Qt TextInput acceptableInput だけじゃない!入力検証の代替手法を徹底比較
2025-04-26
概念と動作
- マッチしない場合、文字は無視され、
TextInput
には表示されません。 - マッチする場合、文字は
TextInput
に表示されます。 - ユーザーがキーボードで文字を入力すると、入力された文字が指定された正規表現にマッチするかどうかがチェックされます。
acceptableInput
プロパティは、正規表現(Regular Expression)を受け取ります。
使い方
acceptableInput
プロパティには、JavaScriptの正規表現オブジェクトまたは文字列として正規表現を指定します。
例
-
数字のみを受け入れる
import QtQuick 2.15 import QtQuick.Controls 2.15 ApplicationWindow { visible: true width: 400 height: 100 TextInput { anchors.centerIn: parent acceptableInput: /[0-9]/ // 数字のみを受け入れる正規表現 } }
この例では、
acceptableInput
に/[0-9]/
という正規表現が設定されています。これは、0から9までの数字のみを受け入れることを意味します。 -
アルファベットのみを受け入れる
import QtQuick 2.15 import QtQuick.Controls 2.15 ApplicationWindow { visible: true width: 400 height: 100 TextInput { anchors.centerIn: parent acceptableInput: /[a-zA-Z]/ // アルファベットのみを受け入れる正規表現 } }
この例では、
acceptableInput
に/[a-zA-Z]/
という正規表現が設定されています。これは、アルファベットの大文字と小文字のみを受け入れることを意味します。 -
特定の文字セットを受け入れる
import QtQuick 2.15 import QtQuick.Controls 2.15 ApplicationWindow { visible: true width: 400 height: 100 TextInput { anchors.centerIn: parent acceptableInput: /[abc]/ // a, b, c のみを受け入れる正規表現 } }
この例では、
acceptableInput
に/[abc]/
という正規表現が設定されています。これは、a, b, c のみを受け入れることを意味します。
- 正規表現の構文を理解することが重要です。
- 複雑な入力検証が必要な場合は、
validator
プロパティを使用するか、onTextChanged
シグナルを使用してカスタムの検証ロジックを実装することを検討してください。 acceptableInput
は、入力された文字が正規表現にマッチするかどうかをチェックするだけで、入力された文字列全体が正規表現にマッチするかどうかをチェックするわけではありません。
一般的なエラーとトラブルシューティング
-
- エラー
acceptableInput
に無効な正規表現を指定すると、予期しない動作やエラーが発生する可能性があります。 - トラブルシューティング
- 正規表現の構文が正しいか確認してください。オンラインの正規表現テスターツールを使用して、正規表現が意図した通りに動作するかテストすることをお勧めします。
- 特に、特殊文字(
\
、^
、$
、.
、*
、+
、?
、{}
、[]
、|
、()
)のエスケープが適切に行われているか確認してください。 - 正規表現の複雑さを最小限に抑え、デバッグを容易にするように努めてください。
- エラー
-
期待通りの文字が入力できない
- エラー
acceptableInput
で許可するはずの文字が入力できない。 - トラブルシューティング
- 正規表現が意図した文字セットを正確にカバーしているか確認してください。例えば、大文字と小文字の両方を許可する場合は、
[a-zA-Z]
のように指定する必要があります。 - 正規表現の範囲指定(
[a-z]
、[0-9]
など)が正しいか確認してください。 - 正規表現の否定(
[^...]
)を使用している場合は、意図しない文字が除外されていないか確認してください。 acceptableInput
は入力された文字単位でチェックします。文字列全体のチェックではないので、その点に注意してください。
- 正規表現が意図した文字セットを正確にカバーしているか確認してください。例えば、大文字と小文字の両方を許可する場合は、
- エラー
-
予期しない文字が入力できてしまう
- エラー
acceptableInput
で許可していないはずの文字が入力できてしまう。 - トラブルシューティング
- 正規表現が意図しない文字を許可していないか確認してください。
- 空白文字や特殊文字が予期せず許可されていないか確認してください。
- 正規表現の優先順位やグループ化が意図した通りになっているか確認してください。
- エラー
-
パフォーマンスの問題
- エラー
非常に複雑な正規表現を使用すると、パフォーマンスが低下する可能性があります。 - トラブルシューティング
- 正規表現を簡略化し、最適化してください。
- 可能な限り、より単純な入力検証方法(例えば、
validator
プロパティやonTextChanged
シグナル)を使用することを検討してください。
- エラー
-
入力メソッドエディタ(IME)との互換性
- エラー
IMEを使用している場合、acceptableInput
が正しく動作しないことがあります。 - トラブルシューティング
- IMEの設定や動作を確認してください。
- IMEの入力モードによって、
acceptableInput
の動作が異なる場合があります。 - IMEの入力確定前の文字に対して
acceptableInput
は動作しないので、確定後の文字に対しての検証を行うようにしてください。
- エラー
-
デバッグ
- トラブルシューティング
console.log()
やqDebug()
を使用して、入力された文字と正規表現のマッチング結果をログに出力し、デバッグしてください。- 正規表現テスターツールを使用して、正規表現の動作をステップごとに確認してください。
- トラブルシューティング
重要なポイント
- 正規表現の知識は、
acceptableInput
を効果的に使用するために不可欠です。 - 複雑な入力検証が必要な場合は、
validator
プロパティやカスタムの検証ロジックを使用することを検討してください。 acceptableInput
は、あくまでも入力された文字単位でのフィルタリングであり、完全な入力検証を行うものではありません。
例1: 数字のみの入力制限
import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
ApplicationWindow {
visible: true
width: 400
height: 100
TextInput {
id: numberInput
anchors.centerIn: parent
acceptableInput: /[0-9]/ // 数字のみを許可
placeholderText: "数字を入力してください"
}
Text {
anchors.top: numberInput.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: "入力された数字: " + numberInput.text
}
}
説明
- 入力された数字は
Text
要素に表示されます。 - これにより、ユーザーは0から9までの数字のみを入力できます。
- この例では、
TextInput
のacceptableInput
プロパティに/[0-9]/
という正規表現を設定しています。
例2: アルファベットのみの入力制限 (大文字と小文字)
