readline.set_startup_hook()でできること: キーバインド設定、編集モード設定、履歴ファイル設定など


インタプリタ起動時の初期設定

readline モジュールは、コマンドラインインタプリタにおけるテキスト入出力機能を拡張するために使用されます。readline.set_startup_hook() を使用して、以下の設定を行うことができます。

  • 編集モードの設定: vi や emacs などの、テキスト編集におけるキーバインドを設定できます。
  • キーバインドの設定: カーソル移動、文字の削除、補完など、コマンドライン操作におけるキー動作を設定できます。

: 以下のコードは、カーソルを左に移動するキーを Ctrl-b に設定します。

import readline

def my_startup_hook():
    readline.parse_and_bind("C-b: backward-char")

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

入力内容への事前設定

readline.set_startup_hook() を使用して、インタプリタ起動時にあらかじめ入力欄にテキストを設定することができます。これは、例えば、以下の場合に役立ちます。

  • 前回の入力内容を自動的に表示したい場合
  • ユーザーにデフォルト値を提示したい場合

: 以下のコードは、ユーザー名入力を促すプロンプトに、デフォルト値として "Alice" を設定します。

import readline

def my_startup_hook():
    readline.insert_text("Alice ")

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

username = input("ユーザー名を入力してください: ")
print(f"入力されたユーザー名: {username}")

注意点

  • readline.set_startup_hook() は、すべてのプラットフォームで利用できるわけではありません。利用可否については、readline モジュールのドキュメントを参照してください。
  • readline.set_startup_hook() で設定される関数は、インタプリタ起動時にのみ実行されます。インタプリタ実行中に設定を変更するには、readline モジュールの他の関数を使用する必要があります。

readline.set_startup_hook() は、Python のテキスト処理において、インタプリタ起動時の初期設定や入力内容への事前設定を行うために役立ちます。コマンドラインインタプリタの使い勝手向上や、ユーザー入力の円滑化などに活用できます。

  • readline モジュール以外にも、Python でテキスト処理を行うための様々なモジュールやライブラリが用意されています。用途に応じて適切なライブラリを選択することが重要です。
  • readline モジュールは、C 言語ライブラリの readline を Python から利用するためのラッパーモジュールです。そのため、readline モジュールの詳細な動作については、C 言語ライブラリの readline のドキュメントも参照する必要があります。


キーバインドの設定

この例では、カーソルを左に移動するキーを Ctrl-b に、カーソルを右に移動するキーを Ctrl-f に設定します。

import readline

def my_startup_hook():
    readline.parse_and_bind("C-b: backward-char")
    readline.parse_and_bind("C-f: forward-char")

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

# 以下はサンプルコードです。実際には、必要な処理を記述してください。
print("readline モジュールを使用してキーバインドを設定しました。")

編集モードの設定

この例では、テキスト編集における vi モードを設定します。

import readline

def my_startup_hook():
    readline.parse_and_bind("vi: set editing-mode vi")

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

# 以下はサンプルコードです。実際には、必要な処理を記述してください。
print("readline モジュールを使用して編集モードを vi に設定しました。")

入力内容への事前設定

この例では、ユーザー名入力を促すプロンプトに、デフォルト値として "Alice" を設定します。

import readline

def my_startup_hook():
    readline.insert_text("Alice ")

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

username = input("ユーザー名を入力してください (デフォルト: Alice): ")
print(f"入力されたユーザー名: {username}")

履歴ファイルの場所の設定

この例では、履歴ファイルの場所を ~/.myhistory に設定します。

import os
import readline

def my_startup_hook():
    histfile = os.path.join(os.path.expanduser("~"), ".myhistory")
    readline.set_histfile(histfile)

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

# 以下はサンプルコードです。実際には、必要な処理を記述してください。
print("readline モジュールを使用して履歴ファイルの場所を設定しました。")

補完機能の設定

この例では、補完候補に、現在のディレクトリにあるすべての Python ファイルを追加します。

import os
import readline

def my_startup_hook():
    def completer(text, state):
        matches = []
        for filename in os.listdir():
            if filename.endswith(".py") and filename.startswith(text):
                matches.append(filename)
        return matches[state:]

    readline.set_completer(completer)

readline.set_startup_hook(my_startup_hook)

# 以下はサンプルコードです。実際には、必要な処理を記述してください。
print("readline モジュールを使用して補完機能を設定しました。")


代替方法

  • rc ファイルを使用する

readline モジュールは、rc ファイル と呼ばれる設定ファイルを使用して、インタプリタ起動時の設定を行うことができます。rc ファイルは、~/.pyhistory などのファイル名で、readline モジュールが読み込むディレクトリに配置されます。

rc ファイルには、キーバインド、編集モード、履歴ファイルの場所などの設定を記述することができます。readline.set_startup_hook() を使用せずにこれらの設定を行うことができます。

: 以下のコードは、rc ファイルにキーバインドの設定を記述した例です。

# ~/.pyhistory ファイル

# カーソルを左に移動するキーを `Ctrl-b` に設定
bind \C-b backward-char

# カーソルを右に移動するキーを `Ctrl-f` に設定
bind \C-f forward-char
  • モジュールを直接インポートする

readline モジュールは、readline モジュールを直接インポートすることで、インタプリタ起動時に設定を行うこともできます。

: 以下のコードは、readline モジュールの parse_and_bind() 関数を使用してキーバインドを設定した例です。

import readline

# カーソルを左に移動するキーを `Ctrl-b` に設定
readline.parse_and_bind("C-b: backward-char")

# カーソルを右に移動するキーを `Ctrl-f` に設定
readline.parse_and_bind("C-f: forward-char")

# 以下はサンプルコードです。実際には、必要な処理を記述してください。
print("readline モジュールを直接インポートして設定を行いました。")
  • 実行タイミング: rc ファイルは、インタプリタ起動時にのみ読み込まれます。readline.set_startup_hook() を使用して設定を行う場合は、コードが実行されるタイミングで設定を行うことができます。
  • 移植性: rc ファイルは、ユーザーのホームディレクトリに保存されるため、異なる環境間で移植性が低くなります。readline.set_startup_hook() を使用して設定を行う場合は、コードを直接記述するため、移植性が高くなります。
  • 設定の複雑さ: rc ファイルを使用する場合は、設定をファイルに記述する必要があるため、readline.set_startup_hook() を使用するよりも複雑になる場合があります。