【保存版】Qt GUI でサクサク表示! ピクセルマップキャッシュの秘訣:QPixmapCache::insert()
QPixmapCache::insert()
は、Qt GUI モジュールの QPixmapCache
クラスに属する関数であり、ピクセルマップをキャッシュに追加するために使用されます。この関数は、ピクセルマップとそれに関連するキーをキャッシュに挿入し、パフォーマンスを向上させるのに役立ちます。
構文
bool QPixmapCache::insert(const QString &key, const QPixmap &pixmap);
パラメータ
pixmap
: キャッシュに追加するピクセルマップオブジェクトkey
: ピクセルマップをキャッシュに関連付けるためのキー文字列
戻り値
挿入が成功した場合は true
、失敗した場合は false
を返します。
詳細
QPixmapCache::insert()
は、ピクセルマップをキャッシュに追加し、そのピクセルマップを key
で識別します。キャッシュにすでに同じキーを持つピクセルマップが存在する場合は、古いピクセルマップは新しいピクセルマップで置き換えられます。
キャッシュは、ピクセルマップの生成や読み込みに時間がかかる場合に、パフォーマンスを向上させるために役立ちます。たとえば、アプリケーションで頻繁に使用されるアイコンをキャッシュすると、そのアイコンを毎回再読み込みする必要がなくなり、パフォーマンスが向上します。
例
QString key = "myIcon";
QPixmap pixmap(":/icons/myIcon.png");
if (QPixmapCache::insert(key, pixmap)) {
// キャッシュへの挿入が成功しました
} else {
// キャッシュへの挿入が失敗しました
}
この例では、"myIcon.png" 画像ファイルのピクセルマップを "myIcon" キーでキャッシュに追加します。
- キャッシュされたピクセルマップを使用する前に、そのピクセルマップが有効かどうかを確認する必要があります。
- キャッシュされたピクセルマップは、元のピクセルマップが変更されても更新されないことに注意してください。
- キャッシュは有限のサイズであり、キャッシュがいっぱいになると古いピクセルマップが削除されます。
- Qt 5.15 以降では、
QPixmapCache::insert(const QString &key, const QPixmap &pixmap)
関数は廃止予定となっており、代わりにQPixmapCache::insert(const Key &key, const QPixmap &pixmap)
関数を使用することを推奨しています。 QPixmapCache::insert()
関数は、Qt 4.6 以降で使用できます。
例 1: アイコンをキャッシュする
この例では、"myIcon.png" 画像ファイルのピクセルマップを "myIcon" キーでキャッシュに追加し、そのピクセルマップを使用してラベルに表示します。
#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPixmapCache>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ラベルを作成
QLabel label;
// ピクセルマップをキャッシュに追加
QString key = "myIcon";
QPixmap pixmap(":/icons/myIcon.png");
if (QPixmapCache::insert(key, pixmap)) {
// キャッシュへの挿入が成功しました
label.setPixmap(QPixmapCache::instance().pixmap(key));
} else {
// キャッシュへの挿入が失敗しました
// エラー処理を行う
}
// ラベルを表示
label.show();
return app.exec();
}
例 2: ファイルパスをキーとして使用する
この例では、"myImage.jpg" 画像ファイルのパスをキーとしてピクセルマップをキャッシュに追加し、そのピクセルマップを使用してウィジェットに表示します。
#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPixmapCache>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ウィジェットを作成
QWidget widget;
// ピクセルマップをキャッシュに追加
QString key = "myImage.jpg";
QPixmap pixmap(key);
if (QPixmapCache::insert(key, pixmap)) {
// キャッシュへの挿入が成功しました
// ウィジェットにピクセルマップを設定
widget.setPalette(QPalette(pixmap));
} else {
// キャッシュへの挿入が失敗しました
// エラー処理を行う
}
// ウィジェットを表示
widget.show();
return app.exec();
}
説明
- キャッシュにピクセルマップが存在しない場合は、
nullptr
が返されます。 pixmap(key)
関数は、key
に関連付けられたピクセルマップを返します。QPixmapCache::instance()
関数は、グローバルなキャッシュインスタンスを取得します。- 上記の例では、
QPixmapCache::instance().pixmap(key)
関数を使用して、キャッシュからピクセルマップを取得しています。
- キャッシュは有限のサイズであり、キャッシュがいっぱいになると古いピクセルマップが削除されます。キャッシュサイズを調整する必要がある場合は、
QPixmapCache::maximumSize()
関数とQPixmapCache::setMaximumSize()
関数を使用してください。 - 上記の例はあくまで基本的な使用方法を示したものです。実際のアプリケーションでは、状況に応じてコードを修正する必要があります。
代替方法
- QResource クラス: アプリケーションリソースにピクセルマップを埋め込み、
QResource::load()
関数を使用して読み込むことができます。この方法は、ピクセルマップをファイルシステムに保存する必要がなく、アプリケーションと共に配布できるため便利です。
QResource resource(":/images/myIcon.png");
QPixmap pixmap = resource.load();
- QDataStream クラス: ピクセルマップをバイナリデータとしてシリアル化し、
QDataStream::write()
関数を使用してストリームに書き込みます。その後、QDataStream::read()
関数を使用してストリームから読み込み、ピクセルマップを再構築できます。この方法は、ピクセルマップをネットワーク経由で転送したり、永続的に保存したりする場合に役立ちます。
QByteArray data;
QDataStream stream(&data, QIODevice::WriteOnly);
stream << pixmap;
// ... データを転送または保存 ...
QByteArray newData(data);
QDataStream newStream(&newData, QIODevice::ReadOnly);
QPixmap newPixmap;
newStream >> newPixmap;
- カスタムキャッシュ実装: 独自のキャッシュロジックを実装することもできます。これは、より複雑なキャッシュ戦略が必要な場合や、
QPixmapCache
クラスが提供していない機能が必要な場合に役立ちます。
それぞれの方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
QPixmapCache::insert() | 使いやすい、パフォーマンスが良い | キャッシュサイズが制限されている |
QResource | ファイルシステムに保存する必要がない、アプリケーションと共に配布できる | リソースファイルのサイズが大きくなる可能性がある |
QDataStream | ネットワーク経由で転送したり、永続的に保存したりできる | シリアル化とデシリアル化に時間がかかる場合がある |
カスタムキャッシュ実装 | 柔軟性が高い | 複雑で、バグが発生しやすい可能性がある |
QPixmapCache::insert()
は、多くの場合、ピクセルマップをキャッシュする最も簡単で効率的な方法です。しかし、上記で説明した代替方法も、特定の状況では役立ちます。