【CMake】ネットワーク認証を簡単に行う!変数`CMAKE_NETRC_FILE`の解説とサンプルコード
CMake 変数 CMAKE_NETRC_FILE
は、file(DOWNLOAD)
と file(UPLOAD)
コマンドの NETRC
オプションの初期化に使用されます。これらのコマンドは、ネットワーク上のファイルをダウンロードまたはアップロードするためのものです。CMAKE_NETRC_FILE
変数は、これらのコマンドが使用する .netrc
ファイルの場所を指定します。
導入バージョン
この変数は CMake 3.11 で導入されました。
構文
set(CMAKE_NETRC_FILE "/path/to/.netrc")
説明
CMAKE_NETRC_FILE
変数は、.netrc
ファイルへのフルパスを設定します。.netrc
ファイルは、ネットワーク接続の認証情報を含むテキストファイルです。file(DOWNLOAD)
と file(UPLOAD)
コマンドは、このファイルを使用して、ダウンロードまたはアップロードするサーバーへの認証を行います。
file(DOWNLOAD)
コマンドでの使用
file(DOWNLOAD "https://example.com/file.txt" DESTINATION "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt" NETRC "${CMAKE_NETRC_FILE}")
この例では、https://example.com/file.txt
からファイルをダウンロードし、CMAKE_BINARY_DIR
ディレクトリに file.txt
という名前で保存します。NETRC
オプションは、CMAKE_NETRC_FILE
変数で指定された .netrc
ファイルを使用することを指示します。
file(UPLOAD)
コマンドでの使用
file(UPLOAD "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt" "ftp://example.com/file.txt" NETRC "${CMAKE_NETRC_FILE}")
この例では、CMAKE_BINARY_DIR
ディレクトリにある file.txt
ファイルを ftp://example.com/file.txt
にアップロードします。NETRC
オプションは、CMAKE_NETRC_FILE
変数で指定された .netrc
ファイルを使用することを指示します。
ExternalProject
モジュールでの使用
ExternalProject
モジュールは、CMAKE_NETRC_FILE
変数を使用して、ダウンロードまたはアップロードする外部プロジェクトの認証を行います。
FetchContent
モジュールでの使用
FetchContent
モジュールは、CMAKE_NETRC_FILE
変数を使用して、ダウンロードまたはアップロードする外部コンテンツの認証を行います。
.netrc
ファイルの形式は次のとおりです。.netrc
ファイルは、ユーザーのホームディレクトリ (~
) にある.netrc
ファイルと、システム全体の.netrc
ファイルの両方を使用できます。システム全体の.netrc
ファイルは、通常/etc/netrc
にあります。file(DOWNLOAD)
とfile(UPLOAD)
コマンドでは、NETRC
オプションの代わりにLOCAL
オプションを使用することもできます。LOCAL
オプションを使用すると、コマンド内で認証情報を直接指定できます。
machine host_name login user_name password
password
は、ログインパスワードです。login
は、ログインユーザーの名前です。machine
は、接続先のホストの名前です。
プログラミングにおける活用例
以下は、CMAKE_NETRC_FILE
変数を使用して、ネットワーク上のファイルをダウンロードする CMake スクリプトの例です。
set(CMAKE_NETRC_FILE "/path/to/.netrc")
file(DOWNLOAD "https://example.com/file.txt" DESTINATION "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt")
message(STATUS "Downloaded file.txt")
ファイルのダウンロード
set(CMAKE_NETRC_FILE "/path/to/.netrc")
file(DOWNLOAD "https://example.com/file.txt" DESTINATION "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt")
message(STATUS "Downloaded file.txt")
このコードは、~/.netrc
ファイルに保存された認証情報を使用して、https://example.com/file.txt
からファイルをダウンロードし、CMAKE_BINARY_DIR
ディレクトリに file.txt
という名前で保存します。
ファイルのアップロード
set(CMAKE_NETRC_FILE "/path/to/.netrc")
file(UPLOAD "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt" "ftp://example.com/file.txt")
message(STATUS "Uploaded file.txt")
