Qt: 高度なレイアウト管理を実現するためのQGraphicsLayoutItem::ownedByLayout()メソッド
QGraphicsLayoutItem::ownedByLayout()
メソッドは、レイアウトがそのアイテムを所有しているかどうかを確認します。所有している場合、レイアウトは破棄されるときにそのアイテムも破棄します。
構文
bool QGraphicsLayoutItem::ownedByLayout() const;
戻り値
- アイテムがレイアウトによって所有されていない場合は
false
を返します。 - アイテムがレイアウトによって所有されている場合は
true
を返します。
QGraphicsLayoutItem *item = new QGraphicsItem();
QGraphicsGridLayout *layout = new QGraphicsGridLayout();
layout->addItem(item);
bool ownedByLayout = item->ownedByLayout();
// ownedByLayout は true を返します
- アイテムがレイアウトによって所有されている場合、そのアイテムはレイアウトから削除されるまで破棄されません。
- アイテムが複数のレイアウトに属している場合、
ownedByLayout()
メソッドは最初のレイアウトのみを返します。 - レイアウトがアイテムを所有しているかどうかを確認する以外に、
QGraphicsLayoutItem::setOwnedByLayout()
メソッドを使用して、アイテムの所有権を設定することもできます。
例1:アイテムがレイアウトによって所有されているかどうかを確認する
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsGridLayout>
#include <QGraphicsItem>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// レイアウトを作成
QGraphicsGridLayout *layout = new QGraphicsGridLayout();
// アイテムを作成
QGraphicsItem *item = new QGraphicsItem();
// アイテムをレイアウトに追加
layout->addItem(item);
// アイテムがレイアウトによって所有されているかどうかを確認
bool ownedByLayout = item->ownedByLayout();
if (ownedByLayout) {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されています";
} else {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されていません";
}
// シーンにレイアウトを追加
scene.addItem(layout);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
例2:アイテムの所有権を設定する
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsGridLayout>
#include <QGraphicsItem>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// レイアウトを作成
QGraphicsGridLayout *layout1 = new QGraphicsGridLayout();
QGraphicsGridLayout *layout2 = new QGraphicsGridLayout();
// アイテムを作成
QGraphicsItem *item = new QGraphicsItem();
// アイテムをレイアウト1に追加
layout1->addItem(item);
// アイテムの所有権をレイアウト2に設定
item->setOwnedByLayout(layout2);
// アイテムがレイアウト1によって所有されているかどうかを確認
bool ownedByLayout1 = item->ownedByLayout(layout1);
if (ownedByLayout1) {
qDebug() << "アイテムはレイアウト1によって所有されています";
} else {
qDebug() << "アイテムはレイアウト1によって所有されていません";
}
// アイテムがレイアウト2によって所有されているかどうかを確認
bool ownedByLayout2 = item->ownedByLayout(layout2);
if (ownedByLayout2) {
qDebug() << "アイテムはレイアウト2によって所有されています";
} else {
qDebug() << "アイテムはレイアウト2によって所有されていません";
}
// シーンにレイアウト1を追加
scene.addItem(layout1);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
- 例2 は、
QGraphicsLayoutItem::setOwnedByLayout()
メソッドを使用して、アイテムの所有権を設定する方法を示しています。 - 例1 は、
QGraphicsLayoutItem::ownedByLayout()
メソッドを使用して、アイテムがレイアウトによって所有されているかどうかを確認する方法を示しています。
- アイテムがレイアウトによって所有されているかどうかを確認する以外に、
QGraphicsLayoutItem::setOwnedByLayout()
メソッドを使用して、アイテムの所有権を設定することもできます。しかし、このメソッドは、アイテムがすでに別のレイアウトによって所有されている場合にエラーを発生する可能性があります。 - アイテムが複数のレイアウトに属している場合、
ownedByLayout()
メソッドは最初のレイアウトのみを返します。
これらの制限を回避するために、以下の代替方法を使用することができます。
QList<QGraphicsLayout*> 型のリストを使用する
この方法は、アイテムが属しているすべてのレイアウトを追跡するために、QList<QGraphicsLayout*>
型のリストを使用します。
QList<QGraphicsLayout*> layouts = item->parentLayouts();
bool ownedByAnyLayout = false;
for (QGraphicsLayout *layout : layouts) {
if (layout->ownedByLayout(item)) {
ownedByAnyLayout = true;
break;
}
}
if (ownedByAnyLayout) {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されています";
} else {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されていません";
}
QGraphicsItem::isAncestorOf() メソッドを使用する
この方法は、アイテムがレイアウトの子孫かどうかを確認するために、QGraphicsItem::isAncestorOf()
メソッドを使用します。
bool ownedByLayout = layout->isAncestorOf(item);
if (ownedByLayout) {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されています";
} else {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されていません";
}
カスタムフラグを使用する
この方法は、アイテムがレイアウトによって所有されているかどうかを示すために、カスタムフラグを使用します。
class MyGraphicsItem : public QGraphicsItem {
public:
void setOwnedByLayout(bool owned) {
m_ownedByLayout = owned;
}
bool ownedByLayout() const {
return m_ownedByLayout;
}
private:
bool m_ownedByLayout;
};
MyGraphicsItem *item = new MyGraphicsItem();
QGraphicsGridLayout *layout = new QGraphicsGridLayout();
layout->addItem(item);
item->setOwnedByLayout(true);
bool ownedByLayout = item->ownedByLayout();
if (ownedByLayout) {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されています";
} else {
qDebug() << "アイテムはレイアウトによって所有されていません";
}
それぞれの方法には利点と欠点があります。
- カスタムフラグを使用する 方法は、最も柔軟性がありますが、追加のコードとメンテナンスが必要になります。
QGraphicsItem::isAncestorOf()
メソッドを使用する 方法は、簡潔ですが、アイテムがレイアウトの子孫であるかどうかしか確認できません。QList<QGraphicsLayout*>
型のリストを使用する 方法は、アイテムが属しているすべてのレイアウトを取得するのに役立ちますが、コードが冗長になる可能性があります。