GIS初心者でも安心!PostgreSQLで線分データを扱うためのチュートリアル


line 型は、2つの点を通る無限長の直線を表します。これらの点は、それぞれ (x1, y1)(x2, y2) のような座標ペアで定義されます。

line = ((x1, y1), (x2, y2))
  • (x2, y2): 線分の終点座標
  • (x1, y1): 線分の始点座標

線分は方向を持ち、始点から終点に向かって伸びています。また、線分の長さは、2つの点間の距離として計算できます。

線分データ型の利点

line 型は、様々な空間データ処理において役立ちます。以下はその例です。

  • 線分の傾きや角度を計算する
  • 線と他の幾何オブジェクト (点、線分、多角形など) との交差を検出する
  • 2地点間の距離を計算する
  • 道路や境界線などの線形なフィーチャーを表現する

線分データ型の操作

PostgreSQLは、線分データ型に対して様々な関数と演算子を提供しています。以下はその例です。

  • ST_IsVertical(line): 線分が垂直かどうかを判定する
  • ST_Intersection(line1, line2): 2つの線分の交点を求める
  • ST_Length(line): 線分の長さを計算する
  • ST_AsBinary(line): 線分をWKB形式のバイナリに変換する
  • ST_AsText(line): 線分をWKT形式のテキストに変換する

以下に、line 型を用いた簡単な例を示します。

-- 2つの点から線分を作成
SELECT ST_AsText(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)));

-- 線分の長さを計算
SELECT ST_Length(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)));

-- 2つの線分の交点を求める
SELECT ST_AsText(ST_Intersection(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)), ST_MakeLine((2, 3), (4, 5))));


-- 2つの点から線分を作成
SELECT ST_AsText(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)));

このクエリは、(1, 2)(3, 4) という2つの点を通る線分を作成し、WKT形式のテキストとして出力します。

線分の長さを計算する

-- 線分の長さを計算
SELECT ST_Length(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)));

このクエリは、(1, 2)(3, 4) という2つの点を通る線分の長さを計算します。

2つの線分の交点を求める

-- 2つの線分の交点を求める
SELECT ST_AsText(ST_Intersection(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)), ST_MakeLine((2, 3), (4, 5))));

このクエリは、(1, 2)(3, 4) および (2, 3)(4, 5) という2つの線分の交点を求め、WKT形式のテキストとして出力します。

線分を空間インデックスで検索する

-- 空間インデックスを作成
CREATE INDEX idx_lines ON mytable USING gist(line_column);

-- 空間インデックスを使って線分を検索
SELECT * FROM mytable WHERE line_column && ST_MakeLine((1, 2), (3, 4));

このコードは、mytable テーブルに line_column という線分列を作成し、その列に空間インデックスを作成します。その後、ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)) という線分と空間的に交差するすべての行を mytable テーブルから検索します。

-- 線分と点との距離を計算する
SELECT ST_Distance(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)), ST_MakePoint(2, 3));

-- 線分と多角形の交差を検出する
SELECT ST_Intersects(ST_MakeLine((1, 2), (3, 4)), ST_MakePolygon(((0, 0), (4, 0), (4, 3), (0, 3), (0, 0))));


無限直線型 line

最も基本的な代替方法は、line 型そのものです。無限長の直線を表すことができ、線分の始点と終点、方向、長さを定義できます。

利点:

  • 線分の基本的な操作に十分
  • シンプルで使いやすい

欠点:

  • 例えば、実際の道路や境界線は有限な長さを持つため、line 型で表現するには不適切な場合がある
  • 空間的な制約が厳しすぎる場合がある

線分型 lseg

lseg 型は、有限長の線分を表すために特化されたデータ型です。line 型と同様に、始点と終点座標を持ちますが、長さは有限です。

  • 例えば、道路や境界線などの有限な長さを持つ線分を表現するのに適している
  • 実際の線分をより正確に表現できる
  • 無限長の直線を扱う場合は不適切
  • line 型よりも複雑

経路型 path

path 型は、複数の線分を繋ぎ合わせた経路を表すために使用されます。始点と終点だけでなく、途中の点も定義できます。

  • 例えば、道路や河川などの曲線的な形状を表現するのに適している
  • 曲線を含む複雑な経路を表現できる
  • 単純な線分を表現する場合はオーバースペック
  • line 型や lseg 型よりも複雑

多角形型 polygon

特殊なケースとして、閉じた経路 (ループ) を表すために polygon 型を使用することもできます。この場合、線分は多角形の辺として表現されます。

  • 閉じた領域を効率的に表現できる
  • 線分のみで構成される単純な形状を表現する場合は不適切

カスタムデータ型

上記のいずれのデータ型もニーズに合わない場合は、カスタムデータ型を作成することもできます。

  • 特定の要件に合わせた線分表現が可能
  • 開発と管理の手間がかかる

最適な代替方法の選択

どの代替方法が最適かは、具体的な要件によって異なります。

  • 特定の要件に合わせた線分表現が必要な場合は、カスタムデータ型を作成します。
  • 閉じた領域を表現する必要がある場合は、polygon 型を使用します。
  • 曲線を含む複雑な経路を表現する必要がある場合は、path 型を使用します。
  • 実際の線分をより正確に表現する必要がある場合は、lseg 型を使用します。
  • シンプルで使いやすい線分表現が必要な場合は、line 型がおすすめです。