【Qt Widgets】スライダーの動作を反転させる:QAbstractSlider::invertedControlsのしくみと代替方法
QAbstractSlider
クラスは、スライダー、進捗バー、ボリュームコントロールなど、ユーザーが値を選択できるグラフィカルコンポーネントを提供します。 invertedControls
プロパティは、スライダーの動作を反転させるかどうかを制御します。 このプロパティが true
の場合、スライダーを 上 にドラッグすると 値が減少 し、スライダーを 下 にドラッグすると 値が増加 します。 これは、従来のスライダーの動作と逆になります。
詳細
以下の表は、invertedControls
プロパティが true
と false
の場合のスライダーの動作を示しています。
プロパティ値 | スライダーを上へドラッグ | スライダーを下へドラッグ |
---|---|---|
false | 値が増加 | 値が減少 |
true | 値が減少 | 値が増加 |
例
以下のコードは、invertedControls
プロパティを使用してスライダーの動作を反転する方法を示しています。
QSlider slider(Qt::Horizontal, this);
slider.setRange(0, 100);
slider.setValue(50);
slider.setInvertedControls(true);
このコードは、水平方向のスライダーを作成し、値の範囲を 0 から 100 に設定します。 スライダーの初期値は 50 に設定され、invertedControls
プロパティは true
に設定されます。 これにより、スライダーを 上 にドラッグすると 値が減少 し、スライダーを 下 にドラッグすると 値が増加 します。
invertedControls
プロパティは、スライダーのkeyPressEvent()
やwheelEvent()
などのイベントハンドラーにも影響を与えます。invertedControls
プロパティは、スライダーの見た目を変更しません。 スライダーの動作のみが反転されます。invertedControls
プロパティは、QAbstractSlider
クラスの子クラスであるすべてのクラスで使用できます。
QSlider slider(Qt::Horizontal, this);
slider.setRange(0, 100);
slider.setValue(50);
slider.setInvertedControls(true);
説明
このコードは、水平方向のスライダーを作成し、値の範囲を 0 から 100 に設定します。 スライダーの初期値は 50 に設定され、invertedControls
プロパティは true
に設定されます。 これにより、スライダーを 上 にドラッグすると 値が減少 し、スライダーを 下 にドラッグすると 値が増加 します。
例 2:垂直スライダーの動作を反転
QSlider slider(Qt::Vertical, this);
slider.setRange(0, 100);
slider.setValue(50);
slider.setInvertedControls(true);
説明
このコードは、垂直方向のスライダーを作成し、値の範囲を 0 から 100 に設定します。 スライダーの初期値は 50 に設定され、invertedControls
プロパティは true
に設定されます。 これにより、スライダーを 上 にドラッグすると 値が減少 し、スライダーを 下 にドラッグすると 値が増加 します。
例 3:invertedControls
プロパティを動的に変更
QSlider slider(Qt::Horizontal, this);
slider.setRange(0, 100);
slider.setValue(50);
bool inverted = false;
QPushButton* invertButton = new QPushButton("Invert", this);
connect(invertButton, &QPushButton::clicked, this, [this, inverted](){
inverted = !inverted;
slider.setInvertedControls(inverted);
});
説明
このコードは、水平方向のスライダーを作成し、値の範囲を 0 から 100 に設定します。 スライダーの初期値は 50 に設定されます。
また、"Invert" というボタンも作成し、このボタンがクリックされたときに invertedControls
プロパティの値を反転するようにします。 これにより、ユーザーはボタンをクリックすることでスライダーの動作をいつでも反転できます。
invertedControls
プロパティは、スライダーのkeyPressEvent()
やwheelEvent()
などのイベントハンドラーにも影響を与えます。invertedControls
プロパティは、スライダーの見た目を変更しません。 スライダーの動作のみが反転されます。- これらの例は、
QAbstractSlider
クラスの子クラスであるすべてのクラスで使用できます。
値の範囲を反転
invertedControls
プロパティを使用する代わりに、スライダーの値の範囲を反転することができます。 これを行うには、minimum()
と maximum()
メソッドを使用して、スライダーの値の範囲を設定する必要があります。
以下の例は、スライダーの値の範囲を反転する方法を示しています。
QSlider slider(Qt::Horizontal, this);
slider.setRange(100, 0); // 値の範囲を反転
slider.setValue(50);
カスタムラベルを使用
invertedControls
プロパティを使用する代わりに、カスタムラベルを使用してスライダーの値を表示することができます。 これを行うには、valueChanged()
シグナルを接続して、ラベルのテキストをスライダーの値に応じて更新する必要があります。
以下の例は、カスタムラベルを使用してスライダーの値を表示する方法を示しています。
QSlider slider(Qt::Horizontal, this);
slider.setRange(0, 100);
slider.setValue(50);
QLabel label(this);
label.setText(QString::number(slider.value()));
connect(slider, &QSlider::valueChanged, &label, &QLabel::setText);
カスタムスライダークラスを作成
invertedControls
プロパティを使用する代わりに、カスタムスライダークラスを作成することができます。 これを行うには、QAbstractSlider
クラスを継承し、valueFromPosition()
と positionFromValue()
メソッドをオーバーライドする必要があります。
以下の例は、カスタムスライダークラスを作成する方法を示しています。
class InvertedSlider : public QAbstractSlider
{
public:
InvertedSlider(QWidget* parent = nullptr) : QAbstractSlider(parent) {}
protected:
int valueFromPosition(int pos) const override
{
return maximum() - (pos - minimum()) * (maximum() - minimum()) / range();
}
int positionFromValue(int value) const override
{
return minimum() + (value - minimum()) * range() / (maximum() - minimum());
}
};
Qt QDial クラスを使用
QAbstractSlider
クラスの子クラスである QDial
クラスを使用することができます。 QDial
クラスは、円形のスライダーを提供し、invertedControls
プロパティに似た invertedAppearance
プロパティを備えています。
以下の例は、QDial
クラスを使用して円形のスライダーを作成する方法を示しています。
QDial dial(this);
dial.setRange(0, 100);
dial.setValue(50);
dial.setInvertedAppearance(true);
最適な方法の選択
使用する方法は、状況によって異なります。 以下の点を考慮して、最適な方法を選択してください。
- コードの複雑さ
- スライダーの動作
- スライダーの外観