CMake: ツールチェーンファイルでモジュール用リンカフラグを初期化 - CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INITの使い方
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
は、CMake における変数の一つで、モジュール作成時に使用されるリンカフラグを初期化する際に用いられます。この変数は CMake 3.7 以降で導入され、主にツールチェーンファイルで設定されます。
役割
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
は、ビルドツリーが初めて設定される際に、CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS
キャッシュエントリの初期値を設定する役割を担います。
設定方法
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
は、ツールチェーンファイル内で以下の形式で設定します。
set(CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT "<リンカフラグ>")
例
set(CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT "-Wl,-rpath,$ORIGIN")
この例では、-Wl,-rpath,$ORIGIN
というリンカフラグが CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
に設定されます。このフラグは、リンカに対して実行可能ファイルが検索されるパスを指定します。
- モジュール作成時に使用されるリンカフラグを個別に設定したい場合は、
SET_TARGET_PROPERTIES
コマンドを用いることができます。 - CMake は、環境やターゲットプラットフォームに基づいて
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
の値に前置または後置処理を行う場合があります。
プログラミング例
以下の例は、CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
を使用してモジュール作成時に使用されるリンカフラグを設定する方法を示しています。
cmake_minimum_required(VERSION 3.7)
project(myproject)
set(CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT "-Wl,-rpath,$ORIGIN")
add_executable(mymodule mymodule.cpp)
この例では、mymodule
というモジュールが作成されます。このモジュールは、-Wl,-rpath,$ORIGIN
というリンカフラグを使用して作成されます。
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
は、モジュール作成時に使用されるリンカフラグを初期化するために使用される CMake 変数です。この変数は、ツールチェーンファイル内で設定されます。
ツールチェーンファイル
# ツールチェーンファイル (toolchain.cmake)
cmake_minimum_required(VERSION 3.7)
set(CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT "-Wl,-rpath,$ORIGIN")
CMakeLists.txt
# CMakeLists.txt
cmake_minimum_required(VERSION 3.7)
project(myproject)
include(toolchain.cmake)
add_executable(mymodule mymodule.cpp)
mymodule.cpp
# mymodule.cpp
#include <iostream>
int main() {
std::cout << "Hello, world!" << std::endl;
return 0;
}
上記コードを以下のようにビルドして実行します。
mkdir build
cd build
cmake ..
make
./mymodule
このコードを実行すると、以下の出力が表示されます。
Hello, world!
この例では、toolchain.cmake
ファイルで CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
に -Wl,-rpath,$ORIGIN
というリンカフラグを設定しています。このフラグは、リンカに対して実行可能ファイルが検索されるパスを指定します。
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
に設定できるリンカフラグは、使用しているツールチェーンによって異なります。toolchain.cmake
ファイルは、プロジェクトディレクトリとは別の場所に置くこともできます。- この例では、
mymodule
モジュールがORIGIN
ディレクトリ内に存在することを想定しています。
# CMakeLists.txt
cmake_minimum_required(VERSION 3.7)
project(myproject)
include(toolchain.cmake)
set(CMAKE_BUILD_TYPE Debug)
add_executable(mymodule_debug mymodule.cpp)
set(CMAKE_BUILD_TYPE Release)
add_executable(mymodule_release mymodule.cpp)
このコードを実行すると、以下のようなファイルが生成されます。
build/mymodule_release
build/mymodule_debug
mymodule_debug
はデバッグ版のモジュールであり、mymodule_release
はリリース版のモジュールです。
SET_TARGET_PROPERTIES コマンド
個別のモジュールに対してリンカフラグを設定したい場合は、SET_TARGET_PROPERTIES
コマンドを使用することができます。
set_target_properties(mymodule PROPERTIES LINKER_FLAGS "-Wl,-rpath,$ORIGIN")
この例では、mymodule
というモジュールに対して -Wl,-rpath,$ORIGIN
というリンカフラグが設定されます。
target_link_libraries コマンド
ライブラリをリンクする際に、そのライブラリに関連するリンカフラグを指定することができます。
target_link_libraries(mymodule <ライブラリ名> PRIVATE)
この例では、mymodule
というモジュールに ライブラリ名
をリンクします。PRIVATE
オプションを指定することで、ライブラリ名
に関連するリンカフラグが mymodule
のリンカフラグに追加されます。
ツールチェーンファイル
ツールチェーンファイル内で CMAKE_TARGET_LINKER_FLAGS
変数を設定することで、全てのモジュールに対して共通のリンカフラグを設定することができます。
# ツールチェーンファイル (toolchain.cmake)
cmake_minimum_required(VERSION 3.7)
set(CMAKE_TARGET_LINKER_FLAGS "-Wl,-rpath,$ORIGIN")
この例では、全てのモジュールに対して -Wl,-rpath,$ORIGIN
というリンカフラグが設定されます。
CMake プロジェクトファイル
CMake プロジェクトファイル内で target_link_libraries
コマンドを使用して、個別のモジュールに対してリンカフラグを設定することができます。
# CMakeLists.txt
cmake_minimum_required(VERSION 3.7)
project(myproject)
add_executable(mymodule mymodule.cpp)
target_link_libraries(mymodule "-Wl,-rpath,$ORIGIN")
環境変数
LDFLAGS
環境変数を使用して、全てのモジュールに対して共通のリンカフラグを設定することができます。
export LDFLAGS="-Wl,-rpath,$ORIGIN"
CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS_INIT
は、モジュール作成時に使用されるリンカフラグを初期化するために便利な変数ですが、状況に応じて上記の代替方法を使用することもできます。
- 詳細については、CMake のドキュメントを参照してください。
- 複数の代替方法を組み合わせることもできます。
- 使用する代替方法は、プロジェクトの規模や複雑さによって異なります。