Qt TextInput フォント埋め込み：カスタムフォントを安全に利用する方法

2025-04-26

以下に詳細を説明します。

「TextInput.font.family」の役割

視覚的な統一
アプリケーション全体のデザインに合わせて、特定のフォントファミリーを適用し、視覚的な統一感を持たせることができます。
テキストの書体指定
このプロパティを使用することで、テキスト入力フィールドに入力されたテキストの見た目（書体）を制御できます。

使用方法

QMLコード内で「TextInput.font.family」プロパティに文字列としてフォントファミリー名を指定します。

例：

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("TextInput Font Family Example")

    TextInput {
        id: inputField
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40
        font.family: "Meiryo" // 明朝体を指定
        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

この例では、「TextInput」の「font.family」プロパティに「Meiryo」を指定しています。これにより、テキスト入力フィールドに入力されたテキストは明朝体で表示されます。

フォントファミリーの名前は、OSによって異なる場合があります。
指定したフォントファミリーがシステムにインストールされている必要があります。インストールされていない場合、代替のフォントが使用されることがあります。

一般的なエラーとトラブルシューティング

- 原因
  - 指定したフォントファミリーがシステムにインストールされていない。
  - フォントファミリー名のスペルミス。
  - OSがフォントを正しく認識していない。
- トラブルシューティング
  - 指定したフォントがシステムにインストールされているか確認します。
  - フォントファミリー名を正確に入力しているか確認します。（大文字と小文字も区別されます）
  - OSのフォント管理ツールでフォントが正しくインストールされているか確認します。
  - 別のフォントファミリーを試してみます。
  - アプリケーションを再起動してみます。
フォントサイズやスタイルが期待通りに反映されない
- 原因
  - 「TextInput.font.pointSize」や「TextInput.font.bold」などの他のフォントプロパティとの組み合わせの問題。
  - フォント自体が指定されたスタイルに対応していない。
- トラブルシューティング
  - 「TextInput.font」に関連する他のプロパティの設定を確認します。
  - 別のフォントファミリーやフォントスタイルを試してみます。
  - フォントの仕様を確認します。
QML Viewer や Qt Creator のプレビューで正しく表示されない
- 原因
  - プレビュー環境と実際の実行環境でフォントの可用性が異なる。
  - Qt Creator の設定の問題。
- トラブルシューティング
  - 実際のデバイスやエミュレータでテストします。
  - Qt Creator の設定を確認し、必要に応じてリセットします。
  - QML Viewer の設定を確認します。

デバッグのヒント

Qtのドキュメントやコミュニティフォーラムで情報を検索します。
シンプルなテストケースを作成し、問題の再現手順を特定します。
「console.log(TextInput.font.family)」などで、実際に適用されているフォントファミリーをログに出力して確認します。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("TextInput Font Family Example")

    TextInput {
        id: inputField
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40
        font.family: "Meiryo" // 明朝体を指定
        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

説明
- このコードは、基本的な「TextInput」コンポーネントを作成し、その「font.family」プロパティに「Meiryo」（明朝体）を指定しています。
- これにより、テキスト入力フィールドに入力されたテキストは明朝体で表示されます。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
import Qt.platform

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("Platform Specific Font Example")

    TextInput {
        id: inputField
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40

        Component.onCompleted: {
            if (Qt.platform.os === "windows") {
                inputField.font.family = "Meiryo";
            } else if (Qt.platform.os === "macos") {
                inputField.font.family = "Hiragino Sans";
            } else {
                inputField.font.family = "Noto Sans CJK JP"; // Linuxなど
            }
        }

        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("Font Fallback Example")

    TextInput {
        id: inputField
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40
        font.family: ["MyCustomFont", "Meiryo", "sans-serif"] // 代替フォントを指定
        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

説明
- このコードは、「font.family」プロパティにフォントファミリー名の配列を指定しています。
- これにより、最初のフォント「MyCustomFont」が見つからない場合、次の「Meiryo」が使用され、それも見つからない場合は「sans-serif」が使用されます。
- このように、代替フォントを指定することで、特定のフォントが利用できない場合でも、適切なフォントでテキストを表示できます。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("Dynamic Font Change Example")

