Qt Widgetsにおけるスプリッタハンドルの移動：QSplitter::moveSplitter()メソッドを掘り下げる

QSplitter::moveSplitter()メソッドは、Qt Widgetsライブラリで提供されるQSplitterクラスにおいて、スプリッタハンドルを特定の位置に移動するために使用されます。このメソッドは、スプリッタを構成する子ウィジェット間のサイズ配分を動的に調整する際に役立ちます。

メソッドの構文

void QSplitter::moveSplitter(int index, int position);

引数

position: スプリッタハンドルを移動する位置をピクセル単位で指定します。この値は、スプリッタの方向性によって異なります。
index: スプリッタハンドルを移動するインデックスを指定します。インデックスは、0からcount()-1までの範囲でなければなりません。

戻り値

なし

詳細

QSplitter::moveSplitter()メソッドは、スプリッタハンドルを指定された位置に移動し、それに応じて子ウィジェットのサイズを調整します。スプリッタの方向性によって、位置の解釈が異なります。

垂直方向のスプリッタの場合: positionは、スプリッタ上端からのピクセル位置を指定します。
水平方向のスプリッタの場合: positionは、スプリッタ左端からのピクセル位置を指定します。

スプリッタハンドルを移動すると、splitterMoved(int, int)シグナルがemitされます。このシグナルは、移動されたスプリッタハンドルのインデックスと新しい位置をパラメータとして渡されます。

例

次のコードは、水平方向のスプリッタを中央に移動する例です。

QSplitter splitter;
splitter.addWidget(new QWidget);
splitter.addWidget(new QWidget);

splitter.moveSplitter(0, splitter.size().width() / 2);

スプリッタハンドルをプログラムで移動する以外にも、ユーザーがマウスでドラッグして移動することもできます。
QSplitter::moveSplitter()メソッドを使用する前に、minimumSize()およびmaximumSize()メソッドを使用して、スプリッタハンドルが移動できる範囲を設定することをお勧めします。

例1: スプリッタハンドルを中央に移動する

#include <QApplication>
#include <QSplitter>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QSplitter splitter;
  splitter.addWidget(new QWidget);
  splitter.addWidget(new QWidget);

  // スプリッタハンドルを中央に移動する
  splitter.moveSplitter(0, splitter.size().width() / 2);

  splitter.show();
  return app.exec();
}

例2: スプリッタハンドルの最小サイズと最大サイズを設定する

#include <QApplication>
#include <QSplitter>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QSplitter splitter;
  splitter.addWidget(new QWidget);
  splitter.addWidget(new QWidget);

  // スプリッタハンドルの最小サイズを設定する
  splitter.setHandleMinimumSize(100);

  // スプリッタハンドルの最大サイズを設定する
  splitter.setHandleMaximumSize(200);

  splitter.show();
  return app.exec();
}

例3: スプリッタハンドルの移動時にシグナルを処理する

#include <QApplication>
#include <QSplitter>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QSplitter splitter;
  splitter.addWidget(new QWidget);
  splitter.addWidget(new QWidget);

  // splitterMovedシグナルに接続する
  QObject::connect(&splitter, &QSplitter::splitterMoved,
                   [](int index, int position) {
                     // スプリッタハンドルが移動されたときの処理
                     qDebug() << "スプリッタハンドル " << index << " が "
                              << position << " ピクセルの位置に移動されました。";
                   });

  splitter.show();
  return app.exec();
}

これらの例は、QSplitter::moveSplitter()メソッドの基本的な使い方を示しています。このメソッドを様々な状況に合わせて活用することで、より洗練されたでインタラクティブなユーザーインターフェースを構築することができます。

以下に、QSplitter::moveSplitter() の代替方法として検討できるいくつかの方法を紹介します。

setSizes() メソッドを使用する

setSizes() メソッドは、スプリッタを構成する子ウィジェットのサイズを個別に設定するために使用できます。このメソッドを使用することで、スプリッタハンドルを間接的に移動することができます。

QSplitter splitter;
splitter.addWidget(new QWidget);
splitter.addWidget(new QWidget);

// 左側のウィジェットのサイズを 200 ピクセルに設定する
splitter.setSizes(200, QSplitter::sizeHint(splitter.widget(1)));

handleMoved() シグナルを処理する

handleMoved() シグナルは、スプリッタハンドルが移動されたときにemitされます。このシグナルを処理することで、スプリッタハンドルの新しい位置を取得し、それに応じて子ウィジェットのサイズを調整することができます。

QSplitter splitter;
splitter.addWidget(new QWidget);
splitter.addWidget(new QWidget);

// handleMovedシグナルに接続する
QObject::connect(&splitter, &QSplitter::handleMoved,
                   [](int index, int position) {
                     // スプリッタハンドルの新しい位置を取得する
                     int newSize = position;

                     // 右側のウィジェットのサイズを調整する
                     splitter.setSizes(QSplitter::sizeHint(splitter.widget(0)), newSize);
                   });

カスタムレイアウトを使用する

より複雑なレイアウトが必要な場合は、カスタムレイアウトを使用することができます。カスタムレイアウトを使用することで、スプリッタハンドルを完全に制御し、子ウィジェットのサイズを自由に調整することができます。

class MyLayout : public QLayout {
public:
  QSize sizeHint() const override {
    // カスタムレイアウトのサイズヒントを計算する
    return QSize(width(), height());
  }

  void layout() override {
    // 子ウィジェットを配置する
    widget(0)->setGeometry(0, 0, width() / 2, height());
    widget(1)->setGeometry(width() / 2, 0, width() / 2, height());
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QWidget widget;
  MyLayout layout;
  widget.setLayout(&layout);

  // 子ウィジェットを追加する
  widget.addWidget(new QWidget);
  widget.addWidget(new QWidget);

  widget.show();
  return app.exec();
}

非常に複雑なレイアウトが必要な場合は、カスタムレイアウトを使用する必要があります。
スプリッタハンドルの移動を詳細に制御する必要がある場合は、handleMoved() シグナルを処理する必要があります。
シンプルなレイアウトの場合は、setSizes() メソッドを使用するのが最も簡単です。