Qt WidgetsにおけるQColumnView::verticalOffset(): 詳細解説とサンプルコード集

QColumnView::verticalOffset() は、Qt Widgetsライブラリにおける QColumnView クラスのメンバー関数であり、現在のスクロール位置における垂直オフセットを取得します。これは、縦方向にスクロールされた量を表す数値です。

用途

この関数は、以下の目的で使用できます。

• スクロールバーの位置を更新する
• 特定の行にスクロールする
• 現在表示されているデータ範囲を確認する

戻り値

QColumnView::verticalOffset() は、現在のスクロール位置における垂直オフセットを int 型の値として返します。オフセットはピクセル単位で表されます。

QColumnView *view = new QColumnView();
// ... モデルを設定

int verticalOffset = view->verticalOffset();
qDebug() << "現在のスクロール位置(垂直オフセット):" << verticalOffset;

// 特定の行にスクロール
QModelIndex index = view->model()->index(row, 0);
view->scrollTo(index, QAbstractItemView::EnsureVisible);

• 水平方向のスクロール位置を取得するには、QColumnView::horizontalOffset() 関数を使用します。
• 垂直オフセットは、QAbstractScrollArea::verticalScrollBar() を介して取得することもできます。
• QColumnView::verticalOffset() は、QAbstractItemView::verticalOffset() を再実装したものです。

---

#include <QApplication>
#include <QColumnView>
#include <QStandardItemModel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // モデルを作成
    QStandardItemModel model;
    for (int i = 0; i < 100; ++i) {
        QString text = QString("行%1").arg(i + 1);
        QList<QVariant> rowData;
        rowData << text;
        model.appendRow(rowData);
    }

    // ビューを作成
    QColumnView view;
    view.setModel(&model);

    // 現在のスクロール位置(垂直オフセット)を取得
    int verticalOffset = view.verticalOffset();
    qDebug() << "現在のスクロール位置(垂直オフセット):" << verticalOffset;

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下の出力がコンソールに出力されます。

現在のスクロール位置(垂直オフセット): 0

これは、ビューが初期状態ではスクロールされていないことを示します。

例2：特定の行にスクロールする

#include <QApplication>
#include <QColumnView>
#include <QStandardItemModel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // モデルを作成
    QStandardItemModel model;
    for (int i = 0; i < 100; ++i) {
        QString text = QString("行%1").arg(i + 1);
        QList<QVariant> rowData;
        rowData << text;
        model.appendRow(rowData);
    }

    // ビューを作成
    QColumnView view;
    view.setModel(&model);

    // 特定の行にスクロール
    int row = 50; // 50行目にスクロール
    QModelIndex index = view.model()->index(row, 0);
    view.scrollTo(index, QAbstractItemView::EnsureVisible);

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、ビューが50行目にスクロールされます。

例3：スクロールバーの位置を更新する

#include <QApplication>
#include <QColumnView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QScrollBar>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // モデルを作成
    QStandardItemModel model;
    for (int i = 0; i < 100; ++i) {
        QString text = QString("行%1").arg(i + 1);
        QList<QVariant> rowData;
        rowData << text;
        model.appendRow(rowData);
    }

    // ビューを作成
    QColumnView view;
    view.setModel(&model);

    // 垂直スクロールバーを取得
    QScrollBar *verticalScrollBar = view.verticalScrollBar();

    // 特定の行にスクロール
    int row = 50; // 50行目にスクロール
    QModelIndex index = view.model()->index(row, 0);
    view.scrollTo(index, QAbstractItemView::EnsureVisible);

    // スクロールバーの位置を更新
    int value = view.verticalOffset();
    verticalScrollBar->setValue(value);

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、ビューが50行目にスクロールされ、垂直スクロールバーの位置も更新されます。

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QAbstractScrollArea::verticalScrollBar().value()`

QColumnView は QAbstractScrollArea クラスを継承しているため、verticalScrollBar().value() 関数を使用して垂直オフセットを取得することができます。この方法は、QColumnView::verticalOffset() とほぼ同じ結果を返すことができますが、以下の点に注意する必要があります。

• ビューにスクロールバーが存在しない場合は、この方法は使用できません。
• ビューに複数のスクロールバーが存在する場合は、どのスクロールバーの値を取得するかを明示的に指定する必要があります。

QScrollBar *verticalScrollBar = view->verticalScrollBar();
int verticalOffset = verticalScrollBar->value();

QModelIndex::row()`

現在表示されている行の行番号を取得することで、垂直オフセットを間接的に推測することができます。この方法は、以下の場合に有効です。

• 行の高さが一定である場合
• 表示されている行の高さすべてが表示されている場合

QModelIndex index = view->currentIndex();
int row = index.row();
int verticalOffset = row * view->rowHeight();

カスタムロジック

上記の方法でうまくいかない場合は、カスタムロジックを実装する必要があります。これは、複雑なレイアウトや非標準的な動作を持つビューの場合に必要になる可能性があります。

int verticalOffset = 0;
for (int i = 0; i < view->currentIndex().row(); ++i) {
    verticalOffset += view->rowHeight();
}

方法	利点	欠点
QColumnView::verticalOffset()	シンプルで使いやすい	非標準的なレイアウトには対応していない
QAbstractScrollArea::verticalScrollBar().value()	汎用性が高い	スクロールバーが存在しない場合は使用できない
QModelIndex::row()	特定の状況で有効	表示されている行の高さすべてが表示されている場合や、行の高さが一定である場合にしか使用できない
カスタムロジック	柔軟性が高い	複雑で実装が難しい