データベース操作の幅を広げる!PostgreSQL「FROM Clause」のプログラミング解説
PostgreSQLにおける「Queries」は、データベースからデータを抽出、操作、管理するための基本的な機能です。「Table Expressions: FROM Clause」は、この「Queries」において重要な役割を果たし、データの抽出元となるテーブルを指定します。この解説では、「FROM Clause」のプログラミングについて分かりやすく解説します。
FROM Clauseとは
「FROM Clause」は、SELECTクエリにおいて必須の句であり、以下の役割を果たします。
- 副問い合わせ(サブクエリ)をFROM句内に記述し、複雑なデータ抽出を可能にする
- 複数のテーブルを結合する場合、結合方法を定義する
- データの抽出元となるテーブルを指定する
FROM Clauseの基本構文
FROM table_name [, table_name [, ...]]
- 複数のテーブル名をカンマ(
,
)で区切って指定することが可能 table_name
: データの抽出元となるテーブル名
テーブル結合
複数のテーブルを結合する場合、FROM Clause
内で結合方法を指定します。主な結合方法は以下の通りです。
- FULL OUTER JOIN: 両方のテーブルのすべての行を抽出し、一致する行があれば結合します。
- RIGHT JOIN: 右側のテーブルのすべての行を抽出し、左側のテーブルと一致する行があれば結合します。
- LEFT JOIN: 左側のテーブルのすべての行を抽出し、右側のテーブルと一致する行があれば結合します。
- INNER JOIN: 結合条件を満たす行のみを抽出します。
副問い合わせ
FROM Clause
内に副問い合わせを記述することで、複雑なデータ抽出が可能になります。副問い合わせは、括弧 (
で囲まれたSELECTクエリです。
例
以下の例は、customers
テーブルと orders
テーブルを結合し、各顧客の注文情報を抽出するクエリです。
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
INNER JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id;
- 副問い合わせは、複雑になりすぎると処理速度が低下する可能性があります。
- 結合条件を指定せずに複数のテーブルを結合すると、すべての行が結合されてしまうため、意図しない結果となる可能性があります。
- 存在しないテーブル名を指定するとエラーとなります。
例1:単一テーブルからのデータ抽出
この例は、customers
テーブルからすべての顧客情報を抽出するクエリです。
SELECT *
FROM customers;
例2:テーブルのエイリアス
この例は、customers
テーブルに c
というエイリアスを指定し、顧客情報を抽出するクエリです。
SELECT *
FROM customers AS c;
例3:列のエイリアス
この例は、customers
テーブルの列にエイリアスを指定し、顧客情報を抽出するクエリです。
SELECT customer_id AS id, name, email
FROM customers;
例4:INNER JOIN
この例は、customers
テーブルと orders
テーブルを customer_id
列で結合し、各顧客の注文情報を抽出するクエリです。
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
INNER JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id;
例5:LEFT JOIN
この例は、customers
テーブルと orders
テーブルを customer_id
列でLEFT JOINし、すべての顧客情報を、注文情報と関連付けられている場合も含めて抽出するクエリです。
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
LEFT JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id;
例6:RIGHT JOIN
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
RIGHT JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id;
例7:FULL OUTER JOIN
この例は、customers
テーブルと orders
テーブルを customer_id
列でFULL OUTER JOINし、すべての顧客情報と注文情報を、関連付けられている場合も含めて抽出するクエリです。
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
FULL OUTER JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id;
例8:副問い合わせ
この例は、orders
テーブルから、注文金額が1000円を超える注文の顧客情報を抽出するクエリです。
SELECT customers.name
FROM customers
WHERE customer_id IN (
SELECT customer_id
FROM orders
WHERE order_amount > 1000
);
WITH 句
WITH 句
は、一時的な名前付きクエリ結果セットを定義するために使用されます。 この結果セットは、FROM Clause
の代わりに使用することができ、複雑なクエリをより読みやすく、理解しやすくすることができます。
利点
- 副問い合わせをより明確に表現することができます。
- 同じクエリ結果セットを複数回参照する必要がある場合に、DRY(Don't Repeat Yourself)原則を順守することができます。
- 複雑なクエリを複数の部分クエリに分割することで、可読性と理解しやすさを向上させることができます。
例
WITH customer_orders AS (
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
INNER JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id
)
SELECT *
FROM customer_orders
WHERE order_amount > 1000;
COMMON TABLE EXPRESSION (CTE)
COMMON TABLE EXPRESSION (CTE)
は、WITH 句
と似ていますが、セッション全体でスコープが設定されます。 これは、複数のクエリで同じクエリ結果セットを再利用する必要がある場合に役立ちます。
利点
- 複雑なクエリを複数の部分クエリに分割することで、可読性と理解しやすさを向上させることができます。
- 複数のクエリで同じクエリ結果セットを再利用することで、パフォーマンスを向上させることができます。
例
CREATE TABLE function (
customer_id INT,
order_id INT,
product_name VARCHAR(255)
);
INSERT INTO function VALUES
(1, 12345, 'Laptop'),
(1, 54321, 'Phone'),
(2, 67890, 'Tablet');
WITH customer_orders AS (
SELECT customers.name, function.order_id, function.product_name
FROM customers
INNER JOIN function ON customers.customer_id = function.customer_id
)
SELECT *
FROM customer_orders
WHERE order_amount > 1000;
MATERIALIZED VIEW
MATERIALIZED VIEW
は、データベースに永続的に保存されるクエリ結果セットの物理的な表です。 これは、頻繁に参照されるクエリ結果セットに対して、パフォーマンスを向上させるために役立ちます。
利点
- ベースとなる表が更新されても、マテリアライズドビューは自動的に更新されます。
- 頻繁に参照されるクエリ結果セットに対して、パフォーマンスを向上させることができます。
CREATE MATERIALIZED VIEW customer_orders AS
SELECT customers.name, orders.order_id, orders.product_name
FROM customers
INNER JOIN orders ON customers.customer_id = orders.customer_id;
SELECT *
FROM customer_orders
WHERE order_amount > 1000;