Qt TextInput renderType代替手法:Text要素、ShaderEffect、Canvas活用

2025-04-26

主に以下の2つのレンダリングタイプがあります。

どのように使うか

QMLでTextInput.renderTypeプロパティを設定することで、希望するレンダリングタイプを選択できます。

TextInput {
    text: "こんにちは"
    renderType: TextInput.QtRendering // または TextInput.NativeRendering
}
  • 特殊効果
    特殊なテキスト効果や高度な制御が必要な場合はQtRenderingを使用します。
  • 一貫性
    異なるプラットフォームで同じ見た目を維持したい場合はQtRenderingを使用します。
  • パフォーマンス
    一般的にはNativeRenderingが推奨されます。


一般的なエラーとトラブルシューティング

    • 原因
      • TextInputの親要素の描画設定が影響している可能性があります。例えば、親要素がItemなどで、clip: trueが設定されていると、レンダリングが制限されることがあります。
      • TextInputのフォントやサイズが適切に設定されていない場合、レンダリングタイプを変更しても見た目に変化がないことがあります。
      • プラットフォーム特有の問題で、特定のレンダリングタイプが正しく動作しないことがあります。
    • トラブルシューティング
      • 親要素の描画設定を確認し、clipなどの設定を調整します。
      • TextInputのフォント、サイズ、色などのプロパティを明示的に設定します。
      • 異なるプラットフォームでテストし、問題が特定のプラットフォームでのみ発生するかどうかを確認します。
      • Qtのバージョンを最新に更新し、バグ修正が含まれているか確認します。
      • QMLのシーングラフの警告やエラーを確認してください。
  1. QtRenderingを使用するとパフォーマンスが低下する

    • 原因
      • QtRenderingはソフトウェアレンダリングを使用するため、ネイティブレンダリングよりもCPU負荷が高くなります。
      • 特に、大量のテキストや複雑なテキスト効果を使用する場合、パフォーマンスの低下が顕著になります。
    • トラブルシューティング
      • 可能な限りNativeRenderingを使用します。
      • QtRenderingを使用する必要がある場合は、テキストの量を減らすか、複雑なテキスト効果の使用を避けます。
      • プロファイラを使用して、CPU使用率を確認し、ボトルネックを特定します。
      • QtRenderingを使用する場合、Qtのバージョンを最新に保つことでパフォーマンスが改善される場合があります。
  2. フォントの表示が異なるプラットフォーム間で一貫しない

    • 原因
      • NativeRenderingを使用する場合、プラットフォームのフォントレンダリングエンジンに依存するため、フォントの表示が異なることがあります。
      • 特に、フォントスムージングやアンチエイリアスの設定が異なる場合に顕著です。
    • トラブルシューティング
      • QtRenderingを使用することで、プラットフォームに依存しない一貫したフォント表示を実現できます。
      • フォントを埋め込み、すべてのプラットフォームで同じフォントを使用します。
      • フォントスムージングやアンチエイリアスの設定を調整しますが、プラットフォーム間の差異を完全に解消することは難しい場合があります。

デバッグのヒント

  • Qtのシーングラフの警告やエラーメッセージを確認します。
  • Qt Creatorのデバッガを使用して、TextInputのプロパティやレンダリング状態を確認します。


例1: NativeRenderingとQtRenderingの切り替え

この例では、ボタンを使ってTextInputrenderTypeNativeRenderingQtRenderingの間で切り替えます。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

Window {
    width: 400
    height: 200
    visible: true
    title: "TextInput RenderType Example"

    Column {
        anchors.centerIn: parent

        TextInput {
            id: myTextInput
            text: "こんにちは、Qt!"
            width: 300
            height: 50
            font.pointSize: 16
            renderType: TextInput.NativeRendering // デフォルトはNativeRendering
        }

        Row {
            spacing: 10

            Button {
                text: "NativeRendering"
                onClicked: {
                    myTextInput.renderType = TextInput.NativeRendering;
                }
            }

            Button {
                text: "QtRendering"
                onClicked: {
                    myTextInput.renderType = TextInput.QtRendering;
                }
            }
        }
    }
}

説明

  • ボタンをクリックすると、TextInputのレンダリングタイプが切り替わります。
  • 2つのボタンを作成し、それぞれNativeRenderingQtRenderingに対応するrenderTypemyTextInputに設定します。
  • TextInput要素(myTextInput)を作成し、初期のrenderTypeNativeRenderingに設定します。

例2: 条件付きでrenderTypeを設定する

この例では、特定の条件に基づいてrenderTypeを動的に設定します。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

