Python Matplotlib テーブルのテキスト装飾:set_text_props() 詳細解説
具体的には、このメソッドはキーワード引数を受け取り、それらの引数に対応するテキストのプロパティを更新します。よく使われるプロパティには以下のようなものがあります。
alpha
: テキストの透明度を 0(完全に透明)から 1(完全に不透明)の範囲で指定します。rotation
: テキストの回転角度を度数で指定します。- verticalalignment (または va)
テキストの垂直方向の配置を指定します。'top'
、'center'
、'bottom'
、'baseline'
のいずれかを指定します。 - horizontalalignment (または ha)
テキストの水平方向の配置を指定します。'left'
、'center'
、'right'
のいずれかを指定します。 fontstyle
: テキストのフォントスタイルを指定します。'normal'
、'italic'
、'oblique'
などがあります。fontweight
: テキストのフォントの太さを指定します。'normal'
、'bold'
、'light'
などの文字列や、数値(100から900まで、400が normal、700が bold)で指定できます。fontsize
: テキストのフォントサイズを指定します。数値でポイント数を指定したり、'small'
、'large'
などの文字列で相対的なサイズを指定したりできます。color
: テキストの色を指定します。例えば、'red'
、'#00FF00'
、(0, 0, 1)
のように指定できます。
使用例
例えば、table
オブジェクトの 2 行目、3 列目のセルにあるテキストの色を青色、フォントサイズを大きく、中央揃えにしたい場合、以下のようなコードになります。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['A1', 'B1', 'C1'],
['A2', 'B2', 'C2'],
['A3', 'B3', 'C3']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
# 2行目(インデックスは1)、3列目(インデックスは2)のセルを取得
cell = table[1, 2]
# テキストのプロパティを設定
cell.set_text_props(color='blue', fontsize=14, ha='center', va='center')
ax.add_table(table)
plt.show()
この例では、まず Table
オブジェクトを作成し、データをセルに追加しています。その後、インデックスを使って特定のセルを取得し、そのセルの set_text_props()
メソッドを使ってテキストの色を青、フォントサイズを 14 ポイント、水平方向と垂直方向の配置を中央に設定しています。
存在しないプロパティ名の指定
- トラブルシューティング
- Matplotlib の公式ドキュメントで、
Text
オブジェクト (セルのテキストはText
オブジェクトとして扱われます) がサポートしているプロパティ名を確認してください。 - キーワード引数のスペルが正しいか再度確認してください。
- 使用している Matplotlib のバージョンが古い場合は、最新バージョンにアップデートすることを検討してください。
- Matplotlib の公式ドキュメントで、
- 原因
set_text_props()
に存在しないキーワード引数を渡した場合に起こります。例えば、スペルミスや、古いバージョンの Matplotlib でのみ有効なプロパティ名を指定した場合などです。 - エラー
TypeError: set_text_props() got an unexpected keyword argument 'invalid_property'
のようなエラーが発生します。
不適切なデータ型の指定
- トラブルシューティング
- 各プロパティが受け付けるデータ型を Matplotlib のドキュメントで確認してください。
- 指定している値が正しいデータ型であるか確認してください。
- 型変換が必要な場合は、明示的に型を変換してください。
- 原因
各プロパティには期待されるデータ型があります。例えば、color
は文字列または RGB/RGBA のタプル、fontsize
は数値または特定の文字列などです。 - エラー
具体的なエラーメッセージは指定したプロパティによって異なりますが、例えば色の指定で文字列ではないものを渡したり、フォントサイズに数値以外のものを渡したりするとエラーが発生する可能性があります。
セルオブジェクトが正しく取得できていない
- トラブルシューティング
- テーブルの行と列のインデックスが正しいか確認してください。Matplotlib のテーブルのインデックスは 0 から始まります。
- テーブルが正しく作成され、セルが追加されているか確認してください。
- ループ処理などでセルを取得している場合は、ループの範囲が正しいか確認してください。
- 原因
table[...]
