Qtプログラミング：QPlainTextEditクラス徹底解説【初心者向け】

QPlainTextEditクラスとは？

QPlainTextEditクラスは、Qtフレームワークで提供される、プレーンテキスト（書式なしテキスト）を表示・編集するためのウィジェット（GUI部品）です。これは、テキストエディタやログ表示、大量のテキストデータを扱う場合に非常に便利です。

主な特徴

• 信号とスロット
  テキストの変更やカーソルの位置変更などのイベントを信号として送信し、スロット（処理関数）で処理できます。
• テキストの取得・設定
  テキストの内容を文字列として取得したり、設定したりできます。
• 読み取り専用モード
  テキストの編集を禁止し、表示のみにすることができます。
• 折り返し
  テキストの折り返し表示を制御できます。
• 検索機能
  テキスト内の文字列を検索できます。
• テキストの追加・編集
  テキストの追加、挿入、削除、選択、コピー、ペーストなどの基本的な編集機能を提供します。
• スクロールバー
  自動的にスクロールバーが表示され、長いテキストを閲覧できます。
• 大量のテキスト
  大きなテキストファイルやログデータを効率的に表示・編集できます。
• プレーンテキスト
  書式（フォント、色、スタイルなど）を持たないテキストのみを扱います。リッチテキスト（書式付きテキスト）を扱う場合はQTextEditクラスを使用します。

使用例

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPlainTextEdit textEdit;
  textEdit.setPlainText("これはプレーンテキストです。\n複数行のテキストも表示できます。");
  textEdit.show();

  return app.exec();
}

この例では、QPlainTextEditウィジェットを作成し、複数行のテキストを設定して表示しています。

QPlainTextEditの主なメソッド

• setWordWrapMode(QTextOption::WrapMode policy): 単語の折り返しモードを設定します。
• setLineWrapMode(QPlainTextEdit::LineWrapMode mode): テキストの折り返しモードを設定します。
• find(const QString &text, QTextDocument::FindFlags flags = QTextDocument::FindFlags()): テキストを検索します。
• setReadOnly(bool readonly): 読み取り専用モードを設定します。
• clear(): テキストをクリアします。
• appendPlainText(const QString &text): テキストを末尾に追加します。
• toPlainText(): テキストを文字列として取得します。
• setPlainText(const QString &text): テキストを設定します。

• QTextEdit: リッチテキスト（書式付きテキスト）を扱い、より高度な編集機能を提供する。
• QPlainTextEdit: プレーンテキストのみを扱い、高速でメモリ効率が良い。

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一般的なエラーとトラブルシューティング

1. • 原因
     
     • setPlainText()やappendPlainText()でテキストを設定していない。
     • ウィジェットが正しくレイアウトに追加されていない、または表示されていない。
     • テキストの色と背景色が同じで、テキストが見えない。
   • 解決策
     
     • setPlainText()などでテキストを設定しているか確認する。
     • ウィジェットがレイアウトに追加されているか、show()メソッドを呼び出しているか確認する。
     • テキストの色と背景色のコントラストを確認し、必要に応じて変更する。

2. テキストの折り返しが期待通りに動作しない
   

   • 原因
     
     • setLineWrapMode()やsetWordWrapMode()の設定が意図したものではない。
     • フォントサイズやウィジェットのサイズが適切でない。
   • 解決策
     
     • setLineWrapMode()でQPlainTextEdit::WidgetWidthやQPlainTextEdit::NoWrapなどの適切なモードを設定する。
     • setWordWrapMode()でQTextOption::WordWrapやQTextOption::NoWrapなどの適切なモードを設定する。
     • フォントサイズを調整するか、ウィジェットのサイズを変更して、テキストが適切に折り返されるようにする。

3. 検索機能が期待通りに動作しない
   

   • 原因
     
     • 検索文字列が間違っている。
     • find()メソッドのフラグが適切でない。
     • テキストが検索対象の範囲に含まれていない。
   • 解決策
     
     • 検索文字列を確認し、大文字と小文字が区別されているか、正規表現が正しく記述されているかを確認する。
     • find()メソッドのフラグ（QTextDocument::FindBackwardやQTextDocument::FindCaseSensitivelyなど）を適切に設定する。
     • テキストが検索対象の範囲に含まれているか確認する。

4. 信号とスロットが正しく動作しない
   

   • 原因
     
     • 信号とスロットの接続が正しく行われていない。
     • スロット関数が正しく実装されていない。
     • 信号が期待通りに送信されていない。
   • 解決策
     