Window {
    width: 400
    height: 200
    visible: true
    title: "Conditional RenderType Example"

    property bool useQtRendering: false // 条件

    Column {
        anchors.centerIn: parent

        TextInput {
            id: myTextInput
            text: "複雑なテキスト効果"
            width: 300
            height: 50
            font.pointSize: 16
            renderType: useQtRendering ? TextInput.QtRendering : TextInput.NativeRendering
            // useQtRenderingがtrueならQtRendering, falseならNativeRendering
        }

        CheckBox {
            text: "QtRenderingを使用"
            checked: useQtRendering
            onCheckedChanged: {
                useQtRendering = checked;
            }
        }
    }
}

説明

  • チェックボックスの状態が変わると、TextInputのレンダリングタイプも変わります。
  • CheckBoxを作成し、useQtRenderingの値を切り替えます。
  • TextInputrenderTypeを三項演算子を使用して、useQtRenderingの値に基づいて動的に設定します。
  • useQtRenderingというブール型のプロパティを作成し、条件を制御します。

例3: QtRenderingでフォントを埋め込む

QtRenderingを使う場合、フォントを埋め込むことで、プラットフォーム間のフォント表示の一貫性を保つことができます。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
import QtQuick.FontDatabase 1.0

Window {
    width: 400
    height: 200
    visible: true
    title: "Embedded Font Example"

    FontDatabase {
        fontFamilies: ["MyEmbeddedFont"]
        source: "qrc:/fonts/MyFont.ttf" // フォントファイルのパス
    }

    TextInput {
        id: myTextInput
        text: "埋め込みフォント"
        width: 300
        height: 50
        font.pointSize: 16
        font.family: "MyEmbeddedFont"
        renderType: TextInput.QtRendering
    }
}
  • qrc:/fonts/MyFont.ttfは例ですので,実際のフォントファイルのパスに置き換えてください。
  • renderTypeQtRenderingに設定します。
  • TextInputfont.familyプロパティに、埋め込んだフォントのファミリー名を指定します。
  • FontDatabase要素を使用して、フォントファイルを埋め込みます。


Text要素の使用

  • Text要素は必要に応じてShaderEffectCanvas要素と組み合わせて、高度なテキスト効果を実現することもできます。
  • Text要素はrenderTypeプロパティを持ちませんが、フォント、サイズ、色などを細かく制御できます。
  • Text要素はTextInputよりも軽量で、レンダリング方法の制御も柔軟です。
  • TextInputはユーザーがテキストを編集するためのものですが、単にテキストを表示するだけであればText要素を使用できます。


import QtQuick 2.15

Item {
    width: 200
    height: 100

    Text {
        text: "代替テキスト表示"
        anchors.centerIn: parent
        font.pointSize: 16
        color: "blue"
    }
}

ShaderEffectの使用

  • ShaderEffectはOpenGLシェーダを使用するため、高度なグラフィックスプログラミングの知識が必要になります。
  • これにより、TextInput.renderTypeでは実現できないような高度なテキスト効果(シャドウ、グロー、歪みなど)を実装できます。
  • ShaderEffectを使用して、テキストにカスタムのレンダリング効果を適用できます。


import QtQuick 2.15
import QtQuick.Effects 2.0

Item {
    width: 200
    height: 100

    Text {
        id: myText
        text: "シェーダ効果"
        anchors.centerIn: parent
        font.pointSize: 16
    }

    DropShadow {
        anchors.fill: myText
        source: myText
        radius: 8
        samples: 16
        color: "black"
    }
}

Canvas要素の使用

  • Canvas要素は、複雑なテキストレイアウトや特殊なテキスト効果を実装するのに適しています。
  • これにより、ピクセルレベルでのテキストレンダリング制御が可能になります。
  • Canvas要素を使用して、JavaScriptでテキストをカスタム描画できます。


import QtQuick 2.15

Item {
    width: 200
    height: 100

    Canvas {
        anchors.fill: parent

        onPaint: {
            var ctx = getContext("2d");
            ctx.font = "16px sans-serif";
            ctx.fillStyle = "red";
            ctx.fillText("カスタム描画", 50, 50);
        }
    }
}

QQuickPaintedItemの使用

  • これにより、高度なテキストレンダリングアルゴリズムやプラットフォーム固有のテキスト描画機能を実装できます。
  • C++でカスタムの描画ロジックを実装し、QQuickPaintedItemを使用してQMLに統合できます。
  • 特定のフォントをアプリケーションに埋め込み、フォールバックフォントを設定することで、異なるプラットフォームでも同じようなテキスト表示を実現できます。
  • TextInput.renderTypeではなく、フォントの埋め込みとフォールバック戦略を適切に設定することで、プラットフォーム間のテキスト表示の一貫性を高めることができます。