のような方法でセルを取得しようとした際に、指定したインデックスが存在しないなどの理由でNone
が返ってきている可能性があります。 - エラー
AttributeError: 'NoneType' object has no attribute 'set_text_props'
のようなエラーが発生することがあります。
- トラブルシューティング
- コード全体をチェックし、同じセルに対して複数回
set_text_props()
を呼び出していないか確認してください。 - テーブルを Figure に追加するコード (
ax.add_table(table)
) がplt.show()
より前に実行されていることを確認してください。 - デフォルトのスタイル設定や、他のテキストプロパティの設定が意図しない影響を与えていないか確認してください。必要であれば、より具体的なプロパティを明示的に設定してみてください。
- コード全体をチェックし、同じセルに対して複数回
- 原因
- 他の場所で同じセルのテキストプロパティを再度設定している可能性があります。
plt.show()
の前にax.add_table(table)
が呼び出されていないなど、テーブルが適切に Figure に追加されていない可能性があります。- 設定したプロパティが他の設定によって上書きされている可能性があります(例えば、デフォルトのスタイル設定など)。
- 現象
エラーは発生しないものの、指定したテキストのプロパティがグラフ上で期待通りに表示されない。
- より良い方法
複数のセルに対して同じプロパティを適用したい場合は、セルのget_text()
メソッドでText
オブジェクトを取得し、そのset()
メソッドを使うことができます。例えば、特定の列のすべてのセルのテキスト色を赤にしたい場合、以下のようにできます。 - 誤った方法
ループ内で個々のセルに対してset_text_props()
を呼び出すのは正しいですが、より効率的な方法がある場合があります。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['A1', 'B1', 'C1'],
['A2', 'B2', 'C2'],
['A3', 'B3', 'C3']]
table = Table(ax, loc='center')
# ... (セルの追加コードは省略) ...
for i in range(len(data)):
cell = table[i, 2] # 3列目のセルを取得
cell.get_text().set(color='red')
ax.add_table(table)
plt.show()
例1: 特定のセルのテキストの色とフォントサイズを変更する
この例では、簡単なテーブルを作成し、特定のセルのテキストの色を緑色に、フォントサイズを大きく設定します。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off') # 軸を非表示にする
data = [['名前', '年齢'],
['山田太郎', '30'],
['佐藤花子', '25']]
table = Table(ax, loc='center')
# データのセルを追加
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
if i == 1 and j == 1: # 2行目、2列目のセル(年齢の「30」)
cell.set_text_props(color='green', fontsize=14)
# ヘッダーセルのスタイルを変更
for j in range(len(data[0])):
header_cell = table[0, j]
header_cell.set_text_props(fontweight='bold')
ax.add_table(table)
plt.title('特定のセルのテキストスタイルを変更する例')
plt.show()
このコードでは、2行目、2列目のセル(「30」と表示されているセル)のテキストの色を緑色に、フォントサイズを 14 に設定しています。また、ヘッダー行のテキストを太字にしています。
例2: 複数のセルのテキストの配置を変更する
この例では、テーブル内のすべてのセルのテキストを中央揃えにします。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['商品', '価格'],
['リンゴ', '100円'],
['バナナ', '150円']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
cell.set_text_props(ha='center', va='center') # 水平方向と垂直方向の中央揃え
# ヘッダーセルのスタイルを少し変更
for j in range(len(data[0])):
header_cell = table[0, j]
header_cell.set_text_props(fontweight='bold', color='blue')
ax.add_table(table)
plt.title('すべてのセルのテキストを中央揃えにする例')
plt.show()
ここでは、各セルを作成する際に cell.set_text_props(ha='center', va='center')
を呼び出すことで、テキストを水平方向と垂直方向の中央に配置しています。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['国', '首都'],
['日本', '東京'],
['フランス', 'パリ']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.3, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
if i == 2: # 3行目のセル(フランスとパリ)
cell.set_text_props(color='purple', fontstyle='italic')
# ヘッダーセルのスタイル
for j in range(len(data[0])):
header_cell = table[0, j]
header_cell.set_text_props(fontweight='bold')
ax.add_table(table)
plt.title('特定の行のテキストスタイルをまとめて変更する例')
plt.show()
このコードでは、3行目のすべてのセルに対して、テキストの色を紫色に、フォントスタイルをイタリックに設定しています。
例4: セルごとに異なるテキストスタイルを適用する
この例では、セルごとに異なるテキストの色を設定します。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['数値1', '数値2', '数値3'],
