Qt GUI: アイコンをバイナリファイルに書き出すための便利ツール QIconEngine::write()


QIconEngine::write()は、Qt GUIにおけるアイコンエンジンオブジェクトの状態をバイナリデータストリームに書き出すためのメソッドです。アイコンエンジンは、QIconクラスによって使用される抽象ベースクラスであり、アイコンの描画機能を提供します。

書き出されるデータ

QIconEngine::write()メソッドは、以下のデータをバイナリデータストリームに書き出します。

  • 各アイコンサイズのピクセルマップデータ
  • 利用可能なアイコンサイズ
  • アイコンのキー
  • アイコンの名前

メソッドの呼び出し

QIconEngine::write()メソッドは、QDataStreamオブジェクトを渡して呼び出されます。このオブジェクトは、書き出されるデータの宛先となります。

bool QIconEngine::write(QDataStream &out) const;

メソッドの戻り値

QIconEngine::write()メソッドは、書き込み操作が成功したかどうかを示すbool値を返します。操作が成功した場合、trueが返されます。失敗した場合は、falseが返されます。

以下のコード例は、QIconEngine::write()メソッドを使用して、アイコンエンジンオブジェクトの状態をバイナリファイルに書き出す方法を示しています。

QIconEngine *engine = new MyIconEngine();
QFile file("icon.dat");

if (file.open(QIODevice::WriteOnly)) {
    QDataStream out(&file);
    engine->write(out);
    file.close();
} else {
    // エラー処理
}
  • QIconEngine::write()メソッドは、Qt GUI 5.0以降で使用できます。
  • QIconEngine::write()メソッドは、シリアル化に使用できます。シリアル化とは、オブジェクトの状態をバイナリデータに変換し、後で復元できる形式で保存するプロセスです。


#include <QIconEngine>
#include <QFile>
#include <QDataStream>

class MyIconEngine : public QIconEngine
{
public:
    MyIconEngine() {}

protected:
    void paint(QPainter *painter, const QRect &rect, QIcon::Mode mode, const QPixmap &pixmap) override
    {
        // アイコンを描画するコード
    }

    QPixmap pixmap(const QSize &size, QIcon::Mode mode) const override
    {
        // アイコンのピクセルマップを取得するコード
    }

    bool read(QDataStream &in) override
    {
        // アイコンエンジンオブジェクトの状態を読み込むコード
    }

    bool write(QDataStream &out) const override
    {
        // アイコンエンジンオブジェクトの状態を書き出すコード

        // アイコンの名前を書き出す
        out << name();

        // アイコンのキーを書き出す
        out << key();

        // 利用可能なアイコンサイズを書き出す
        for (const QSize &size : availableSizes()) {
            out << size;
        }

        // 各アイコンサイズのピクセルマップデータを書き出す
        for (const QSize &size : availableSizes()) {
            out << pixmap(size);
        }

        return true;
    }
};

int main()
{
    QIconEngine *engine = new MyIconEngine();
    QFile file("icon.dat");

    if (file.open(QIODevice::WriteOnly)) {
        QDataStream out(&file);
        engine->write(out);
        file.close();
    } else {
        // エラー処理
    }

    delete engine;

    return 0;
}

説明

このコード例では、MyIconEngineという名前のアイコンエンジンクラスが定義されています。このクラスは、QIconEngineクラスを継承しており、paint(), pixmap()read(), write()などのメソッドをオーバーライドしています。

  • write()メソッドは、アイコンエンジンオブジェクトの状態を書き出すために呼び出されます。
  • read()メソッドは、アイコンエンジンオブジェクトの状態を読み込むために呼び出されます。
  • pixmap()メソッドは、アイコンのピクセルマップを取得するために呼び出されます。
  • paint()メソッドは、アイコンを描画するために呼び出されます。

main()関数では、MyIconEngineオブジェクトを作成し、icon.datという名前のバイナリファイルに書き出しています。



以下に、QIconEngine::write() の代替方法として考えられるいくつかの方法を紹介します。

QByteArray を使用する

QByteArray クラスを使用して、アイコンエンジンオブジェクトの状態をバイナリデータとして保存することができます。

QByteArray data;
QDataStream out(&data, QIODevice::WriteOnly);

engine->write(out);

// データをファイルに保存
QFile file("icon.dat");
if (file.open(QIODevice::WriteOnly)) {
    file.write(data);
    file.close();
}

QVariant を使用する

QVariant クラスを使用して、アイコンエンジンオブジェクトの状態をシリアル化することができます。

QVariant variant;
QDataStream out(&variant, QIODevice::WriteOnly);

engine->write(out);

// データをファイルに保存
QFile file("icon.dat");
if (file.open(QIODevice::WriteOnly)) {
    file << variant;
    file.close();
}

XML を使用する

QXmlStreamWriter クラスを使用して、アイコンエンジンオブジェクトの状態を XML 形式で保存することができます。

QXmlStreamWriter writer(&file);
writer.setAutoFormatting(true);
writer.startDocument();

writer.writeStartElement("IconEngine");

// アイコンエンジンオブジェクトの状態を XML に書き出す

writer.writeEndElement();
writer.endDocument();

カスタムシリアル化フォーマットを使用する

独自のシリアル化フォーマットを使用して、アイコンエンジンオブジェクトの状態を保存することができます。

利点と欠点

各方法には、それぞれ利点と欠点があります。

  • カスタムシリアル化フォーマットを使用する

    • 利点: アプリケーションのニーズに合わせたフォーマットで保存できる
    • 欠点: 開発とメンテナンスが複雑
  • XML を使用する

    • 利点: 人間が読める形式で保存できる
    • 欠点: データサイズが大きくなる
  • QVariant を使用する

    • 利点: さまざまなデータ型を保存できる
    • 欠点: データ形式が複雑
    • 利点: シンプルで使いやすい
    • 欠点: データ形式が不透明

どの方法を使用するかは、状況によって異なります。シンプルな方法が必要であれば、QByteArray を使用するのがおすすめです。柔軟性が必要であれば、QVariant を使用するのも良いでしょう。人間が読める形式で保存したい場合は、XML を使用するのも良いでしょう。独自のニーズに合わせて、カスタムシリアル化フォーマットを使用することもできます。