C言語・C++プログラマーなら知っておくべき!CMake: メモリチェッカー『CTEST_MEMORYCHECK_TYPE』
CTEST_MEMORYCHECK_TYPE
は、CMake のテスト実行時に使用するメモリチェッカーの種類を指定するための変数です。メモリリークなどのメモリ使用問題を検出するために使用されます。
利用可能なメモリチェッカー
CTEST_MEMORYCHECK_TYPE
には、以下の値を設定できます。
custom
: 独自のメモリチェッカーを使用したい場合に設定します。memcheck
: GNU libc に含まれるメモリチェッカーです。valgrind
: メモリリーク、メモリ割り当てエラー、バッファオーバーフローなどのメモリ使用問題を検出できるメモリチェッカーです。tcmalloc
: Google が開発したメモリチェッカーです。高速で効率的なメモリチェッカーとして知られています。
設定方法
CTEST_MEMORYCHECK_TYPE
は、CMake のプロジェクトレベルまたはターゲットレベルで設定できます。
プロジェクトレベルでの設定
プロジェクトレベルで設定するには、CMakeLists.txt ファイルで以下の行を追加します。
set(CTEST_MEMORYCHECK_TYPE tcmalloc)
ターゲットレベルでの設定
ターゲットレベルで設定するには、CMakeLists.txt ファイルで以下の行を追加します。
target_link_libraries(mytarget PRIVATE tcmalloc)
メモリチェッカーの実行
メモリチェッカーを実行するには、以下のコマンドを実行します。
ctest --memory-check
メモリチェッカーの出力
メモリチェッカーは、メモリ使用問題が見つかった場合、詳細な出力を生成します。出力には、問題が発生したコード行と、問題の種類に関する情報が含まれます。
例
以下の例は、tcmalloc
メモリチェッカーを使用して mytarget
ターゲットをテストする方法を示しています。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
add_executable(mytarget main.cpp)
target_link_libraries(mytarget PRIVATE tcmalloc)
set(CTEST_MEMORYCHECK_TYPE tcmalloc)
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
add_executable(mytarget1 main1.cpp)
add_executable(mytarget2 main2.cpp)
# プロジェクトレベルで tcmalloc メモリチェッカーを設定
set(CTEST_MEMORYCHECK_TYPE tcmalloc)
# テストを実行
ctest
例 2: ターゲットレベルで valgrind
メモリチェッカーを設定
この例では、valgrind
メモリチェッカーを特定のターゲット (mytarget2
) にのみ適用する方法を示します。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
add_executable(mytarget1 main1.cpp)
add_executable(mytarget2 main2.cpp)
# ターゲットレベルで valgrind メモリチェッカーを設定
target_link_libraries(mytarget2 PRIVATE valgrind)
# テストを実行
ctest
例 3: 独自のメモリチェッカーを使用
この例では、独自のメモリチェッカーを使用する方法を示します。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
add_executable(mytarget main.cpp)
# 独自のメモリチェッカーを指定
set(CTEST_MEMORYCHECK_TYPE custom)
# 独自のメモリチェッカーへのリンク
target_link_libraries(mytarget PRIVATE mymemcheck)
# テストを実行
ctest
- メモリチェッカーによっては、設定や使用方法が異なる場合があります。詳細は、各メモリチェッカーのドキュメントを参照してください。
- 上記の例はあくまで基本的な例であり、実際のプロジェクトでは状況に応じて調整する必要があります。
- CMake の
ctest_test
モジュールを使用して、メモリチェッカーの使用方法をさらに詳しくカスタマイズすることもできます。 - メモリチェッカーの出力結果を解析して、特定の問題のみを報告するようにすることもできます。
- 複数のメモリチェッカーを組み合わせて使用することもできます。
代替方法
- CMake の
ctest_test
モジュールを使用する
ctest_test
モジュールは、テストを実行するためのより詳細な制御を提供します。メモリチェッカーを指定するには、以下のコードを使用できます。
ctest_test(mytest
COMMAND ${CTEST_MEMORYCHECK_COMMAND} ${MEMCHECK_OPTIONS} mytest_command
)
この方法では、メモリチェッカーのコマンドラインオプションをより詳細に制御できます。
- テストランナーを使用する
CTest 以外のテストランナーを使用することもできます。多くのテストランナーは、メモリチェッカーを指定するためのオプションを提供しています。
- 手動でメモリチェッカーを実行する
CMake を使用せずに、手動でメモリチェッカーを実行することもできます。この方法は、より柔軟な制御が必要な場合に役立ちます。
各方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
CTEST_MEMORYCHECK_TYPE | シンプルで使いやすい | 詳細な制御ができない |
ctest_test モジュール | 詳細な制御が可能 | 複雑で習得が難しい |
テストランナー | CTest 以外のテストランナーを使用できる | テストランナーによって機能が異なる |
手動実行 | 最も柔軟性が高い | 設定と実行が複雑 |
最適な方法を選択
最適な方法は、プロジェクトのニーズと要件によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。
- プロジェクトの複雑性
- 使用しているテストランナー
- 使用している CMake のバージョン
- メモリチェッカーに関する制御レベル