プログラマー必見!PostgreSQL boxデータ型の詳細解説


PostgreSQLの box データ型は、2 次元空間における矩形を表すために使用されます。 これは、地理空間データやコンピュータグラフィックスなど、さまざまなアプリケーションで使用される一般的な幾何オブジェクトです。

構文

box データ型の値は、以下のいずれかの構文で指定できます。

-- 2 点の座標による指定
box((x1, y1), (x2, y2));

-- 左下と右上の頂点による指定
box(xmin, ymin, xmax, ymax);

上記の場合、(x1, y1)(x2, y2) は矩形の対角線の両端の座標を表します。 xminymin は左下の頂点の座標、xmaxymax は右上の頂点の座標を表します。

-- (0, 0) と (10, 5) を対角線とする矩形
box((0, 0), (10, 5));

-- 左下 (2, 3) と右上 (8, 7) の矩形
box(2, 3, 8, 7);

操作

box データ型には、さまざまな操作が用意されています。 以下はその例です。

  • difference(box1, box2): 2 つの矩形の差集合を返す
  • intersection(box1, box2): 2 つの矩形の積集合を返す
  • union(box1, box2): 2 つの矩形の和集合を返す
  • overlaps(box1, box2): 2 つの矩形が重なっているかどうかを返す
  • contains(box, point): 点が矩形内に含まれているかどうかを返す
  • isempty(box): 矩形が空かどうかを返す
  • center(box): 矩形の中心点を返す
  • perimeter(box): 矩形の外周の長さを返す
  • area(box): 矩形の面積を返す

-- 矩形 `box1` の面積を計算
SELECT area(box((0, 0), (10, 5)));

-- 矩形 `box2` の外周の長さを計算
SELECT perimeter(box(2, 3, 8, 7));

-- 矩形 `box3` の中心点を返す
SELECT center(box((5, 10), (15, 20)));

-- 矩形 `box4` が空かどうかを判定
SELECT isempty(box(NULL, NULL));

-- 点 (5, 5) が矩形 `box1` に含まれているかどうかを判定
SELECT contains(box((0, 0), (10, 5)), (5, 5));

-- 矩形 `box1` と `box2` が重なっているかどうかを判定
SELECT overlaps(box((0, 0), (10, 5)), box(2, 3, 8, 7));

-- 矩形 `box1` と `box2` の和集合を返す
SELECT union(box((0, 0), (10, 5)), box(2, 3, 8, 7));

-- 矩形 `box1` と `box2` の積集合を返す
SELECT intersection(box((0, 0), (10, 5)), box(2, 3, 8, 7));

-- 矩形 `box1` と `box2` の差集合を返す
SELECT difference(box((0, 0), (10, 5)), box(2, 3, 8, 7));

利点

box データ型を使用する利点は次のとおりです。

  • 地理空間データやコンピュータグラフィックスなどのアプリケーションで広く使用されている
  • 矩形に関するさまざまな操作を簡単に実行できる
  • 矩形を効率的に表現できる

box データ型は、PostgreSQL で矩形を表現するための強力で使いやすいツールです。 地理空間データやコンピュータグラフィックスなどのアプリケーションで矩形を扱う必要がある場合は、box データ型の使用を検討することをお勧めします。

  • [PostgreSQL チュートリアル: 幾何データ型](


矩形の作成

-- (0, 0) と (10, 5) を対角線とする矩形を作成
box1 = box((0, 0), (10, 5));

-- 左下 (2, 3) と右上 (8, 7) の矩形を作成
box2 = box(2, 3, 8, 7);

矩形に関する操作

-- 矩形 `box1` の面積を計算
SELECT area(box1);

-- 矩形 `box2` の外周の長さを計算
SELECT perimeter(box2);

-- 矩形 `box1` の中心点を返す
SELECT center(box1);

-- 矩形 `box2` が空かどうかを判定
SELECT isempty(box2);

2 つの矩形間の関係

-- 点 (5, 5) が矩形 `box1` に含まれているかどうかを判定
SELECT contains(box1, (5, 5));

-- 矩形 `box1` と `box2` が重なっているかどうかを判定
SELECT overlaps(box1, box2);

-- 矩形 `box1` と `box2` の和集合を返す
SELECT union(box1, box2);

-- 矩形 `box1` と `box2` の積集合を返す
SELECT intersection(box1, box2);

-- 矩形 `box1` と `box2` の差集合を返す
SELECT difference(box1, box2);

