【超便利】Qt Widgetsでタイマーを使ってスライダーを自動更新！QAbstractSlider::timerEvent()
QAbstractSliderクラスは、スライダー、ダイヤル、ノブなどの線形入力ウィジェットを表す抽象クラスです。timerEvent()関数は、QAbstractSliderクラスの重要なメソッドの一つであり、スライダーの値を自動的に更新するために使用されます。
タイマーイベントの仕組み
QAbstractSliderウィジェットがクリックされると、trackingプロパティがtrueに設定され、タイマーが開始されます。タイマーイベントは一定間隔で発生し、timerEvent()関数が呼び出されます。
timerEvent()関数内では、repeatAction()関数を使用して、現在のスライダーの状態に基づいて適切なアクションを実行します。可能なアクションは以下の通りです。
- PageStepIncrease
スライダーの値をpageStep()プロパティで指定された値だけ増やす - PageStepDecrease
スライダーの値をpageStep()プロパティで指定された値だけ減らす - SingleStepIncrease
スライダーの値を1つ増やす - SingleStepDecrease
スライダーの値を1つ減らす
これらのアクションは、sliderMoved()シグナルとvalueChanged()シグナルをemitします。
タイマーイベントの停止
trackingプロパティがfalseに設定されると、タイマーは停止し、timerEvent()関数は呼び出されなくなります。
例
以下のコード例は、timerEvent()関数を使用してスライダーの値を自動的に1秒ごとに1つずつ増やす方法を示しています。
class MySlider : public QAbstractSlider
{
public:
MySlider(QWidget *parent = nullptr);
protected:
void timerEvent(QTimerEvent *event) override
{
if (tracking()) {
if (invertedAppearance()) {
setValue(value() - 1);
} else {
setValue(value() + 1);
}
}
}
};
- タイマーイベントを無効にするには、
setSingleStep()関数を0に設定します。 - タイマーイベントの頻度を制御するには、
setRepeatTime()関数を使用します。 timerEvent()関数内でスライダーの値を直接変更する代わりに、setValue()スロットを使用することをお勧めします。これにより、スライダーの状態が正しく更新され、関連するシグナルがemitされます。
class MySlider : public QAbstractSlider
{
public:
MySlider(QWidget *parent = nullptr);
protected:
void timerEvent(QTimerEvent *event) override
{
if (tracking()) {
if (invertedAppearance()) {
setValue(value() - 1);
} else {
setValue(value() + 1);
}
}
}
};
MySlider::MySlider(QWidget *parent) : QAbstractSlider(parent)
{
setRange(0, 100);
setValue(50);
timer = new QTimer(this);
timer->setInterval(1000); // 1秒ごとにタイマーイベントを発生させる
connect(timer, &QTimer::timeout, this, &MySlider::timerEvent);
}
このコードでは、以下の処理が行われています。
MySliderクラスを継承した新しいクラスMySliderを作成します。- コンストラクタ内で、スライダーの範囲を0から100に設定し、初期値を50に設定します。
- タイマーオブジェクトを作成し、1秒ごとに
timerEvent()関数を呼び出すように設定します。 - タイマーシグナルと
timerEvent()関数を接続します。
このコードを実行すると、スライダーの値が1秒ごとに1つずつ自動的に増加します。
- スライダーの値が最大値または最小値に達すると、タイマーは停止します。
- タイマーのインターバルを変更することで、スライダーの値の増加速度を変更できます。
- このコードは、Qt Widgets 6.0以降で動作します。
シグナルとスロット
スライダーの値が変更されたときにシグナルをemitし、そのシグナルに接続されたスロットで値を更新する方法は、より柔軟で制御しやすい方法です。
class MySlider : public QAbstractSlider
{
public:
MySlider(QWidget *parent = nullptr);
signals:
void valueChanged(int value);
private slots:
void onValueChanged(int value);
};
MySlider::MySlider(QWidget *parent) : QAbstractSlider(parent)
{
connect(this, &QAbstractSlider::valueChanged, this, &MySlider::onValueChanged);
}
void MySlider::onValueChanged(int value)
{
// ここで値を更新する処理
// ...
}
QPropertyAnimation
QPropertyAnimationクラスを使用して、スライダーの値をアニメーションさせる方法もあります。
class MySlider : public QAbstractSlider
{
public:
MySlider(QWidget *parent = nullptr);
private:
QPropertyAnimation *animation;
};
MySlider::MySlider(QWidget *parent) : QAbstractSlider(parent)
{
animation = new QPropertyAnimation(this, "value", this);
animation->setDuration(1000); // 1秒かけてアニメーションさせる
animation->setStartValue(0); // 開始値を0に設定
animation->setEndValue(100); // 終了値を100に設定
}
カスタムタイマー
独自のタイマーを使用して、スライダーの値を更新することもできます。
class MySlider : public QAbstractSlider
{
public:
MySlider(QWidget *parent = nullptr);
private:
QTimer *timer;
};
MySlider::MySlider(QWidget *parent) : QAbstractSlider(parent)
{
timer = new QTimer(this);
timer->setInterval(1000); // 1秒ごとにタイマーイベントを発生させる
connect(timer, &QTimer::timeout, this, &MySlider::updateValue);
}
void MySlider::updateValue()
{
// ここで値を更新する処理
// ...
}
最適な方法の選択
どの方法が最適かは、状況によって異なります。
- 独自のロジックに基づいて値を更新する必要がある場合は、カスタムタイマーを使用するのが良いでしょう。
- スライダーの値をアニメーションさせる必要がある場合は、
QPropertyAnimationを使用するのが良いでしょう。 - より柔軟で制御しやすい方法が必要な場合は、シグナルとスロットを使用するのが良いでしょう。
- シンプルで直感的な方法が必要な場合は、
timerEvent()を使用するのが良いでしょう。