Qt GUIライブラリの高度な機能：QPainterPathStrokerクラス

QPainterPathStrokerクラスは、Qt GUIライブラリにおいて、ペイントパス(画家パス)に基づいて塗りつぶせるアウトラインを生成するために使用されます。このクラスは、ペンのスタイル設定(幅、キャップスタイル、結合スタイル、破線パターン)を制御することにより、アウトラインの外観を詳細に調整することができます。

主な機能

鋭角結合の最大長を設定する
曲線の描画精度を設定する
アウトラインの破線パターンを設定する
アウトラインの結合スタイルを設定する (鋭角、丸角、斜めカット)
アウトラインのキャップスタイルを設定する (丸型、平型、方形)
アウトラインの幅を設定する
ペイントパスのアウトラインを生成する

使用方法

QPainterPathStrokerクラスを使用するには、以下の手順に従います。

QPainterPathStrokerオブジェクトを作成します。
setWidth(), setCapStyle(), setJoinStyle(), setDashPattern()などの関数を使用して、アウトラインのスタイルを設定します。
createStroke()関数を使用して、ペイントパスのアウトラインを生成します。
生成されたアウトラインパスを使用して、ペイント処理を行います。

例

QPainterPath path;
path.moveTo(0, 0);
path.lineTo(100, 0);
path.lineTo(100, 100);
path.lineTo(0, 100);
path.close();

QPainterPathStroker stroker;
stroker.setWidth(5);
stroker.setCapStyle(Qt::PenCapStyle::FlatCap);
stroker.setJoinStyle(Qt::PenJoinStyle::MiterJoin);
stroker.setDashPattern({10, 5});

QPainterPath outline = stroker.createStroke(path);

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::black);
painter.drawPath(outline);

この例では、四角形のペイントパスを作成し、そのアウトラインを生成して描画します。アウトラインは幅5ピクセル、平型キャップ、鋭角結合、破線パターン(10ピクセルの線、5ピクセルの空白)で描画されます。

QPainterPathStrokerクラスは、Qt GUI 5.1以降で使用できます。

QPainterPathStrokerクラスは、様々な形状のアウトラインを生成するために役立ちます。例えば、円形、楕円形、波線などのアウトラインを生成することができます。また、このクラスは、複雑なペイントパスに対しても使用することができます。

QPainterPath path;
path.moveTo(0, 0);
path.lineTo(100, 0);
path.lineTo(100, 100);
path.lineTo(0, 100);
path.close();

QPainterPathStroker stroker;
stroker.setWidth(5);
stroker.setCapStyle(Qt::PenCapStyle::FlatCap);
stroker.setJoinStyle(Qt::PenJoinStyle::MiterJoin);
stroker.setDashPattern({10, 5});

QPainterPath outline = stroker.createStroke(path);

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::black);
painter.drawPath(outline);

例2：円形のアウトラインを描画

QPainterPath path;
path.addEllipse(50, 50, 40, 40);

QPainterPathStroker stroker;
stroker.setWidth(3);
stroker.setCapStyle(Qt::PenCapStyle::RoundCap);
stroker.setJoinStyle(Qt::PenJoinStyle::BevelJoin);
stroker.setDashPattern({5, 2});

QPainterPath outline = stroker.createStroke(path);

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::red);
painter.drawPath(outline);

この例では、円形のペイントパスを作成し、そのアウトラインを生成して描画します。アウトラインは幅3ピクセル、丸型キャップ、斜めカット結合、破線パターン(5ピクセルの線、2ピクセルの空白)で描画されます。

例3：波線のアウトラインを描画

QPainterPath path;
path.moveTo(0, 20);
for (int i = 0; i < 10; ++i) {
    path.lineTo(i * 10, 20 + (i % 2) * 10);
}
path.lineTo(100, 20);

QPainterPathStroker stroker;
stroker.setWidth(2);
stroker.setCapStyle(Qt::PenCapStyle::SquareCap);
stroker.setJoinStyle(Qt::PenJoinStyle::RoundJoin);
stroker.setDashPattern({1});

QPainterPath outline = stroker.createStroke(path);

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::blue);
painter.drawPath(outline);

この例では、波線のペイントパスを作成し、そのアウトラインを生成して描画します。アウトラインは幅2ピクセル、方形キャップ、丸角結合、点線パターンで描画されます。

コードを実行するには、Qt GUIライブラリをプロジェクトに追加する必要があります。
これらの例は、Qt Creator 4.15.2とQt 5.15.2を使用して作成されました。

代替手段

以下に、QPainterPathStrokerクラスの代替手段として考えられる方法をいくつか紹介します。

カスタムペイントコードを使用する

最も柔軟な方法は、カスタムペイントコードを使用して、必要なアウトラインを直接生成することです。これにより、アウトラインの外観を完全に制御することができます。しかし、この方法は複雑で時間のかかる場合もあります。

別のライブラリを使用する

OpenGLを使用する

複雑なアウトラインを生成する必要がある場合は、OpenGLを使用してレンダリングすることができます。OpenGLは、高性能な2Dおよび3Dグラフィックスをレンダリングするために使用できる低レベルのグラフィックスライブラリです。しかし、OpenGLは習得するのが難しく、Qtとの統合も複雑になります。

代替手段を選択する際の考慮事項

QPainterPathStrokerクラスの代替手段を選択する際には、以下の点を考慮する必要があります。

必要な機能

必要な機能は、プロジェクトによって異なります。単純なアウトラインを生成するだけなら、QPainterPathStrokerクラスで十分かもしれません。しかし、より高度な機能が必要な場合は、他の方法を検討する必要があります。

スキルと経験

カスタムペイントコードを使用したり、別のライブラリを使用したりするには、プログラミングに関する高度なスキルと経験が必要です。一方、OpenGLを使用するには、さらに高度なスキルと経験が必要です。

パフォーマンス

パフォーマンスは、特に複雑なアウトラインを生成する必要がある場合は重要な考慮事項です。QPainterPathStrokerクラスは比較的軽量なライブラリですが、他の方法の方がパフォーマンスが優れている場合があります。

QPainterPathStrokerクラスは、多くの場合において、Qt GUIライブラリでアウトラインを生成するための優れたツールです。しかし、状況によっては、上記の代替手段の方が適切な場合があります。代替手段を選択する際には、必要な機能、スキルと経験、パフォーマンスなどの点を考慮する必要があります。

最適な代替手段は、プロジェクトの具体的な要件によって異なります。
上記の代替手段は、あくまでも例であり、他にも様々な方法が存在する可能性があります。