データ型を使いこなしてスキーマを操る: PostgreSQL regnamespace 型

PostgreSQL には、データベースオブジェクトを識別するための内部的な数値であるオブジェクト識別子 (OID) を表すデータ型 oid が用意されています。 oid 型は、スキーマを含むデータベースオブジェクトを操作する際に役立ちます。

regnamespace 型は、oid 型のエイリアスであり、スキーマを表す OID を格納するために特化されています。これは、スキーマ名の参照と操作をより直感的かつ分かりやすくするために使用されます。

regnamespace 型の利点

スキーマオブジェクトへのアクセス簡素化: regnamespace 型を使用してスキーマを識別することで、そのスキーマに属するテーブル、ビュー、関数などの他のデータベースオブジェクトに容易にアクセスすることができます。
スキーマ名の誤入力防止: 数値の誤入力によるエラーを防ぎ、プログラムの信頼性を高めることができます。
スキーマ名の明確化: 数値の OID ではなく、スキーマ名で操作を行うため、コードの可読性と理解しやすさが向上します。

regnamespace 型の使用方法

regnamespace 型は、スキーマ名の格納と、スキーマに関連するデータベースオブジェクトの操作に使用できます。以下に、一般的な使用方法の例をいくつか示します。

スキーマ間でオブジェクトを移動: オブジェクトをあるスキーマから別のスキーマに移動する際に使用できます。
スキーマに属するオブジェクトの参照: 特定のスキーマに属するテーブル、ビュー、関数などのデータベースオブジェクトを識別する際に使用できます。
スキーマ情報の取得: pg_namespace システムテーブルからスキーマ情報 (スキーマ名、所有者など) を取得する際に使用できます。

-- 特定のスキーマに属するすべてのテーブルを取得する
SELECT tablename
FROM pg_tables
WHERE schemaname = 'public'::regnamespace;

-- 特定のスキーマに属する関数を作成する
CREATE FUNCTION public.my_function()
RETURNS integer
LANGUAGE plpgsql
AS $$
BEGIN
    RETURN 1;
END;
$$;

-- オブジェクトを "public" スキーマから "my_schema" スキーマに移動する
ALTER TABLE my_table SET SCHEMA 'my_schema'::regnamespace;

regnamespace 型は、oid 型の演算子の大部分と互換性があります。
regnamespace 型は、oid 型と同じように内部的には数値として格納されます。

-- PostgreSQL 14 以降
SELECT table_name
FROM pg_catalog.pg_tables
WHERE schemaname = 'public'::regnamespace;

-- PostgreSQL 13 以前
SELECT tablename
FROM pg_tables
WHERE schemaname = 'public'::oid;

例 2: 特定のスキーマに属する関数を作成する

CREATE FUNCTION public.my_function()
RETURNS integer
LANGUAGE plpgsql
AS $$
BEGIN
    RETURN 1;
END;
$$;

例 3: オブジェクトを "public" スキーマから "my_schema" スキーマに移動する

ALTER TABLE my_table SET SCHEMA 'my_schema'::regnamespace;

例 4: regnamespace 型を使用してスキーマ情報にアクセスする

SELECT nspname, nspowner
FROM pg_namespace
WHERE nspname = 'public'::regnamespace;

SELECT viewname
FROM pg_views
WHERE schemaname = 'public'::regnamespace;

実際のコードは、使用する PostgreSQL バージョンと要件に応じて調整する必要があります。
上記の例は、PostgreSQL 14 を使用しています。 PostgreSQL 13 以前のバージョンの場合は、oid 型を使用する必要があります。

文字列型 (text)

スキーマ名を文字列として格納し、スキーマに関連する操作を行う際に文字列を比較することでスキーマを識別する方法です。

利点

regnamespace 型よりも多くのデータベースシステムで移植可能
シンプルで理解しやすい

欠点

regnamespace 型に比べて情報量が少ない
スキーマ名の比較処理が非効率になる可能性がある
スキーマ名の誤入力によるエラーが発生しやすい

例

-- 特定のスキーマに属するすべてのテーブルを取得する
SELECT tablename
FROM pg_tables
WHERE schemaname = 'public';

-- 特定のスキーマに属する関数を作成する
CREATE FUNCTION public.my_function()
RETURNS integer
LANGUAGE plpgsql
AS $$
BEGIN
    RETURN 1;
END;
$$;

-- オブジェクトを "public" スキーマから "my_schema" スキーマに移動する
ALTER TABLE my_table SET SCHEMA 'my_schema';

整数型 (integer)

スキーマ OID を直接整数として格納する方法です。

利点

regnamespace 型よりもコンパクトな表現が可能

欠点

可読性が低く、理解しにくい
スキーマ OID の誤入力によるエラーが発生しやすい
スキーマ名の参照には追加の処理が必要

例

-- 特定のスキーマに属するすべてのテーブルを取得する
SELECT tablename
FROM pg_tables
WHERE oid = (SELECT oid FROM pg_namespace WHERE nspname = 'public');

-- 特定のスキーマに属する関数を作成する
CREATE FUNCTION public.my_function()
RETURNS integer
LANGUAGE plpgsql
AS $$
BEGIN
    RETURN 1;
END;
$$;

-- オブジェクトを "public" スキーマから "my_schema" スキーマに移動する
ALTER TABLE my_table SET SCHEMA (SELECT oid FROM pg_namespace WHERE nspname = 'my_schema');

カスタム型

スキーマ名と OID をカプセル化したカスタム型を作成する方法です。

利点

可読性と理解しやすさを向上させることができる
型安全性と情報隠蔽を向上させることができる

欠点

すべてのデータベースシステムで移植可能とは限らない
開発と実装が複雑になる

例

CREATE TYPE schema_name AS (
    nspname text,
    oid integer
);

-- 特定のスキーマに属するすべてのテーブルを取得する
SELECT tablename
FROM pg_tables
WHERE schemaname::schema_name = 'public'::schema_name;

-- 特定のスキーマに属する関数を作成する
CREATE FUNCTION public.my_function()
RETURNS integer
LANGUAGE plpgsql
AS $$
BEGIN
    RETURN 1;
END;
$$;

-- オブジェクトを "public" スキーマから "my_schema" スキーマに移動する
ALTER TABLE my_table SET SCHEMA 'my_schema'::schema_name;

最適な代替方法の選択

どの代替方法が最適かは、具体的な要件と状況によって異なります。

型安全性、情報隠蔽、可読性を重視する場合は、カスタム型が適しています。
コンパクトな表現と情報量が必要な場合は、整数型が適しています。
シンプルさと移植性を重視する場合は、文字列型が適しています。