     • connect()メソッドを使用して信号とスロットを正しく接続する。
     • スロット関数が期待通りに動作するかデバッグする。
     • 信号が期待通りに送信されているか確認する。
     • 特にtextChanged()信号は、テキストが変更されるたびに送信されるため、スロット内の処理が重いとパフォーマンスに影響を及ぼす可能性がある。

5. スクロールバーの動作が期待通りでない
   

   • 原因
     
     • ウィジェットのサイズやレイアウトの設定が適切でない。
     • テキストの量がスクロールバーを表示するのに十分でない。
   • 解決策
     
     • ウィジェットのサイズやレイアウトを調整して、スクロールバーが適切に表示されるようにする。
     • 十分な量のテキストを追加して、スクロールバーが表示されるようにする。

6. テキストの取得や設定で文字コードの問題が発生する
   

   • 原因
     
     • テキストのエンコーディングが正しく処理されていない。
     • 異なるエンコーディングのテキストを扱っている。
   • 解決策
     
     • QStringを使用する際に、正しいエンコーディングを指定する。
     • QTextCodecを使用して、テキストのエンコーディングを変換する。
     • UTF-8などのユニコードエンコーディングを使用することを推奨します。

デバッグのヒント

• Qtのドキュメントやオンラインフォーラムを参照して、同様の問題に対する解決策を探す。
• ログファイルに情報を出力して、問題が発生した状況を把握する。
• デバッガを使用して、コードの実行をステップごとに確認する。
• qDebug()を使用して、変数の値や処理の流れを確認する。

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基本的なテキストの表示と編集

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPlainTextEdit textEdit;
  textEdit.setPlainText("これはQPlainTextEditのサンプルテキストです。\n複数行のテキストも表示できます。");
  textEdit.show();

  return app.exec();
}

• \nは改行文字を表し、複数行のテキストを表示するために使用されます。
• setPlainText()メソッドを使用して、ウィジェットにテキストを設定します。
• このコードは、QPlainTextEditウィジェットを作成し、初期テキストを設定して表示します。

テキストの追加

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPlainTextEdit textEdit;
  textEdit.appendPlainText("最初の行です。");
  textEdit.appendPlainText("次の行を追加しました。");
  textEdit.show();

  return app.exec();
}

• このメソッドは、ログの表示やテキストの動的な追加に便利です。
• appendPlainText()メソッドを使用して、既存のテキストの末尾に新しいテキストを追加します。

テキストの取得

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPlainTextEdit textEdit;
  textEdit.setPlainText("テキストを取得します。");
  textEdit.show();

  QString text = textEdit.toPlainText();
  qDebug() << "取得したテキスト:" << text;

  return app.exec();
}

• qDebug()を使用して、取得したテキストをコンソールに出力します。
• toPlainText()メソッドを使用して、QPlainTextEditウィジェットのテキストをQStringとして取得します。

読み取り専用モードの設定

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPlainTextEdit textEdit;
  textEdit.setPlainText("これは読み取り専用のテキストです。");
  textEdit.setReadOnly(true); // 読み取り専用モードを有効化
  textEdit.show();

  return app.exec();
}

• 読み取り専用モードでは、ユーザーはテキストを編集できません。
• setReadOnly(true)を使用して、QPlainTextEditウィジェットを読み取り専用モードに設定します。

テキストの検索

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QTextDocument>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPlainTextEdit textEdit;
  textEdit.setPlainText("これは検索のサンプルです。検索する文字列は'サンプル'です。");
  textEdit.show();

  QString searchText = "サンプル";
  QTextDocument::FindFlags flags = QTextDocument::FindFlags(); // デフォルト設定

  bool found = textEdit.find(searchText, flags);

  if (found) {
    qDebug() << "文字列が見つかりました。";
  } else {
    qDebug() << "文字列が見つかりませんでした。";
  }

  return app.exec();
}

• QTextDocument::FindFlagsを使用して、検索オプションを設定できます（大文字と小文字の区別など）。
• find()メソッドを使用して、テキスト内で指定された文字列を検索します。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>

class MyWidget : public QPlainTextEdit {
  Q_OBJECT

public:
  MyWidget(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent) {
    connect(this, &QPlainTextEdit::textChanged, this, &MyWidget::onTextChanged);
  }

public slots:
  void onTextChanged() {
    qDebug() << "テキストが変更されました。";
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  MyWidget textEdit;
  textEdit.show();

  return app.exec();
}

#include "main.moc" // mocファイルをインクルード

• mocファイルをインクルードする必要があります。
• テキストが変更されるたびに、onTextChanged()スロットが呼び出され、コンソールにメッセージが出力されます。
• connect()メソッドを使用して、textChanged信号をカスタムスロットonTextChanged()に接続します。

