MariaDBにおけるJSON_ARRAYプログラミング: SQL文と構造を分かりやすく解説


MariaDB は、JSON データを操作するためのネイティブな JSON 関数を提供しており、その中でも JSON_ARRAY 関数は、JSON 配列を生成および操作するための強力なツールです。このガイドでは、JSON_ARRAY 関数の基本的な使い方から、複雑なデータ構造の構築まで、MariaDB における JSON_ARRAY のプログラミングについて分かりやすく解説します。

基本的な使い方

JSON_ARRAY 関数は、個々の値をカンマ区切りで並べた文字列を受け取り、それを JSON 配列に変換します。

SELECT JSON_ARRAY('MariaDB', 'JSON', 'ARRAY');

このクエリは、以下の JSON 配列を返します。

["MariaDB", "JSON", "ARRAY"]

文字列以外の値

JSON_ARRAY 関数は、文字列だけでなく、数値、ブール値、NULL 値も受け付けます。

SELECT JSON_ARRAY(10, TRUE, NULL);
[10, true, null]

オブジェクトのネスト

JSON_ARRAY 関数は、他の JSON オブジェクトや配列をネストすることができます。

SELECT JSON_ARRAY(
    JSON_OBJECT('name', 'MariaDB'),
    JSON_OBJECT('type', 'database'),
    JSON_ARRAY('JSON', 'ARRAY')
);
[
    {"name": "MariaDB", "type": "database"},
    {"JSON": "ARRAY"}
]

関数呼び出し

JSON_ARRAY 関数は、他の JSON 関数を呼び出すことができます。

SELECT JSON_ARRAY(JSON_LENGTH('MariaDB'));
[7]

SQL クエリの結果

JSON_ARRAY 関数は、SQL クエリの結果を JSON 配列に変換することができます。

SELECT JSON_ARRAY(name FROM customers);

このクエリは、customers テーブルの name 列のすべての値を含む JSON 配列を返します。

高度な操作

JSON_ARRAY 関数は、JSON 配列を操作するための様々なオプションを提供しています。

  • JSON_ARRAY_SET(): 指定された位置の値を更新します。
  • JSON_ARRAY_REMOVE(): 指定された位置の値を削除します.
  • JSON_ARRAY_INSERT(): 指定された位置に値を挿入します。
  • JSON_ARRAY_LENGTH(): 配列の長さを返します。


顧客情報のJSON配列を作成する

この例では、customersテーブルから顧客情報を読み取り、それをJSON配列に変換します。

SELECT JSON_ARRAY(
    JSON_OBJECT(
        'id', customer_id,
        'name', customer_name,
        'email', customer_email
    )
)
FROM customers;
[
    {"id": 1, "name": "John Doe", "email": "[email protected]"},
    {"id": 2, "name": "Jane Doe", "email": "[email protected]"},
    ...
]

注文履歴を含む顧客情報のJSON配列を作成する

この例では、customersテーブルとordersテーブルを結合し、顧客情報と注文履歴をJSON配列に変換します。

SELECT JSON_ARRAY(
    JSON_OBJECT(
        'id', customer_id,
        'name', customer_name,
        'email', customer_email,
        'orders', JSON_ARRAY(
            SELECT JSON_OBJECT(
                'order_id', order_id,
                'product_id', product_id,
                'quantity', quantity
            )
            FROM orders
            WHERE customer_id = c.customer_id
        )
    )
)
FROM customers AS c;
[
    {
        "id": 1,
        "name": "John Doe",
        "email": "[email protected]",
        "orders": [
            {"order_id": 101, "product_id": 1, "quantity": 2},
            {"order_id": 102, "product_id": 3, "quantity": 1},
            ...
        ]
    },
    {
        "id": 2,
        "name": "Jane Doe",
        "email": "[email protected]",
        "orders": [
            {"order_id": 201, "product_id": 2, "quantity": 1},
            {"order_id": 202, "product_id": 4, "quantity": 3},
            ...
        ]
    },
    ...
]

JSON配列を更新する

この例では、productsテーブルの既存のJSON配列を更新します。

UPDATE products
SET product_details = JSON_ARRAY_SET(product_details, '$.price', 19.99)
WHERE product_id = 123;

このクエリは、product_idが123である製品のproduct_detailsJSON配列のpriceプロパティを19.99に更新します。

JSON配列から値を削除する

この例では、customersテーブルの既存のJSON配列から値を削除します。

UPDATE customers
SET customer_addresses = JSON_ARRAY_REMOVE(customer_addresses, 1)
WHERE customer_id = 456;

このクエリは、customer_idが456である顧客のcustomer_addressesJSON配列の最初の要素を削除します。

JSON配列に値を挿入する

この例では、ordersテーブルの既存のJSON配列に値を挿入します。

UPDATE orders
SET order_items = JSON_ARRAY_INSERT(order_items, '$', JSON_OBJECT('product_id', 789, 'quantity', 1))
WHERE order_id = 987;

このクエリは、order_idが987である注文のorder_itemsJSON配列の先頭に、product_idが789でquantityが1の新しい要素を挿入します。



JSON文字列の連結

シンプルなJSON配列を生成する場合、JSON_ARRAY関数を使用する代わりに、JSON文字列を連結することができます。

SELECT
    '["',
    GROUP_CONCAT(value SEPARATOR '", "'),
    '"]'
FROM my_table;

このクエリは、my_tableテーブルのすべてのvalue列の値を連結し、JSON配列を生成します。

CONCAT_ROWS関数

CONCAT_ROWS関数は、複数の行を1つのJSONオブジェクトまたはJSON配列に結合するために使用できます。

SELECT
    JSON_OBJECT(
        'key1', value1,
        'key2', value2,
        ...
    )
FROM my_table
ORDER BY id
LIMIT 1
INTO @tmp;

SELECT JSON_ARRAY(
    @tmp
);

このクエリは、my_tableテーブルの最初の行をJSONオブジェクトに変換し、それをJSON配列にラップします。

ユーザー定義関数

より複雑なJSON配列を生成する必要がある場合は、ユーザー定義関数を作成することができます。

CREATE FUNCTION my_json_array(value1 ANY, value2 ANY, ...)
RETURNS JSON
BEGIN
    DECLARE json_array JSON DEFAULT JSON_ARRAY();

    IF value1 IS NOT NULL THEN
        JSON_ARRAY_APPEND(json_array, value1);
    END IF;

    IF value2 IS NOT NULL THEN
        JSON_ARRAY_APPEND(json_array, value2);
    END IF;

    ...

    RETURN json_array;
END;

この例では、可変長の引数を受け取り、それらをJSON配列に変換するユーザー定義関数を作成しています。

どの代替方法を選択すべきか

使用する代替方法は、特定の要件によって異なります。

  • 複雑なJSON配列を生成する場合
    ユーザー定義関数を作成する必要があります。
  • 複数の行を1つのJSONオブジェクトまたはJSON配列に結合する場合
    CONCAT_ROWS関数が適しています。
  • シンプルなJSON配列を生成する場合
    JSON文字列の連結が最も簡単で効率的な方法です。
  • 保守性: ユーザー定義関数は、コードをより保守しやすくなります。
  • 可読性: ユーザー定義関数は、複雑なJSON配列を生成する場合に可読性を向上させることができます。
  • パフォーマンス: JSON文字列の連結は、JSON_ARRAY関数よりもパフォーマンスが優れている場合があります。