WinCEプログラミングを次のレベルへ:CMakeで実現する高度なテクニック
CMakeLists.txtファイルには、プロジェクトのソースファイル、依存関係、ビルドオプションなどを定義する様々な変数が含まれています。これらの変数は、プロジェクトの特定のプラットフォームやコンパイラに合わせて設定することができます。
WinCE向けのCMakeプロジェクトでは、いくつかの重要な変数が使用されます。以下に、これらの変数とそれぞれの役割について説明します。
- WINCE_PDB_DIR: この変数は、WinCE PDBファイルのディレクトリパスを設定します。
- WINCE_CAB_DIR: この変数は、WinCE CABファイルのディレクトリパスを設定します。
- WINCE_SDK_DIR: この変数は、WinCE SDKのディレクトリパスを設定します。
- CMAKE_CROSSCOMPILING: この変数は、クロスコンパイル環境かどうかを設定します。WinCE向けのプロジェクトでは、この変数を"TRUE"に設定する必要があります。
- CMAKE_SYSTEM_VERSION: この変数は、ターゲットプラットフォームのバージョンを設定します。WinCEの場合は、"5.0"、"6.0"、"7.0"などの値を設定できます。
- CMAKE_SYSTEM_PROCESSOR: この変数は、ターゲットプラットフォームのプロセッサアーキテクチャを設定します。WinCEの場合は、"ARM"、"x86"、"MIPS"などの値を設定できます。
- CMAKE_SYSTEM_NAME: この変数は、ターゲットプラットフォームの名前を設定します。WinCEの場合は、"WindowsCE" or "WindowsEmbedded"に設定します。
これらの変数は、CMakeLists.txtファイル内で以下の様に設定できます。
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "WindowsCE")
set(CMAKE_SYSTEM_PROCESSOR "ARM")
set(CMAKE_SYSTEM_VERSION "5.0")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
set(WINCE_SDK_DIR "/path/to/wincesdk")
set(WINCE_CAB_DIR "/path/to/cabfiles")
set(WINCE_PDB_DIR "/path/to/pdbfiles")
上記の設定に加えて、WinCEプロジェクトでは、以下の様な追加の変数を使用することができます。
- WINCE_TARGET_ARCH: この変数は、ターゲットプラットフォームのプロセッサアーキテクチャを設定します。"ARM"、"x86"、"MIPS"などの値を設定できます。
- WINCE_TARGET_PLATFORM: この変数は、ターゲットプラットフォームのバージョンを設定します。"ARMv4"、"ARMv5"、"ARMv7"などの値を設定できます。
- WINCE_BUILD_TYPE: この変数は、ビルドタイプを設定します。"Debug"、"Release"などの値を設定できます。
これらの変数は、プロジェクトの特定のニーズに合わせて設定する必要があります。
CMakeは、WinCE向けのプロジェクトを構築するために使用できる強力なツールです。CMakeLists.txtファイル内で適切な変数を設定することで、プロジェクトを特定のプラットフォームやコンパイラに合わせて簡単に設定することができます。
# CMakeLists.txt
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(HelloWorld)
set(CMAKE_SYSTEM_NAME "WindowsCE")
set(CMAKE_SYSTEM_PROCESSOR "ARM")
set(CMAKE_SYSTEM_VERSION "5.0")
set(CMAKE_CROSSCOMPILING TRUE)
set(WINCE_SDK_DIR "/path/to/wincesdk")
set(WINCE_CAB_DIR "/path/to/cabfiles")
set(WINCE_PDB_DIR "/path/to/pdbfiles")
set(CMAKE_BUILD_TYPE "Debug")
set(WINCE_TARGET_PLATFORM "ARMv4")
set(WINCE_TARGET_ARCH "ARM")
add_executable(HelloWorld main.cpp)
target_link_libraries(HelloWorld winecrt)
このコードは、以下のファイルで構成されています。
main.cpp
: このファイルは、アプリケーションのソースコードを定義します。CMakeLists.txt
: このファイルは、CMakeプロジェクトの設定を定義します。
CMakeLists.txtファイルは、以下の内容を定義しています。
- アプリケーションにリンクするライブラリ:
winecrt
- アプリケーションの実行ファイル:
HelloWorld
- ターゲットプラットフォームのプロセッサアーキテクチャ: ARM
- ターゲットプラットフォームのバージョン: ARMv4
- ビルドタイプ: Debug
- WinCE PDBファイルのディレクトリパス
- WinCE CABファイルのディレクトリパス
- WinCE SDKのディレクトリパス
- クロスコンパイル環境かどうか: TRUE
- ターゲットプラットフォームのバージョン: 5.0
- ターゲットプラットフォームのプロセッサアーキテクチャ: ARM
- ターゲットプラットフォーム: WinCE
- プロジェクトの名前:
HelloWorld
main.cppファイルは、以下の内容を定義しています。
#include <stdio.h>
int main() {
printf("Hello, World!\n");
return 0;
}
このコードは、"Hello, World!"というメッセージをコンソールに出力します。
cmake .
make
このコマンドを実行すると、HelloWorld
という実行ファイルが生成されます。この実行ファイルを以下のコマンドを実行して実行できます。
./HelloWorld
このコマンドを実行すると、"Hello, World!"というメッセージがコンソールに出力されます。
WinCEのサポート終了により、開発者は代替技術に移行する必要がありました。現在、WinCEに代わる人気のある技術は以下の通りです。
Windows IoT
Windows IoTは、Windows CEの後継となるRTOSです。Windows CEと同じAPIと機能の多くを備えており、WinCEアプリケーションを簡単に移行できます。Windows IoTは、以下の機能を提供します。
- 長期的なサポート
- ユニバーサル Windows アプリのサポート
- Windows CEとの高い互換性
- 組み込みデバイスとモバイルデバイス向けのリアルタイムパフォーマンス
Linux
Linuxは、オープンソースで無料のRTOSです。WinCEよりも高いパフォーマンスと柔軟性を提供します。Linuxは、以下の機能を提供します。
- オープンソースと無料
- 幅広いソフトウェアサポート
- 活発な開発者コミュニティ
- 豊富なハードウェアサポート
Android
Androidは、主にモバイルデバイスで使用されるオープンソースのオペレーティングシステムです。豊富な機能とアプリのエコシステムを提供します。Androidは、以下の機能を提供します。
- オープンソースと無料
- Google Playストアからの豊富なアプリ
- スマートフォンやタブレット向けのタッチスクリーンインターフェース
QNX
QNXは、商用のRTOSです。高いセキュリティと信頼性を提供します。QNXは、以下の機能を提供します。
- 医療機器や自動車などのミッションクリティカルなシステム向けに設計
- 安全な通信
- 認証付きカーネル
FreeRTOS
FreeRTOSは、オープンソースで無料の軽量RTOSです。小型マイクロコントローラーに適しています。FreeRTOSは、以下の機能を提供します。
- Cortex-MなどのARMプロセッサファミリ向けに最適化
- 低電力消費
- 極小のフットプリント
最適な代替技術の選択
WinCEに代わる最適な技術は、プロジェクトの要件によって異なります。以下の要素を考慮する必要があります。
- ハードウェア: サポートされているハードウェア
- セキュリティ: セキュリティ要件
- サポート: ベンダーサポートのレベル
- 機能: 必要な機能
- コスト: 開発とライセンスのコスト
- パフォーマンス: アプリケーションのパフォーマンス要件
これらの要素を慎重に評価することで、プロジェクトに最適なWinCE代替技術を選択することができます。
以下は、各技術の詳細と比較情報を提供するリソースです。