスのコンストラクタは、テキストアイテムを初期化し、移動可能フラグを設定します。

dragMoveEvent()関数は、ドラッグ操作中のイベントを処理します。この関数は、ドラッグ開始時の位置と現在のマウス位置を取得し、ドラッグによる位置変化を計算します。次に、テキストアイテムのサイズを計算された位置変化に合わせて更新します。

#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsTextItem>
#include <QPainter>
#include <QList>

class MyGraphicsTextItem : public QGraphicsTextItem
{
public:
    MyGraphicsTextItem(const QString &text, QGraphicsScene *scene);

protected:
    virtual void dragMoveEvent(QGraphicsSceneDragDropEvent *event) override;
};

class MyGraphicsItem : public QGraphicsItem
{
public:
    MyGraphicsItem(const QRectF &rect, QGraphicsScene *scene);

protected:
    virtual void paint(QPainter *painter) override;
};

MyGraphicsTextItem::MyGraphicsTextItem(const QString &text, QGraphicsScene *scene)
    : QGraphicsTextItem(text, scene)
{
    setFlag(QGraphicsItem::ItemIsMovable, true);
}

void MyGraphicsTextItem::dragMoveEvent(QGraphicsSceneDragDropEvent *event)
{
    QGraphicsTextItem::dragMoveEvent(event);

    // ドラッグ中のアイテムをリストに格納
    QList<QGraphicsItem *> items = scene()->itemsAt(event->pos(), Qt::Contains);

    // ドラッグ中のアイテムをループ処理
    for (QGraphicsItem *item : items) {
        // アイテムが MyGraphicsItem クラスのインスタンスかどうかを確認
        if (MyGraphicsItem *myItem = dynamic_cast<MyGraphicsItem *>(item)) {
            // アイテムの色を変更
            myItem->setBrush(Qt::red);
        }
    }
}

MyGraphicsItem::MyGraphicsItem(const QRectF &rect, QGraphicsScene *scene)
    : QGraphicsItem(rect, scene)
{
    setBrush(Qt::green);
}

void MyGraphicsItem::paint(QPainter *painter)
{
    painter->drawRect(boundingRect());
}

このコードでは、MyGraphicsItemという名前の新しいクラスを定義しています。このクラスは、QGraphicsItemクラスを継承しており、緑色の矩形を描画する機能を追加しています。

しかし、状況によっては QGraphicsTextItem::dragMoveEvent() を使用するよりも、他の方法の方が適切な場合があります。以下に、いくつかの代替方法とその利点と欠点について説明します。

代替方法

QGraphicsItem::mousePressEvent() と QGraphicsItem::mouseMoveEvent() を使用する

この方法は、ドラッグ操作の開始時に QGraphicsItem::mousePressEvent() を呼び出し、ドラッグ中に QGraphicsItem::mouseMoveEvent() を繰り返し呼び出すことで、ドラッグ操作を処理します。この方法は、QGraphicsTextItem::dragMoveEvent() よりも柔軟性が高く、ドラッグ操作の開始と終了をより詳細に制御することができます。

利点

ドラッグ操作の開始と終了をより詳細に制御できる

欠点

コードが冗長になる可能性がある
ドラッグ操作中のテキストアイテムの位置更新を自分で行う必要がある

QGraphicsProxyItem を使用する

QGraphicsProxyItem は、別のアイテムを代理してイベントを処理するアイテムです。QGraphicsTextItem::dragMoveEvent() の代わりに QGraphicsProxyItem を使用することで、ドラッグ操作の処理をカプセル化することができます。

利点

コードが簡潔になる
ドラッグ操作の処理をカプセル化できる

欠点

QGraphicsProxyItem の使用方法を理解する必要がある

カスタムアイテムクラスを作成する

ドラッグ操作の処理を完全に制御したい場合は、カスタムアイテムクラスを作成することができます。この方法は、最も柔軟性が高く、アプリケーションのニーズに特化したドラッグ操作を実装することができます。

利点

アプリケーションのニーズに特化したドラッグ操作を実装できる
ドラッグ操作の処理を完全に制御できる

欠点

コードが複雑になる可能性がある

最適な方法の選択

最適な方法は、アプリケーションのニーズによって異なります。以下の点を考慮して、最適な方法を選択してください。

カプセル化
コードの簡潔性
ドラッグ操作の開始と終了を制御する必要があるかどうか

例

以下のコード例は、QGraphicsItem::mousePressEvent() と QGraphicsItem::mouseMoveEvent() を使用してテキストアイテムをドラッグする例です。

#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsTextItem>
#include <QPainter>

class MyGraphicsTextItem : public QGraphicsTextItem
{
public:
    MyGraphicsTextItem(const QString &text, QGraphicsScene *scene);

protected:
    virtual void mousePressEvent(QGraphicsSceneMouseEvent *event) override;
    virtual void mouseMoveEvent(QGraphicsSceneMouseEvent *event) override;
};

MyGraphicsTextItem::MyGraphicsTextItem(const QString &text, QGraphicsScene *scene)
    : QGraphicsTextItem(text, scene)
{
    setFlag(QGraphicsItem::ItemIsMovable, true);
}

void MyGraphicsTextItem::mousePressEvent(QGraphicsSceneMouseEvent *event)
{
    if (event->button() == Qt::LeftButton) {
        mousePressPos_ = event->pos();
    }
}

void MyGraphicsTextItem::mouseMoveEvent(QGraphicsSceneMouseEvent *event)
{
    if (event->buttons() & Qt::LeftButton) {
        QPointF delta = event->pos() - mousePressPos_;
        setPos(pos() + delta);
    }
}

このコードでは、MyGraphicsTextItemという名前の新しいクラスを定義しています。このクラスは、QGraphicsTextItemクラスを継承しており、mousePressEvent() と mouseMoveEvent() 関数を使用してテキストアイテムをドラッグする機能を追加しています。

mousePressEvent() 関数は、ドラッグ操作の開始時に呼び出されます。この関数は、マウスボタンが押されたときにマウスの位置を記録します。

mouseMoveEvent() 関数は、ドラッグ操作中に呼び出されます。この関数は、マウスボタンが押されたままマウスが移動したときに、テキストアイテムの位置を更新します。