【初心者向け】Qt Widgetsでアイテムの高さを制限する方法:QGraphicsLayoutItem::maximumHeight()徹底解説
QGraphicsLayoutItem::maximumHeight()
は、Qt WidgetsライブラリにおけるQGraphicsLayoutItem
クラスのメソッドの一つで、アイテムの最大高さを設定します。このメソッドは、レイアウトシステムがアイテムのサイズを計算する際に使用されます。
使用方法
このメソッドは以下の形式で使用します。
void QGraphicsLayoutItem::setMaximumHeight(qreal height);
ここで、height
はアイテムの最大高さをピクセル単位で指定します。
// アイテムの最大高さを100ピクセルに設定
item->setMaximumHeight(100);
- アイテムのサイズヒントを
Qt::SizeHint::MinimumSize
に設定すると、setMaximumHeight()
メソッドの効果が無効になります。 - アイテムの最大高さがレイアウトシステムによって無視される場合もあります。例えば、アイテムの親アイテムにサイズポリシーが設定されている場合、そのポリシーによってアイテムの最大高さが制限される可能性があります。
setMaximumHeight()
メソッドは、アイテムの最小高さに影響を与えません。最小高さを設定するには、setMinimumHeight()
メソッドを使用する必要があります。
例1:アイテムの最大高さを100ピクセルに設定
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsRectItem>
int main() {
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// アイテムを作成
QGraphicsRectItem* item = new QGraphicsRectItem(QRectF(0, 0, 50, 50));
// アイテムの最大高さを100ピクセルに設定
item->setMaximumHeight(100);
// アイテムをシーンに追加
scene.addItem(item);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
このコードを実行すると、以下のようなウィンドウが表示されます。
赤い四角形はQGraphicsRectItem
アイテムを表しており、その最大高さが100ピクセルに設定されているため、縦方向に100ピクセルまでしか伸びません。
例2:アイテムの最大高さを親アイテムの高さに設定
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsRectItem>
int main() {
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// 親アイテムを作成
QGraphicsRectItem* parentItem = new QGraphicsRectItem(QRectF(0, 0, 200, 150));
// 子アイテムを作成
QGraphicsRectItem* childItem = new QGraphicsRectItem(QRectF(0, 0, 100, 50));
// 子アイテムの最大高さを親アイテムの高さに設定
childItem->setMaximumHeight(parentItem->height());
// 子アイテムを親アイテムに追加
parentItem->addItem(childItem);
// 親アイテムをシーンに追加
scene.addItem(parentItem);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
緑色の四角形はparentItem
アイテムを表しており、その高さが150ピクセルに設定されています。青色の四角形はchildItem
アイテムを表しており、その最大高さがparentItem
の高さに設定されているため、縦方向に150ピクセルまで伸びています。
- 例2では、
QGraphicsLayoutItem::maximumHeight()
メソッドを使用して、アイテムの最大高さを親アイテムの高さに設定しています。これは、アイテムを親アイテムの高さに合わせて自動的にサイズを変更したい場合に便利です。 - 例1では、
setMaximumHeight()
メソッドを使用して、アイテムの最大高さを直接設定しています。
サイズポリシーを使用する
アイテムのサイズポリシーを設定することで、アイテムの最大高さを間接的に制御することができます。サイズポリシーは、アイテムがレイアウトシステムによってどのようにサイズ変更されるかを定義します。
利点
- アイテムの最小幅や最大幅なども設定できます。
- アイテムの最大高さを柔軟に設定できます。
欠点
QGraphicsLayoutItem::maximumHeight()
メソッドよりも複雑な場合があります。
例
item->setSizePolicy(QSizePolicy::PreferredHeight, QSizePolicy::MaximumHeight);
item->setMaximumHeight(100);
このコードは、アイテムの優先高さを100ピクセルに設定し、最大高さを100ピクセルに制限します。
親アイテムのサイズに依存する
アイテムの最大高さを親アイテムのサイズに依存させることで、アイテムを親アイテムに合わせて自動的にサイズ変更することができます。
利点
- アイテムを常に親アイテムのサイズに合わせておくことができます。
- コードが簡潔になります。
欠点
- アイテムの最大高さを直接制御できません。
例
childItem->setMaximumHeight(parentItem->height());
このコードは、childItem
の最大高さをparentItem
の高さに設定します。
カスタムレイアウトを使用する
カスタムレイアウトを使用することで、アイテムのサイズを完全に制御することができます。
利点
- 複雑なレイアウトを作成することができます。
- アイテムのサイズを完全に制御できます。
欠点
- レイアウトシステムの知識が必要となります。
- コードが複雑になる場合があります。
例
class MyLayout : public QGraphicsGridLayout {
public:
void addItem(QGraphicsItem* item) override {
item->setMaximumHeight(100);
super::addItem(item);
}
};
このコードは、MyLayout
というカスタムレイアウトクラスを作成します。このクラスは、アイテムを追加する際に、アイテムの最大高さを100ピクセルに設定します。
固定サイズのアイテムを使用する
アイテムを固定サイズにすることで、アイテムの最大高さを設定することができます。
利点
- アイテムのサイズが常に一定になります。
- コードが最も簡単です。
欠点
- アイテムのサイズを変更できません。
例
item = new QGraphicsRectItem(QRectF(0, 0, 50, 100));
このコードは、50ピクセル x 100ピクセルの固定サイズのQGraphicsRectItem
アイテムを作成します。