【初心者向け】Qt Widgetsでテーブルセルにテキストを設定：QTableWidgetItem::setText()の基礎

Qt WidgetsライブラリにおけるQTableWidgetItem::setText()メソッドは、QTableWidget内の特定のセルにテキストを設定するために使用されます。このメソッドは、テーブルセルに表示されるデータの操作と編集において重要な役割を果たします。

メソッドの詳細

void QTableWidgetItem::setText(const QString &text);

このメソッドは、textパラメータとして渡された文字列をQTableWidgetItemインスタンスのテキストコンテンツに設定します。

使用方法

QTableWidgetItem::setText()メソッドを使用するには、以下の手順に従います。

QTableWidgetインスタンスから、テキストを設定したいセルに対応するQTableWidgetItemインスタンスを取得します。
取得したQTableWidgetItemインスタンスに対して、setText()メソッドを呼び出し、設定したいテキストをtextパラメータとして渡します。

例

QTableWidget *tableWidget = new QTableWidget();
tableWidget->setRowCount(5);
tableWidget->setColumnCount(3);

// 2番目の行の1番目のセルにテキストを設定
QTableWidgetItem *item = tableWidget->item(1, 0);
item->setText("Hello, World!");

セルにカスタムウィジェットを配置したい場合は、setCellWidget()メソッドを使用する必要があります。
QTableWidgetItem::setText()メソッドは、セルに表示されるテキストのみを設定します。セルの書式や配置などの属性を変更するには、他のメソッドを使用する必要があります。

計算結果をテーブルセルに表示する
データベースから取得したデータをテーブルセルに表示する
ユーザー入力に基づいてテーブルセルにテキストを動的に更新する

例1：特定のセルにテキストを設定

#include <QApplication>
#include <QTableWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テーブルウィジェットを作成
  QTableWidget tableWidget;
  tableWidget.setRowCount(5);
  tableWidget.setColumnCount(3);

  // 2番目の行の1番目のセルにテキストを設定
  QTableWidgetItem *item = tableWidget.item(1, 0);
  item->setText("Hello, World!");

  // テーブルウィジェットを表示
  tableWidget.show();

  return app.exec();
}

例2：ループを使用して複数のセルにテキストを設定

#include <QApplication>
#include <QTableWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テーブルウィジェットを作成
  QTableWidget tableWidget;
  tableWidget.setRowCount(5);
  tableWidget.setColumnCount(3);

  // 各セルに番号を設定
  for (int row = 0; row < tableWidget.rowCount(); ++row) {
    for (int col = 0; col < tableWidget.columnCount(); ++col) {
      QTableWidgetItem *item = tableWidget.item(row, col);
      QString text = QString("Row: %1, Column: %2").arg(row + 1).arg(col + 1);
      item->setText(text);
    }
  }

  // テーブルウィジェットを表示
  tableWidget.show();

  return app.exec();
}

例3：条件分岐を使用してセルにテキストを設定

#include <QApplication>
#include <QTableWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テーブルウィジェットを作成
  QTableWidget tableWidget;
  tableWidget.setRowCount(5);
  tableWidget.setColumnCount(3);

  // 奇数行のセルに「奇数」を設定、偶数行のセルに「偶数」を設定
  for (int row = 0; row < tableWidget.rowCount(); ++row) {
    for (int col = 0; col < tableWidget.columnCount(); ++col) {
      QTableWidgetItem *item = tableWidget.item(row, col);
      QString text = (row % 2 == 0) ? "偶数" : "奇数";
      item->setText(text);
    }
  }

  // テーブルウィジェットを表示
  tableWidget.show();

  return app.exec();
}

これらの例は、QTableWidgetItem::setText()メソッドの基本的な使用方法を示しています。実際のアプリケーションでは、必要に応じてコードをカスタマイズする必要があります。

セルにテキストを設定する以外にも、QTableWidgetItem::setText()メソッドを使用して、セルの書式や配置などの属性を設定することもできます。

setData() メソッド

setData() メソッドは、QTableWidgetItem インスタンスにさまざまな種類のデータを設定するために使用できます。テキスト以外にも、画像、アイコン、チェックボックスなどのデータを設定することができます。

利点

コードが簡潔になる場合がある
テキスト以外のデータを設定できる

欠点

特定のデータ型を設定する場合、型変換が必要になる場合がある
setText() メソッドよりも汎用性が高いため、目的が明確でない場合に誤解を招く可能性がある

例

QTableWidgetItem *item = tableWidget->item(1, 0);
item->setData(Qt::DisplayRole, "Hello, World!");

setItemFlag() メソッドと Qt::ItemIsEditable フラグ

setItemFlag() メソッドを使用して、Qt::ItemIsEditable フラグを true に設定することで、セルを編集可能にすることができます。ユーザーがセルを編集すると、dataChanged() 信号が発火し、その中でテキストを設定することができます。

利点

ユーザーによる直接編集が可能

欠点

ユーザー入力の検証が必要になる
コードが煩雑になる

例

QTableWidgetItem *item = tableWidget->item(1, 0);
item->setFlags(item->flags() | Qt::ItemIsEditable);

connect(tableWidget, &QTableWidget::itemChanged, [this](QTableWidgetItem *item) {
  if (item->column() == 0) {
    item->setText("Edited Text");
  }
});

カスタムデリゲートを使用する

カスタムデリゲートを使用すると、セルの外観と編集動作を完全に制御することができます。この方法は、高度なカスタマイズが必要な場合に適しています。

利点

セルの外観と編集動作を完全に制御できる

欠点

開発に時間がかかる
コードが複雑になる

class MyDelegate : public QItemDelegate
{
public:
  void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionViewItem &option, const QModelIndex &index) const override
  {
    // セルの描画処理
  }

  QWidget *createEditor(QWidget *parent, const QStyleOptionViewItem &option, const QModelIndex &index) const override
  {
    // セルエディタの作成処理
  }
};

// カスタムデリゲートをセルに設定
tableWidget->setItemDelegate(new MyDelegate);