【初心者向け】NumPyでC/C++コンパイル:`distutils.ccompiler.CCompiler_compile()` の基本から応用まで


この関数の役割と重要性

  • この関数は、ソースファイルのパス、コンパイルオプション、出力ファイル名などを引数として受け取り、適切なコマンドライン引数を生成してコンパイラを呼び出し、コンパイル結果を返します。
  • distutils.ccompiler.CCompiler_compile() は、異なるプラットフォームやコンパイラ環境における C/C++ コンパイル作業を抽象化し、統一的なインターフェースを提供することで、開発者の負担を軽減します。
  • NumPy のような数値計算ライブラリは、C/C++ で記述されたコードを含むことが多く、これらのコードを効率的にコンパイルすることは、ライブラリのビルドと動作において不可欠です。

関数の詳細な説明

  • compiler: 使用するコンパイラオブジェクト。デフォルトは、プラットフォームに応じて自動的に選択されます。
  • deps: コンパイル対象のソースファイルに依存する他のファイルのリスト。各要素は、依存ファイルへのパスを表す文字列です。
  • args: コンパイラに渡されるオプションのリスト。各要素は、オプション文字列またはタプル (オプション文字列、オプション値) です。
  • output_dir: コンパイルされたオブジェクトファイルを保存するディレクトリ。デフォルトは現在のワーキングディレクトリです。
  • sources: コンパイルするソースファイルのリスト。各要素は、ソースファイルへのパスを表す文字列です。

関数の使い方

import numpy.distutils.ccompiler as cc

# コンパイラオブジェクトを作成
compiler = cc.new_compiler()

# ソースファイルと出力ディレクトリを指定
sources = ['source1.c', 'source2.cpp']
output_dir = 'build'

# コンパイルオプションを指定
args = ['-O2', '-Wall']

# コンパイルを実行
compiler.compile(sources, output_dir, args)

上記の例では、source1.csource2.cpp という2つのソースファイルを build ディレクトリにコンパイルします。コンパイラは -O2-Wall というオプションで呼び出されます。

  • distutils.ccompiler.CCompiler_compile() は、エラーが発生した場合に CompileError 例外をスローします。


import numpy.distutils.ccompiler as cc

# コンパイラオブジェクトを作成
compiler = cc.new_compiler()

# ソースファイルと出力ディレクトリを指定
sources = ['example.c']
output_dir = 'build'

# コンパイルオプションを指定
args = ['-O2', '-Wall']

# コンパイルを実行
compiler.compile(sources, output_dir, args)
  1. numpy.distutils.ccompiler モジュールをインポートします。
  2. cc.new_compiler() 関数を使って、現在のプラットフォームに合ったコンパイラオブジェクトを作成します。
  3. sources リストに、コンパイルするソースファイルのパスを文字列として格納します。
  4. output_dir 変数に、コンパイルされたオブジェクトファイルを保存するディレクトリのパスを格納します。
  5. args リストに、コンパイラに渡すオプションを文字列またはタプルの形式で格納します。
  6. compiler.compile() 関数を呼び出して、コンパイルを実行します。この関数は、ソースファイル、出力ディレクトリ、オプションを順に引数として受け取り、コンパイル処理を実行します。
  • このコードは、あくまでも C/C++ ソースファイルをコンパイルする基本的な例です。実際のプロジェクトでは、より複雑な設定やオプションが必要になる場合があります。


サブプロセスモジュールを使用する

  • 欠点:
    • distutils.ccompiler.CCompiler_compile() ほど抽象化されていないため、コードが煩雑になる可能性があります。
    • エラー処理や依存関係の処理を自分で行う必要が
  • 利点:
    • プラットフォームに依存しない方法でコンパイルを実行できます。
    • 詳細なコンパイラオプションや引数を柔軟に設定できます。
  • subprocess モジュールは、外部コマンドを実行するための標準ライブラリモジュールです。
import subprocess

# コンパイルコマンドを生成
command = ['gcc', '-O2', '-Wall', 'source.c', '-o', 'source.o']

# コンパイルを実行
subprocess.run(command, check=True)

専用のビルドツールを使用する

  • 欠点:
    • 学習曲線が比較的高く、設定ファイルの作成が必要となります。
    • distutils.ccompiler.CCompiler_compile() ほどシンプルではありません。
  • 利点:
    • 依存関係の管理、クロスコンパイル、インストールなどの機能を備えています。
    • 複雑なプロジェクトを効率的にビルドできます。
  • CMakeAutoconf などの専用ビルドツールは、複雑なプロジェクトのビルドを自動化するために設計されています。

C/C++ コンパイララッパーを使用する

  • 欠点:
    • パフォーマンスが低下する可能性があります。
    • C/C++ コードの深い理解が必要となります。
  • 利点:
    • Python コードで C/C++ コードを記述できるため、コードの可読性とメンテナンス性を向上できます。
    • 複雑なマクロやテンプレートなどを扱う場合に有効です。
  • CythonBoost.Build などの C/C++ コンパイララッパーは、C/C++ コードを Python コードに変換することで、コンパイルを簡略化します。
  • 欠点:
    • 他のプラットフォームとの互換性が低い場合があります。
    • プラットフォームごとに異なるツールを習得する必要があります。
  • 利点:
    • プラットフォーム固有の機能や最適化を活用できます。
    • IDE との統合など、開発環境の利点を活かせます。
  • Visual Studio や Xcode などのプラットフォーム固有のビルドツールは、特定のプラットフォーム向けの C/C++ コードを効率的にコンパイルするために設計されています。