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QTextEditクラスを使用する

• 使用例
  
• 欠点
  
  • QPlainTextEditよりもメモリ消費量が多く、パフォーマンスが低い場合がある。
  • プレーンテキストのみを扱う場合は、不要な機能が含まれる。
• 利点
  
  • 書式付きテキストとプレーンテキストの両方を扱える。
  • 高度なテキスト編集機能（フォント、色、スタイルなど）を利用できる。
• 説明
  
  • QTextEditクラスは、リッチテキスト（書式付きテキスト）を扱うためのウィジェットですが、プレーンテキストも扱うことができます。
  • QPlainTextEditよりも高度な編集機能や書式設定が必要な場合に適しています。
  • toPlainText()やsetPlainText()メソッドを使用すれば、プレーンテキストの取得・設定も可能です。

#include <QApplication> #include <QTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QTextEdit textEdit;
  textEdit.setPlainText("QTextEditでプレーンテキストを表示します。");
  textEdit.show();

  return app.exec();
}
```

QListView/QListWidgetクラスを使用する

• 使用例
  

  #include <QApplication>
  #include <QListWidget>
  
  int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);
  
    QListWidget listWidget;
    listWidget.addItem("ログ1");
    listWidget.addItem("ログ2");
    listWidget.addItem("ログ3");
    listWidget.show();
  
    return app.exec();
  }
  

• 欠点
  
  • テキストの編集には適さない。
  • 自由なテキストレイアウトが難しい。
• 利点
  
  • リスト形式のデータを効率的に表示できる。
  • スクロールバーや選択機能が標準で提供される。
  • パフォーマンスがQPlainTextEditよりも良い場合がある。
• 説明
  
  • ログやリスト形式のテキストを表示する場合、QListViewやQListWidgetクラスも利用できます。
  • 各行がリストアイテムとして表示され、スクロールバーや選択機能が組み込まれています。
  • 大量のログデータを効率的に表示するのに適しています。

QTextBrowserクラスを使用する

• 使用例
  

  #include <QApplication>
  #include <QTextBrowser>
  
  int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);
  
    QTextBrowser textBrowser;
    textBrowser.setText("これはQTextBrowserで表示されたテキストです。<a href=\"https://www.example.com\">リンク</a>");
    textBrowser.show();
  
    return app.exec();
  }
  

• 欠点
  
  • テキストの編集はできない。
  • 高度なテキスト編集機能は提供されない。
• 利点
  
  • HTMLやプレーンテキストを簡単に表示できる。
  • リンクや画像の表示をサポートする。
  • 読み取り専用のテキスト表示に特化している。
• 説明
  
  • QTextBrowserクラスは、HTMLやプレーンテキストを表示するための読み取り専用ウィジェットです。
  • リンクや画像を含むテキストを表示するのに適しています。
  • ログやドキュメントの表示に使用できます。

独自のウィジェットを作成する

• 使用例
  
  • QPainterを使用して、テキストを直接描画する。
  • QAbstractScrollAreaを継承して、スクロール機能を実装する。
  • テキストの編集機能を独自に実装する。
• 欠点
  
  • 開発に時間がかかる。
  • 高度なプログラミング知識が必要。
• 利点
  
  • 高度なカスタマイズが可能。
  • 特定の要件に完全に一致するウィジェットを作成できる。
• 説明
  
  • QAbstractScrollAreaやQWidgetを継承して、独自のテキスト表示・編集ウィジェットを作成することも可能です。
  • 特定の要件に合わせてカスタマイズできます。

• 高度なカスタマイズが必要な場合は、独自のウィジェットを作成します。
• 読み取り専用のテキスト表示が必要な場合は、QTextBrowserを選択します。
• ログやリスト形式のデータを表示する場合は、QListViewまたはQListWidgetを選択します。
• リッチテキストの編集が必要な場合は、QTextEditを選択します。
• プレーンテキストの編集が必要な場合は、QPlainTextEditまたはQTextEditを選択します。