【初心者向け】Qt Widgetsでダイヤル部品を操作: QDial::event()の使い方

QDial::event()は、Qt WidgetsライブラリにおけるQDialクラスの仮想保護関数です。この関数は、イベントがウィジェットに送信されたときに呼び出され、イベントを処理する責任を負います。

処理内容

QDial::event()は以下の処理を行います。

1. イベントの種類を判別
   送信されたイベントの種類を判別します。
2. イベントに応じた処理
   イベントの種類に応じて、適切な処理を行います。例えば、マウスイベントの場合は、ユーザーのマウス操作を処理し、ダイヤルの値を更新します。
3. 必要に応じて親クラスのevent()を呼び出す
   イベント処理が完了したら、必要に応じて親クラスのevent()を呼び出し、イベント処理を伝えます。

イベント処理例

以下は、マウスドラッグイベント(QMouseEvent::MouseMove)が発生した場合のQDial::event()の処理例です。

bool QDial::event(QEvent *e)
{
    if (e->type() == QEvent::MouseMove) {
        QMouseEvent *me = static_cast<QMouseEvent *>(e);
        if (me->buttons() & Qt::LeftButton) {
            int delta = me->globalPos().y() - startPosition.y();
            int angle = (delta * 360) / height();
            setValue(angle);
            update();
            emit valueChanged(angle);
            return true;
        }
    }

    return QAbstractSlider::event(e);
}

この例では、以下の処理が行われています。

1. イベントの種類がQEvent::MouseMoveであるかどうかを判別します。
2. マウスの左ボタンが押されているかどうかを判別します。
3. マウスの移動距離に基づいて、ダイヤルの角度を計算します。
4. ダイヤルの値を更新します。
5. ウィジェットを再描画します。
6. valueChangedシグナルをemitします。
7. イベント処理が完了したので、trueを返します。

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例 1: 単純な値更新

この例では、QDial::event() 関数を使用して、マウスドラッグ操作によってダイヤルの値を更新する方法を示します。

class MyDial : public QDial
{
public:
    MyDial(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    virtual bool event(QEvent *e) override;
};

MyDial::MyDial(QWidget *parent) : QDial(parent)
{
    setRange(0, 100);
}

bool MyDial::event(QEvent *e)
{
    if (e->type() == QEvent::MouseMove) {
        QMouseEvent *me = static_cast<QMouseEvent *>(e);
        if (me->buttons() & Qt::LeftButton) {
            int delta = me->globalPos().y() - startPosition.y();
            int value = (delta * maximum()) / height();
            setValue(value);
            update();
            emit valueChanged(value);
            return true;
        }
    }

    return QAbstractSlider::event(e);
}

例 2: カスタムスナップ機能

この例では、QDial::event() 関数を使用して、ダイヤルの値を特定の値にスナップする方法を示します。

class MyDial : public QDial
{
public:
    MyDial(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    virtual bool event(QEvent *e) override;
};

MyDial::MyDial(QWidget *parent) : QDial(parent)
{
    setRange(0, 100);
    snapValues << 20 << 40 << 60 << 80;
}

bool MyDial::event(QEvent *e)
{
    if (e->type() == QEvent::MouseMove) {
        QMouseEvent *me = static_cast<QMouseEvent *>(e);
        if (me->buttons() & Qt::LeftButton) {
            int delta = me->globalPos().y() - startPosition.y();
            int value = (delta * maximum()) / height();

            // スナップ値に最も近い値を検索
            int nearestSnapValue = snapValues.valueAt(0);
            int nearestSnapValueDistance = abs(value - nearestSnapValue);
            for (int i = 1; i < snapValues.size(); ++i) {
                int snapValue = snapValues.valueAt(i);
                int distance = abs(value - snapValue);
                if (distance < nearestSnapValueDistance) {
                    nearestSnapValue = snapValue;
                    nearestSnapValueDistance = distance;
                }
            }

            // スナップ値に設定
            setValue(nearestSnapValue);
            update();
            emit valueChanged(nearestSnapValue);
            return true;
        }
    }

    return QAbstractSlider::event(e);
}

この例では、snapValues リストにスナップ値を定義しています。マウスドラッグ操作中に、現在の値がどのスナップ値に最も近いかを計算し、値をスナップ値に設定します。

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代替方法

QDial::event() の代替方法として、以下の方法が考えられます。

• シグナルとスロットを使用する
  QDial クラスは、値が変更されたときに emit される valueChanged() シグナルなど、いくつかのシグナルを提供しています。これらのシグナルをスロットに接続することで、イベントを処理することができます。
• 独自のイベントハンドラを実装する
  QDial::event() 関数を使用せずに、独自のイベントハンドラを実装することもできます。この方法では、よりきめ細かい制御が可能ですが、より多くのコードを書く必要もあります。
• QAbstractSlider::event() 関数を使用する
  QDial クラスは QAbstractSlider クラスを継承しているため、QAbstractSlider::event() 関数を使用することができます。この関数は、QDial::event() 関数とほぼ同じ機能を提供しますが、より汎用的なものです。

代替方法の選択

どの代替方法を使用するかは、具体的な要件によって異なります。

• 特定のイベントのみを処理する場合は、シグナルとスロットを使用するのが効率的です。
• よりきめ細かい制御が必要な場合は、独自のイベントハンドラを実装する必要があります。
• シンプルさを重視する場合は、QAbstractSlider::event() 関数を使用するのがおすすめです。

例

以下に、QAbstractSlider::event() 関数を使用する例を示します。

class MyDial : public QDial
{
public:
    MyDial(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    virtual bool event(QEvent *e) override;
};

MyDial::MyDial(QWidget *parent) : QDial(parent)
{
    setRange(0, 100);
}

bool MyDial::event(QEvent *e)
{
    if (e->type() == QEvent::MouseMove) {
        QMouseEvent *me = static_cast<QMouseEvent *>(e);
        if (me->buttons() & Qt::LeftButton) {
            int delta = me->globalPos().y() - startPosition.y();
            int value = (delta * maximum()) / height();
            setValue(value);
            update();
            emit valueChanged(value);
            return true;
        }
    }

    return QAbstractSlider::event(e); // QAbstractSlider::event() を呼び出す
}

この例では、QAbstractSlider::event() 関数を呼び出すことで、QDial::event() 関数のデフォルトの動作を継承しています。