    Column {
        anchors.centerIn: parent

        TextInput {
            id: inputField
            width: 300
            height: 40
            font.family: currentFont // 変数でフォント指定
            placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
        }

        ComboBox {
            id: fontSelector
            model: ["Meiryo", "Yu Gothic", "Arial"]
            onCurrentTextChanged: {
                currentFont = currentText;
            }
        }
    }

    property string currentFont: "Meiryo" // 初期値
}

説明
- このコードは、ComboBoxを使用して、動的にTextInputのフォントファミリーを変更できるようにしています。
- ComboBoxで選択されたフォントファミリーが、TextInputの「font.family」プロパティに反映されます。
- これにより、ユーザーが実行時にフォントを変更できます。

代替手法1：QFontDatabaseの使用

QFontDatabaseは、システムにインストールされているフォントに関する情報を提供するQtのクラスです。これを使用することで、利用可能なフォントファミリーを列挙したり、特定のフォントが存在するかどうかを確認したりできます。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
import Qt.Gui 5.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("QFontDatabase Example")

    Component.onCompleted: {
        let availableFonts = QFontDatabase.families();
        console.log("利用可能なフォントファミリー:");
        for (let i = 0; i < availableFonts.length; ++i) {
            console.log(availableFonts[i]);
        }

        if (QFontDatabase.contains("Meiryo")) {
            inputField.font.family = "Meiryo";
        } else {
            console.log("Meiryoフォントが見つかりません。");
            inputField.font.family = "sans-serif"; // 代替フォント
        }
    }

    TextInput {
        id: inputField
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40
        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

説明
- QFontDatabase.families()を使用して、利用可能なフォントファミリーのリストを取得します。
- QFontDatabase.contains("Meiryo")を使用して、特定のフォントが存在するかどうかを確認します。
- フォントの有無に応じて、TextInputのfont.familyプロパティを設定します。

代替手法2：QMLのStyle機能の使用

Qt Quick Controls 2では、スタイル機能を使用して、アプリケーション全体のフォント設定を管理できます。これにより、個々のTextInputコンポーネントでフォントファミリーを指定する代わりに、スタイルシートで一括して設定できます。

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("Style Example")

    style: Style {
        font.family: "Yu Gothic" // アプリ全体のフォント設定
    }

    TextInput {
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40
        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

説明
- ApplicationWindowのstyleプロパティを使用して、Styleオブジェクトを作成します。
- Styleオブジェクトのfont.familyプロパティに、アプリケーション全体のフォントファミリーを設定します。
- これにより、すべてのTextInputコンポーネントに同じフォントファミリーが適用されます。

代替手法3：フォントファイルの埋め込み

アプリケーションに特定のフォントファイルを埋め込み、それをTextInputで使用することも可能です。これにより、システムにフォントがインストールされていない場合でも、常に同じフォントを使用できます。

- Qt Creatorで、フォントファイルをリソースファイル（.qrc）に追加します。
フォントをロードして使用

import QtQuick 2.15
import QtQuick.Controls 2.15
import Qt.Gui 5.15

ApplicationWindow {
    visible: true
    width: 640
    height: 480
    title: qsTr("Embedded Font Example")

    Component.onCompleted: {
        let fontUrl = "qrc:/fonts/MyCustomFont.ttf"; // リソースパス
        if (QFontDatabase.addApplicationFont(fontUrl) >= 0) {
            inputField.font.family = "MyCustomFont";
        } else {
            console.log("フォントのロードに失敗しました。");
            inputField.font.family = "sans-serif";
        }
    }

    TextInput {
        id: inputField
        anchors.centerIn: parent
        width: 300
        height: 40
        placeholderText: qsTr("テキストを入力してください")
    }
}

説明
- QFontDatabase.addApplicationFont()を使用して、リソースファイルからフォントをロードします。
- ロードが成功した場合、TextInputのfont.familyプロパティに、ロードしたフォントファミリーを設定します。