['10', '20', '30'],
['40', '50', '60']]
colors = [['black', 'black', 'black'],
['red', 'green', 'blue'],
['orange', 'cyan', 'magenta']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
cell.set_text_props(color=colors[i][j])
# ヘッダーセルのスタイル
for j in range(len(data[0])):
header_cell = table[0, j]
header_cell.set_text_props(fontweight='bold')
ax.add_table(table)
plt.title('セルごとに異なるテキストスタイルを適用する例')
plt.show()
Table.auto_set_font_size() と Table.scale()
これらのメソッドは、テーブル全体のフォントサイズを自動調整したり、テーブル全体のサイズをスケーリングしたりする際に便利です。個々のセルのテキストサイズを直接制御するわけではありませんが、間接的に影響を与えることがあります。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['A', 'B', 'C'],
['1', '2', '3'],
['4', '5', '6']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
table.add_cell(i, j, width=0.15, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
table.auto_set_font_size(False) # 自動フォントサイズ調整を無効化
table.set_fontsize(12) # テーブル全体のフォントサイズを設定
table.scale(1.5, 1.5) # テーブルを 1.5 倍に拡大
ax.add_table(table)
plt.title('テーブル全体のフォントサイズとスケールを調整する例')
plt.show()
この例では、auto_set_font_size(False)
で自動調整を無効にし、set_fontsize()
でテーブル全体のフォントサイズを 12 に設定しています。scale()
はテーブル全体のサイズを調整するため、テキストの相対的な大きさも変わります。
Cell.get_text().set() メソッド
Cell
オブジェクトの get_text()
メソッドは、そのセル内の Text
オブジェクトを返します。この Text
オブジェクトに対して、set()
メソッドを使って複数のプロパティを一度に設定できます。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['X', 'Y'],
['100', '200']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
if i == 1: # 2行目のセル
cell.get_text().set(color='magenta', fontweight='bold', ha='right')
ax.add_table(table)
plt.title('get_text().set() で複数のテキストプロパティを一度に設定する例')
plt.show()
この例では、2行目のセルの Text
オブジェクトを取得し、set()
メソッドを使って色、フォントの太さ、水平方向の配置を一度に設定しています。
ループ処理と条件分岐による一括設定
複数のセルに対して特定の条件に基づいてスタイルを適用したい場合、ループ処理と条件分岐を組み合わせることで、set_text_props()
を効率的に使用できます。前の例でもいくつか示しましたが、特定の行、列、または特定の値を持つセルに対してスタイルを適用するのに有効です。
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['ID', '値'],
['A01', '50'],
['B02', '100'],
['C03', '50']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
if i > 0 and row[1] == '50': # 値が '50' の行のテキストを赤色にする
cell.set_text_props(color='red')
if i == 0: # ヘッダー行を太字にする
cell.set_text_props(fontweight='bold')
ax.add_table(table)
plt.title('ループと条件分岐でテキストスタイルを制御する例')
plt.show()
この例では、値が '50' の行のテキストを赤色にし、ヘッダー行のテキストを太字にしています。
スタイル辞書を定義して適用する
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib.table import Table
fig, ax = plt.subplots()
ax.axis('off')
data = [['名前', 'ポイント'],
['田中', '120'],
['鈴木', '80']]
table = Table(ax, loc='center')
for i, row in enumerate(data):
for j, cell_text in enumerate(row):
cell = table.add_cell(i, j, width=0.2, height=0.1, text=cell_text, loc='center')
if i == 0:
header_style = {'fontweight': 'bold', 'color': 'blue'}
cell.set_text_props(**header_style)
elif int(row[1]) > 100:
highlight_style = {'fontsize': 14, 'color': 'green'}
cell.set_text_props(**highlight_style)
ax.add_table(table)
plt.title('スタイル辞書を使ってテキストプロパティを設定する例')
plt.show()
ここでは、ヘッダーのスタイルと、ポイントが 100 より大きい行のスタイルを辞書として定義し、**
演算子を使って set_text_props()
に渡しています。