【保存版】Qt Widgets:QCommonStyle::subControlRect()でサブコントロールを自由自在に操る
QCommonStyle::subControlRect()
は、Qt Widgetsにおける複雑なウィジェットのサブコントロールの矩形を取得するための関数です。複雑なウィジェットとは、ボタンやスライダーなどの複数の要素で構成されるウィジェットを指します。サブコントロールとは、複雑なウィジェット内の個々の要素を指します。
機能
QCommonStyle::subControlRect()
は、以下のパラメータを受け取り、サブコントロールの矩形を返します。
widget
: 複雑なウィジェットを表すQWidget
型のポインタ(省略可能)sc
: サブコントロールの種類を表すQStyle::SubControl
型の値option
: ウィジェットの状態を表すQStyleOptionComplex
型のポインタcontrol
: 複雑なウィジェットの種類を表すQStyle::ComplexControl
型の値
例
// プッシュボタンの矢印部分の矩形を取得
QRect arrowRect = style->subControlRect(QStyle::CC_PushButton, option, SC_PushButton_Arrow);
この例では、style
はQCommonStyle
型のポインタ、option
はプッシュボタンの状態を表すQStyleOptionComplex
型のポインタ、arrowRect
は矢印部分の矩形を表すQRect
型の変数です。
注意点
- サブコントロールの矩形は、ウィジェットの状態やスタイルによって異なる場合があります。
- サブコントロールの種類は、
QStyle::SubControl
型の列挙体で定義されています。 QCommonStyle::subControlRect()
は、複雑なウィジェットのサブコントロールの矩形を取得するための関数であり、一般的には直接使用することはありません。
QCommonStyle::subControlRect()
は、内部的にQStyle::subControlRect()
を呼び出すため、QCommonStyle
ではなくQStyle
を使用することもできます。
QRect arrowRect = style->subControlRect(QStyle::CC_PushButton, option, SC_PushButton_Arrow, widget);
この例では、style
はQStyle
型のポインタです。
#include <QApplication>
#include <QPushButton>
#include <QPainter>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// プッシュボタンを作成
QPushButton button("ボタン");
button.show();
// プッシュボタンの矢印部分の矩形を取得
QRect arrowRect = button.style()->subControlRect(QStyle::CC_PushButton, &button.styleOption(), SC_PushButton_Arrow);
// ペインターを作成
QPainter painter(&button);
// 矢印部分を赤色で塗りつぶす
painter.setBrush(Qt::red);
painter.drawRect(arrowRect);
return app.exec();
}
例2:スライダーのつまみ部分の矩形を取得し、その位置をログに出力する
#include <QApplication>
#include <QSlider>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// スライダーを作成
QSlider slider(Qt::Horizontal);
slider.show();
// スライダーのつまみ部分の矩形を取得
QRect thumbRect = slider.style()->subControlRect(QStyle::CC_Slider, &slider.styleOption(), SC_Slider_Thumb);
// つまみの位置をログに出力
qDebug() << "Thumb position: " << thumbRect.center();
return app.exec();
}
説明
- スライダーの例では、つまみ部分の矩形を取得し、その位置をログに出力しています。
- プッシュボタンの例では、矢印部分の矩形を取得し、赤色で塗りつぶしています。
- 上記のコードは、
QCommonStyle::subControlRect()
を使用して、プッシュボタンとスライダーのサブコントロールの矩形を取得しています。
これらの例は、QCommonStyle::subControlRect()
を使用して複雑なウィジェットの外観をカスタマイズしたり、サブコントロールのイベントを処理したりする方法を示しています。
上記以外にも、QCommonStyle::subControlRect()
を使用して、様々なサブコントロールの矩形を取得することができます。
- ツリーウィジェットのアイテム
- 日付選択ウィジェットのカレンダー
- コンボボックスのドロップダウンリスト
- チェックボックスのチェック部分
これらのサブコントロールの矩形を取得することで、様々なカスタマイズやイベント処理を行うことができます。
代替方法
以下に、QCommonStyle::subControlRect()
の代替方法をいくつか紹介します。
- ウィジェット固有の関数を使用する
多くの複雑なウィジェットには、サブコントロールの矩形を取得するための固有の関数を提供しています。例えば、QPushButton
にはarrowRect()
関数、QSlider
にはthumbRect()
関数があります。これらの関数は、QCommonStyle::subControlRect()
よりも効率的で、より正確な矩形を取得できる場合があります。
- 幾何計算を使用する
サブコントロールの矩形が単純な形状である場合は、幾何計算を使用して矩形を計算することができます。例えば、プッシュボタンの矢印部分の矩形は、ボタンのサイズとスタイルに基づいて計算することができます。
- ネイティブ APIを使用する
プラットフォーム固有の API を使用して、サブコントロールの矩形を取得することもできます。これは、より高度なカスタマイズが必要な場合に役立ちます。
それぞれの方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
ウィジェット固有の関数 | 効率的、正確 | すべてのウィジェットで利用可能ではない |
幾何計算 | シンプル、軽量 | 複雑な形状には対応できない |
ネイティブ API | 高度なカスタマイズが可能 | プラットフォーム固有の知識が必要 |
具体的な例
以下に、QCommonStyle::subControlRect()
の代替方法の具体的な例を示します。
例1:QPushButtonのarrowRect()関数を使用する
QRect arrowRect = button.arrowRect();
この例では、button
はQPushButton
型の変数です。arrowRect()
関数は、プッシュボタンの矢印部分の矩形を返します。
例2:幾何計算を使用してプッシュボタンの矢印部分の矩形を計算する
QRect arrowRect;
arrowRect.setWidth(button.size().height() / 2);
arrowRect.setHeight(arrowRect.width());
arrowRect.moveTo(button.rect().center() - arrowRect.center());
この例では、button
はQPushButton
型の変数です。上記のコードは、プッシュボタンのサイズとスタイルに基づいて、矢印部分の矩形を計算します。