実際のアプリケーション

この例では、郵便番号に基づいて顧客データを分析するアプリケーションを考えます。 各顧客には、住所と郵便番号が格納されています。 郵便番号は box データ型を使用して表現できます。 このアプリケーションでは、以下のようなタスクを実行できます。

  • 2 つの郵便番号の住所の中心点を計算する
  • 2 つの郵便番号が重なっているかどうかを調べる
  • 特定の郵便番号内に住む顧客数をカウントする

以下のコードは、このアプリケーションで実行できるクエリの一例です。

-- 特定の郵便番号内に住む顧客数をカウントする
SELECT count(*)
FROM customers
WHERE address_box @> box(20000, 30000, 25000, 35000);

-- 2 つの郵便番号が重なっているかどうかを調べる
SELECT overlaps(customer1.address_box, customer2.address_box)
FROM customers AS customer1
JOIN customers AS customer2
ON customer1.id != customer2.id;

-- 2 つの郵便番号の住所の中心点を計算する
SELECT center(avg(address_box))
FROM customers
WHERE address_box @> box(20000, 30000, 25000, 35000);


独自データ型

最も柔軟な方法は、独自のデータ型を作成することです。 これは、box データ型よりも多くの機能や特性を必要とする場合に適しています。 独自のデータ型を作成するには、CREATE TYPE コマンドを使用します。

CREATE TYPE my_box AS (
  xmin numeric,
  ymin numeric,
  xmax numeric,
  ymax numeric
);

この例では、my_box という名前の新しいデータ型が作成されます。 このデータ型は、4 つの数値フィールド (xminyminxmaxymax) で構成されています。 これらのフィールドは、矩形の境界を定義するために使用されます。

独自のデータ型を作成する利点は次のとおりです。

  • box データ型では利用できない機能を追加できる
  • 特定のニーズに合わせたデータ型を設計できる

ただし、独自のデータ型を作成するには、より多くの開発労力と専門知識が必要になります。 また、パフォーマンス上の問題が発生する可能性もあります。

hstore データ型

hstore データ型は、キーと値のペアのリストを格納するために使用できる柔軟なデータ型です。 矩形を表現するために hstore データ型を使用するには、キーとして xminyminxmaxymax を使用し、対応する値として矩形の境界値を使用します。

SELECT *
FROM my_table
WHERE hstore_box @> hstore('xmin', 10, 'ymin', 20, 'xmax', 30, 'ymax', 40);

このクエリは、my_table テーブル内の hstore_box 列が指定した矩形と重なるすべての行を返します。

hstore データ型を使用する利点は次のとおりです。

  • box データ型よりも柔軟性が高い
  • 複雑な構造データを格納できる

ただし、hstore データ型は box データ型よりもパフォーマンスが劣る場合があります。

JSON データ型

JSON データ型は、JavaScript Object Notation を表すために使用できるデータ型です。 矩形を表現するために JSON データ型を使用するには、矩形の境界値を JSON オブジェクトのプロパティとして格納します。

SELECT *
FROM my_table
WHERE json_box @> '{"xmin": 10, "ymin": 20, "xmax": 30, "ymax": 40}';

JSON データ型を使用する利点は次のとおりです。

  • 可読性と書き込みやすさに優れている
  • さまざまなプログラミング言語で簡単に処理できる

ただし、JSON データ型は box データ型よりもパフォーマンスが劣る場合があります。

GIS ライブラリ

PostGIS などの GIS ライブラリを使用すると、より高度な空間データ処理機能を利用できます。 これらのライブラリは、box データ型よりも多くの幾何オブジェクトと操作をサポートしています。

GIS ライブラリを使用する利点は次のとおりです。

  • 空間データ処理のパフォーマンスが優れている
  • 豊富な機能と操作を提供する

ただし、GIS ライブラリの使用には、追加のライブラリのインストールと設定が必要となります。

最適な代替方法の選択

最適な代替方法は、具体的な要件によって異なります。 以下の点を考慮する必要があります。

  • 専門知識
  • 開発労力
  • パフォーマンス要件
  • 必要とされる機能

シンプルな矩形処理のみが必要な場合は、box データ型が最良の選択肢となる可能性があります。 より多くの機能や特性が必要な場合は、独自のデータ型、hstore データ型、または JSON データ型を検討する必要があります。 高度な空間データ処理機能が必要な場合は、GIS ライブラリの使用を検討する必要があります。

  • [Shapely: Python 用の空間データ解析