Qt Widgets:QAbstractSlider::QAbstractSlider()を徹底解説! スライダーウィジェットの基盤を理解しよう
QAbstractSlider::QAbstractSlider()
は、Qt Widgetsライブラリで提供される抽象クラスであるQAbstractSlider
のコンストラクタです。このコンストラクタは、スライダーウィジェットの基盤となるオブジェクトを生成します。
引数
このコンストラクタは以下の引数を取ります。
parent
: 親ウィジェットを指すポインタ。デフォルトではnullptr
です。
戻り値
このコンストラクタは、生成されたQAbstractSlider
オブジェクトへのポインタを返します。
詳細
QAbstractSlider
は、スライダーウィジェットの共通機能を提供する抽象クラスです。具体的には、以下の機能を提供します。
- スライダーの操作に関するシグナルとスロット
- スライダーの外観の設定
- スライダーの向き (水平方向または垂直方向) の設定
- スライダーの値の設定と取得
- 最小値と最大値の設定
QAbstractSlider
を継承する具体的なクラスには、QSlider
、QScrollBar
、QDial
などがあります。これらのクラスはそれぞれ、異なる外観と動作を持つスライダーウィジェットを提供します。
例
以下のコードは、QAbstractSlider
を使用して、最小値が0、最大値が100のスライダーウィジェットを作成する例です。
QAbstractSlider *slider = new QAbstractSlider(this);
slider->setMinimum(0);
slider->setMaximum(100);
このコードを実行すると、以下のようになります。
QAbstractSlider
は抽象クラスであるため、直接インスタンス化することはできません。具体的なスライダーウィジェットを作成するには、QSlider
、QScrollBar
、QDial
などの継承クラスを使用する必要があります。
- スライダーの値が変化したときに、その値をラベルに表示する
- 最小値は0、最大値は100
#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QSlider>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// スライダーウィジェットを作成
QAbstractSlider *slider = new QAbstractSlider;
slider->setMinimum(0);
slider->setMaximum(100);
// ラベルを作成
QLabel *label = new QLabel("0");
// スライダーの値が変化したときにラベルのテキストを更新する接続
QObject::connect(slider, &QAbstractSlider::valueChanged, label, &QLabel::setText);
// ウィジェットをレイアウト
QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
layout->addWidget(slider);
layout->addWidget(label);
// メインウィジェットを作成
QWidget *widget = new QWidget;
widget->setLayout(layout);
// メインウィジェットを表示
widget->show();
return app.exec();
}
スライダーを動かすと、ラベルにスライダーの現在の値が表示されます。
例:スライダーの向きを変更する
スライダーの向きを垂直方向に変更するには、以下のコードのようにorientation()
プロパティを設定します。
slider->setOrientation(Qt::Vertical);
例:スライダーのステップ値を変更する
スライダーを動かすときのステップ値を変更するには、以下のコードのようにsingleStep()
プロパティを設定します。
slider->setSingleStep(5);
代替方法
以下の2つの代替方法があります。
- 継承クラスのコンストラクタを使用する
各継承クラスには、独自のコンストラクタが用意されています。これらのコンストラクタは、QAbstractSlider
のコンストラクタに加えて、継承クラス固有の機能を設定するための引数を受け取ることができます。
継承クラスのコンストラクタを使用する例を以下に示します。
// QSliderを作成
QSlider *slider = new QSlider(Qt::Horizontal, this);
// QScrollBarを作成
QScrollBar *scrollbar = new QScrollBar(Qt::Vertical, this);
// QDialを作成
QDial *dial = new QDial(this);
- 動的に生成する
QAbstractSlider
オブジェクトを動的に生成するには、以下のコードのようにnew
演算子を使用します。
QAbstractSlider *slider = new QAbstractSlider(this);
このコードを実行すると、QAbstractSlider
オブジェクトが生成され、slider
変数に格納されます。
代替方法を選択する際の考慮事項
どの代替方法を選択するかは、以下の要素を考慮する必要があります。
- 必要な機能
必要な機能によっては、継承クラスの方が適している場合があります。例えば、スライダーの向きを自由に設定したい場合は、QSlider
を使用する必要があります。
- コードの簡潔性
動的に生成する方法は、コードが簡潔になるという利点があります。しかし、継承クラスを使用する方が、コードが読みやすくなる場合があります。
QAbstractSlider::QAbstractSlider()
は、スライダーウィジェットを作成するための基本的な方法ですが、状況によっては、代替方法を使用する方が適切な場合があります。上記で説明した代替方法を検討し、ニーズに合った方法を選択してください。