Qt WidgetsでQTableWidgetItem::setToolTip()を使ってツールチップを表示する方法

使用方法

QTableWidgetItem::setToolTip()メソッドは、以下の形式で使用します。

void QTableWidgetItem::setToolTip(const QString &toolTip);

引数として、表示するツールチップのテキストをQString型で渡します。

例

以下のコードは、QTableWidgetアイテムにツールチップを設定する例です。

QTableWidgetItem *item = new QTableWidgetItem("アイテム1");
item->setToolTip("このアイテムの詳細情報");
tableWidget->setItem(0, 0, item);

ツールチップは、アイテムが非表示である場合は表示されません。
ツールチップは、アイテムが編集可能である場合のみ表示されます。
ツールチップの表示位置は、プラットフォームやウィジェットスタイルによって異なる場合があります。
ツールチップは、アイテムに設定されたフォントとスタイルで表示されます。

例1：シンプルなツールチップ

この例では、QTableWidgetアイテムにシンプルなツールチップを設定します。

#include <QApplication>
#include <QTableWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QTableWidget tableWidget;
  tableWidget.resize(300, 200);

  QTableWidgetItem *item = new QTableWidgetItem("アイテム1");
  item->setToolTip("このアイテムの詳細情報");
  tableWidget.setItem(0, 0, item);

  tableWidget.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下の画像のようなウィンドウが表示されます。

例2：HTML形式のツールチップ

この例では、QTableWidgetItem::setToolTip()メソッドを使用して、HTML形式のツールチップを設定します。

#include <QApplication>
#include <QTableWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QTableWidget tableWidget;
  tableWidget.resize(300, 200);

  QTableWidgetItem *item = new QTableWidgetItem("アイテム1");
  item->setToolTip("<b>このアイテムの詳細情報</b><br><i>説明文</i>");
  tableWidget.setItem(0, 0, item);

  tableWidget.show();

  return app.exec();
}

マウスカーソルを "アイテム1" セルの上に置くと、太字と斜体を用いたHTML形式のツールチップが表示されます。

例3：動的に生成されたツールチップ

この例では、QTableWidgetItem::setToolTip()メソッドを使用して、動的に生成されたツールチップを設定します。

#include <QApplication>
#include <QTableWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QTableWidget tableWidget;
  tableWidget.resize(300, 200);

  for (int row = 0; row < 5; ++row) {
    for (int col = 0; col < 3; ++col) {
      QTableWidgetItem *item = new QTableWidgetItem(QString("行%1 列%2").arg(row + 1).arg(col + 1));
      item->setToolTip(QString("行: %1 列: %2").arg(row + 1).arg(col + 1));
      tableWidget.setItem(row, col, item);
    }
  }

  tableWidget.show();

  return app.exec();
}

各セルのツールチップには、そのセルの行番号と列番号が表示されます。

カスタムセルウィジェットを使用する

QTableWidgetItem::setToolTip()は、アイテム全体にツールチップを設定します。一方、カスタムセルウィジェットを使用すれば、アイテムの一部にのみツールチップを設定することができます。また、ツールチップの外観や動作をより細かく制御することができます。

例：ボタン付きセルウィジェット

以下のコードは、ボタン付きセルウィジェットを作成する例です。

class ButtonWidget : public QWidget {
public:
  ButtonWidget(const QString &text) {
    button = new QPushButton(text);
    connect(button, &QPushButton::clicked, this, &ButtonWidget::clicked);
    layout = new QHBoxLayout;
    layout->addWidget(button);
    setLayout(layout);
  }

signals:
  void clicked();

private:
  QPushButton *button;
  QHBoxLayout *layout;
};

このコードでは、ButtonWidgetというクラスを定義しています。このクラスは、QPushButtonウィジェットとQHBoxLayoutレイアウトを持つウィジェットです。ButtonWidgetのコンストラクタは、QPushButtonウィジェットにテキストを設定し、clicked()シグナルを接続します。

以下のコードは、ButtonWidgetをQTableWidgetアイテムで使用する方法です。

QTableWidgetItem *item = new QTableWidgetItem;
ButtonWidget *widget = new ButtonWidget("ボタン");
item->setData(Qt::DisplayRole, widget);
tableWidget->setItem(0, 0, item);

このコードでは、ButtonWidgetインスタンスをQTableWidgetItemのデータとして設定しています。これにより、QTableWidgetアイテムにボタンが表示されます。ボタンをクリックすると、ButtonWidget::clicked()シグナルがemitされます。このシグナルを接続することで、ボタンクリック時の処理を実装することができます。

QItemDelegateを使用する

QItemDelegateを使用すれば、アイテム全体の外観や動作をカスタマイズすることができます。setToolTip()メソッドもカスタマイズすることができます。

例：HTML形式のツールチップを生成するデリゲート

以下のコードは、HTML形式のツールチップを生成するデリゲートを作成する例です。

class HtmlToolTipDelegate : public QItemDelegate {
public:
  using QItemDelegate::paint;

private:
  void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionViewItem &option, const QModelIndex &index) const {
    if (index.isValid()) {
      QString tooltip = index.data(Qt::ToolTipRole).toString();
      if (!tooltip.isEmpty()) {
        painter->save();
        painter->setRenderHint(QPainter::Antialiasing);
        painter.setFont(option.font);

        QRect rect = option.rect;
        rect.adjust(0, -2, 0, 2); // ツールチップの余白を設定

        painter.drawText(rect, Qt::AlignHCenter | Qt::AlignTop, tooltip);

        painter.restore();
      }
    }

    QItemDelegate::paint(painter, option, index);
  }
};

このコードでは、HtmlToolTipDelegateというクラスを定義しています。このクラスは、paint()メソッドをオーバーライドして、アイテムにHTML形式のツールチップを描画します。

以下のコードは、HtmlToolTipDelegateをQTableWidgetに設定する方法です。

HtmlToolTipDelegate *delegate = new HtmlToolTipDelegate;
tableWidget->setItemDelegateForColumn(0, delegate);

このコードでは、HtmlToolTipDelegateインスタンスをQTableWidgetの列0のデリゲートとして設定しています。これにより、列0のアイテムにHTML形式のツールチップが表示されます。

カスタムシグナルを使用する

QTableWidgetItem::setToolTip()を使用する代わりに、カスタムシグナルをemitして、ツールチップのテキストを外部に伝えることができます。

例：ツールチップテキストを外部で生成する

以下のコードは、ツールチップテキストを外部で生成する例です。

class ToolTipGenerator {
public:
  QString generateToolTip(const QModelIndex &index) const {
    // ツールチップテキストを生成する処理
    return QString("ツールチップテキスト");
  }
};

void tableWidget_itemDoubleClicked(const QModelIndex &index) {
  ToolTipGenerator generator;