import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
ApplicationWindow {
visible: true
width: 400
height: 100
TextInput {
id: alphabetInput
anchors.centerIn: parent
acceptableInput: /[a-zA-Z]/ // アルファベット(大文字と小文字)のみを許可
placeholderText: "アルファベットを入力してください"
}
Text {
anchors.top: alphabetInput.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: "入力されたアルファベット: " + alphabetInput.text
}
}
説明
- これにより、ユーザーはアルファベットの大文字と小文字のみを入力できます。
- この例では、
acceptableInput
に/[a-zA-Z]/
という正規表現を設定しています。
例3: 特定の文字セットの入力制限 (a, b, c のみ)
import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
ApplicationWindow {
visible: true
width: 400
height: 100
TextInput {
id: specificCharsInput
anchors.centerIn: parent
acceptableInput: /[abc]/ // a, b, c のみを許可
placeholderText: "a, b, c のみ入力してください"
}
Text {
anchors.top: specificCharsInput.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: "入力された文字: " + specificCharsInput.text
}
}
説明
- これにより、ユーザーはa、b、cの文字のみを入力できます。
- この例では、
acceptableInput
に/[abc]/
という正規表現を設定しています。
例4: 数字とハイフン(-)の入力制限
import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
ApplicationWindow {
visible: true
width: 400
height: 100
TextInput {
id: numberHyphenInput
anchors.centerIn: parent
acceptableInput: /[0-9-]/ // 数字とハイフン(-)のみを許可
placeholderText: "数字とハイフンを入力してください"
}
Text {
anchors.top: numberHyphenInput.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: "入力された文字: " + numberHyphenInput.text
}
}
説明
- これにより、ユーザーは数字とハイフン(-)のみを入力できます。
- この例では、
acceptableInput
に/[0-9-]/
という正規表現を設定しています。
- 複雑な入力検証が必要な場合は、
validator
プロパティやonTextChanged
シグナルを使用することを検討してください。 - 正規表現を適切に設定することで、様々な入力制限を実現できます。
- これらの例では、
TextInput
のacceptableInput
プロパティを使用して、ユーザー入力を制限しています。
validatorプロパティの使用
QIntValidator
、QDoubleValidator
、QRegExpValidator
などの組み込みバリデーターも利用可能です。QValidator
クラスを継承したカスタムバリデーターを作成することで、複雑な検証ロジックを実装できます。validator
プロパティは、入力された文字列全体を検証するために使用されます。
例
数字の範囲を制限するバリデーター
import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
import QtQuick.Controls.impl 2.15
ApplicationWindow {
visible: true
width: 400
height: 100
TextInput {
id: validatedInput
anchors.centerIn: parent
placeholderText: "1から100までの数字を入力してください"
validator: IntValidator { bottom: 1; top: 100 }
}
Text {
anchors.top: validatedInput.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: "入力された値: " + validatedInput.text
}
}
説明
- 範囲外の入力は拒否されます。
IntValidator
を使用して、入力された数字が1から100の範囲内にあるか検証しています。
onTextChangedシグナルの使用
- 入力された文字列を解析し、条件に応じてテキストを修正したり、エラーメッセージを表示したりできます。
- このシグナルハンドラー内で、JavaScriptコードを使用してカスタムの検証ロジックを実装できます。
onTextChanged
シグナルは、TextInput
のテキストが変更されるたびに発生します。
例
特定の文字数制限と、特定文字の拒否。
import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
ApplicationWindow {
visible: true
width: 400
height: 100
TextInput {
id: customValidationInput
anchors.centerIn: parent
placeholderText: "10文字以内で'x'は禁止"
onTextChanged: {
if (text.length > 10) {
text = text.substring(0, 10);
}
if (text.includes("x")) {
text = text.replace("x","");
}
}
}
Text {
anchors.top: customValidationInput.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: "入力されたテキスト: " + customValidationInput.text
}
}
}
説明
- これにより、より柔軟な入力制御が可能になります。
onTextChanged
シグナルハンドラー内で、テキストの長さが10文字を超えないように制限し、'x'の文字を削除しています。
カスタム入力コンポーネントの作成
- カスタムコンポーネント内で、独自の検証ロジックやUI要素を組み込むことができます。
- より複雑な入力検証やUIが必要な場合は、
TextInput
をベースにしたカスタム入力コンポーネントを作成できます。
入力マスクの使用 (マスク入力)
- 例えば、電話番号や郵便番号などの形式を固定できます。
- 特定の入力パターンを強制するために、入力マスクを使用できます。
- これにより、ユーザーが入力完了後にのみ検証を行うことができます。
onFocusLost
シグナルを使用して、TextInput
がフォーカスを失ったときに検証を実行できます。
- フォーカス喪失時の検証:入力完了後の検証に適しています。
- 入力マスク:特定の入力パターンを強制する際に適しています。
- カスタム入力コンポーネント:複雑な検証とUIが必要な場合に適しています。
onTextChanged
シグナル:リアルタイムのカスタム検証に適しています。validator
プロパティ:文字列全体の検証に適しています。