Qt GUIプログラミングの醍醐味: QFontMetricsF::boundingRect() を使いこなして、自由度の高いレイアウトを構築
この関数は、テキストレイアウトやテキスト描画などの様々な場面で役立ちます。例えば、以下の用途で使用できます。
- テキストの位置決め
テキストをウィンドウ内の中央に配置したり、特定の位置に配置したりすることができます。 - テキストの折り返し
テキストがウィンドウの幅を超える場合、自動的に折り返して表示することができます。 - テキストボックスのサイズ調整
テキストボックスのサイズを、テキストの内容に合わせて自動的に調整することができます。
QFontMetricsF::boundingRect() の基本的な使い方は以下の通りです。
QFontMetricsF fontMetrics(font);
QRectF boundingRect = fontMetrics.boundingRect(text);
このコードは、font
というフォントオブジェクトを使用して、text
というテキスト文字列の境界矩形を取得します。boundingRect
変数には、取得された境界矩形の情報が格納されます。
QFontMetricsF::boundingRect() には、以下の引数とオプションフラグがあります。
- flags
境界矩形の計算方法を制御するオプションフラグ (デフォルトは 0)- Qt::TextElideMode::ElideNone
テキストを省略せずに境界矩形を計算します。 - Qt::TextElideMode::ElideLeft
テキストの先頭部分を省略して境界矩形を計算します。 - Qt::TextElideMode::ElideRight
テキストの末尾部分を省略して境界矩形を計算します。 - Qt::TextElideMode::ElideMiddle
テキストの中央部分を省略して境界矩形を計算します。
- Qt::TextElideMode::ElideNone
- text
境界矩形を取得したいテキスト文字列
QFontMetricsF::boundingRect() の戻り値は、QRectF
オブジェクトです。QRectF
オブジェクトには、以下の情報が含まれます。
- height
境界矩形の高さ - width
境界矩形の幅 - y
境界矩形の左上角のY座標 - x
境界矩形の左上角のX座標
QFontMetricsF::boundingRect() を使用する場合、以下の点に注意する必要があります。
- 境界矩形は、フォントの現在のサイズとスタイルに基づいて計算されます。
- テキストに改行文字が含まれている場合、改行文字は次の行の始まりとして扱われます。
- テキストにタブ文字が含まれている場合、タブ文字は空白文字として扱われます。
QFontMetricsF::boundingRect() は、Qt GUIにおける強力なツールであり、テキストレイアウトやテキスト描画などの様々な場面で役立ちます。この関数の使用方法を理解することで、より柔軟で洗練されたユーザーインターフェースを作成することができます。
- 本解説は、プログラミングの基礎知識があることを前提としています。
- 本解説は、Qt 6.x を基に作成されています。古いバージョンの Qt では、関数の仕様や戻り値などが異なる場合があります。
#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QLineEdit>
#include <QVBoxLayout>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ラベルとテキストボックスを作成
QLabel label("テキストを入力してください:");
QLineEdit lineEdit;
// テキストボックスのサイズを自動的に調整する
connect(lineEdit, &QLineEdit::textChanged, [&]() {
QFontMetricsF fontMetrics(lineEdit.font());
QRectF boundingRect = fontMetrics.boundingRect(lineEdit.text());
lineEdit.resize(boundingRect.width() + 10, boundingRect.height() + 10);
});
// レイアウトを構成
QVBoxLayout layout;
layout.addWidget(&label);
layout.addWidget(&lineEdit);
// ウィンドウを作成して表示
QWidget window;
window.setLayout(&layout);
window.show();
return app.exec();
}
このコードでは、まずラベルとテキストボックスを作成します。次に、connect()
関数を使用して、テキストボックスの textChanged
シグナルをスロットに接続します。このスロットは、テキストボックスの内容が変更されるたびに呼び出されます。
スロット内では、QFontMetricsF::boundingRect()
関数を使用して、テキストボックスのテキストの境界矩形を取得します。そして、取得した境界矩形の幅と高さに 10 ピクセルを追加した値を、テキストボックスの新しいサイズとして設定します。
このコードを実行すると、テキストボックスにテキストを入力すると、その内容に合わせてテキストボックスのサイズが自動的に調整されることがわかります。
- このコードはあくまで一例であり、状況に合わせて様々な方法で応用することができます。
- テキストボックスのフォントを変更したり、ボーダー幅を変更したりして、境界矩形の影響を確認することができます。
- このコードは、Qt Creator で簡単に実行できます。
QPainter::drawText() を使用する
QPainter::drawText()
関数は、テキストを描画するために使用できます。この関数は、テキストの境界矩形も返します。
QPainter painter(widget);
QFont font("Arial", 12);
painter.setFont(font);
QRectF boundingRect = painter.drawText(QRect(0, 0, 100, 30), Qt::AlignCenter, "Hello, World!");
このコードは、"Hello, World!" というテキストをウィジェットの中央に描画し、その境界矩形を取得します。
QTextLayout を使用する
QTextLayout
クラスは、テキストレイアウトを管理するために使用できます。このクラスには、テキストの境界矩形を取得するメソッドがあります。
QTextLayout layout;
layout.setText("Hello, World!");
QRectF boundingRect = layout.boundingRect();
このコードは、"Hello, World!" というテキストのレイアウトを作成し、その境界矩形を取得します。
QTextBlock を使用する
QTextBlock
クラスは、テキストブロックを表します。このクラスには、テキストブロックの境界矩形を取得するメソッドがあります。
QTextDocument document;
document.setPlainText("Hello, World!");
QTextBlock block = document.firstBlock();
QRectF boundingRect = block.boundingRect();
このコードは、"Hello, World!" というテキストを含むテキストドキュメントを作成し、最初のテキストブロックの境界矩形を取得します。
それぞれの方法の利点と欠点
- QTextBlock
- 利点: テキストドキュメントの一部であるテキストブロックの境界矩形を取得できる
- 欠点: テキストドキュメントを使用する必要がある
- QTextLayout
- 利点: テキストのレイアウトを詳細に制御できる
- 欠点: 複雑で、多くの場合必要以上に複雑
- QPainter::drawText()
- 利点: テキストのレイアウトを考慮できる
- 欠点: 少し複雑
- QFontMetricsF::boundingRect()
- 利点: シンプルで使いやすい
- 欠点: テキストのレイアウトを考慮しない
どの方法を使用するかは、状況によって異なります。QFontMetricsF::boundingRect() は、シンプルで使いやすい方法ですが、テキストのレイアウトを考慮しないという欠点があります。QPainter::drawText() は、テキストのレイアウトを考慮できる方法ですが、少し複雑です。QTextLayout は、テキストのレイアウトを詳細に制御できる方法ですが、複雑で、多くの場合必要以上に複雑です。QTextBlock は、テキストドキュメントの一部であるテキストブロックの境界矩形を取得できる方法ですが、テキストドキュメントを使用する必要があります。
- 本説明は、プログラミングの基礎知識があることを前提としています。
- 本説明は、Qt 6.x を基に作成されています。古いバージョンの Qt では、関数の仕様や戻り値などが異なる場合があります。