このコードは、CMAKE_BINARY_DIR
ディレクトリにある file.txt
ファイルを ftp://example.com/file.txt
にアップロードします。
ExternalProject モジュールでの使用
set(CMAKE_NETRC_FILE "/path/to/.netrc")
externalproject_add(
myproject
SOURCE_DIR https://example.com/myproject.git
UPDATE_COMMAND ${CMAKE_COMMAND} -P ${CMAKE_BINARY_DIR}/update.cmake
)
このコードは、https://example.com/myproject.git
から myproject
という名前の外部プロジェクトをダウンロードします。update.cmake
ファイルは、プロジェクトを最新バージョンに更新するために使用されます。CMAKE_NETRC_FILE
変数は、ダウンロード中に認証を行うために使用されます。
FetchContent モジュールでの使用
set(CMAKE_NETRC_FILE "/path/to/.netrc")
fetchcontent_add(
mycontent
URL https://example.com/mycontent.tar.gz
HASH SHA256:1234567890abcdef1234567890abcdef12345678
)
このコードは、https://example.com/mycontent.tar.gz
から mycontent
という名前の外部コンテンツをダウンロードします。mycontent.tar.gz
ファイルは、SHA256 ハッシュ 1234567890abcdef1234567890abcdef12345678
で検証されます。CMAKE_NETRC_FILE
変数は、ダウンロード中に認証を行うために使用されます。
説明
ExternalProject
モジュールとFetchContent
モジュールは、CMake バージョン 3.13 以降でのみ使用できます。file(DOWNLOAD)
とfile(UPLOAD)
コマンドは、CMake バージョン 3.11 以降でのみ使用できます。CMAKE_NETRC_FILE
変数は、すべての CMake プロジェクトで使用できるグローバル変数です。.netrc
ファイルは、機密情報を含むため、安全な場所に保管する必要があります。
.netrc
ファイル形式は、比較的単純ですが、複雑な認証シナリオには十分ではない場合があります。CMAKE_NETRC_FILE
変数は、すべての CMake プロジェクトで使用できるグローバル変数です。これは、複数のプロジェクトで異なる認証情報を使用する場合に問題となる可能性があります。.netrc
ファイルは、機密情報を含むため、安全な場所に保管する必要があります。
これらの制限を回避するために、CMAKE_NETRC_FILE
変数の代替方法をいくつか検討することができます。
file(DOWNLOAD) と file(UPLOAD) コマンドの LOCAL オプション
file(DOWNLOAD)
と file(UPLOAD)
コマンドには、NETRC
オプションの代わりに LOCAL
オプションを使用することができます。LOCAL
オプションを使用すると、コマンド内で認証情報を直接指定できます。
file(DOWNLOAD "https://example.com/file.txt" DESTINATION "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt" LOCAL USER "username" PASSWORD "password")
この例では、https://example.com/file.txt
からファイルをダウンロードし、CMAKE_BINARY_DIR
ディレクトリに file.txt
という名前で保存します。LOCAL
オプションは、username
と password
を使用して認証を行うことを指示します。
環境変数
ネットワーク接続の認証情報を含む環境変数を設定することができます。
set(NETRC_USER "username")
set(NETRC_PASSWORD "password")
file(DOWNLOAD "https://example.com/file.txt" DESTINATION "${CMAKE_BINARY_DIR}/file.txt" NETRC "${NETRC_USER}:${NETRC_PASSWORD}")
この例では、https://example.com/file.txt
からファイルをダウンロードし、CMAKE_BINARY_DIR
ディレクトリに file.txt
という名前で保存します。NETRC
オプションは、NETRC_USER
と NETRC_PASSWORD
環境変数の値を使用して認証を行うことを指示します。
カスタムモジュール
ネットワーク接続の認証を処理するカスタムモジュールを作成することができます。このモジュールは、file(DOWNLOAD)
と file(UPLOAD)
コマンドに代わるものとして使用できます。
専用の認証ライブラリ
ネットワーク接続の認証を処理する専用の認証ライブラリを使用することができます。このライブラリは、libcurl
や libssh
のようなオープンソースライブラリであることも、独自のライブラリであることもできます。
最適な代替方法の選択
最適な代替方法は、個々のニーズによって異なります。以下の点を考慮する必要があります。
- 柔軟性
- 複雑性
- セキュリティ要件