開発者のためのCMakeチュートリアル:最小サイズリリース構成の構築とCMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZERELの使い方


CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL は、CMake のビルドプロセスにおいて、最小サイズリリース構成(MinSizeRel)で使用されるコンパイラフラグを指定するための変数です。この構成は、コードサイズを最小限に抑えながら、実行速度を維持することに重点を置いています。

用途

CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL は、以下の目的で使用されます。

  • 実行速度向上
    コードを最適化し、パフォーマンスを向上させます。
  • コードサイズ削減
    不要なコードやデバッグ情報を削除し、実行可能ファイルのサイズを最小化します。

設定方法

CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL は、CMake の target_compile_features コマンドを使用して設定できます。

target_compile_features(my_target PRIVATE CMAKE_C_FLAGS_MINSIZEREL CMAKE_CXX_FLAGS_MINSIZEREL)

上記の例では、my_target という名前のターゲットに対して、C言語とC++言語のコンパイラフラグに CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL を設定しています。

使用可能なフラグ

CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL には、さまざまなコンパイラフラグを含めることができます。具体的なフラグは、使用しているコンパイラによって異なりますが、一般的には以下のフラグが含まれます。

  • リンカフラグ
    実行可能ファイルのサイズを削減するためのリンカフラグ
  • デバッグ情報削減フラグ
    不要なデバッグ情報を削除し、コードサイズを削減します。
  • 最適化フラグ
    コードを最適化し、パフォーマンスを向上させます。

注意事項

CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL を使用すると、コードのデバッグが難しくなる場合があります。デバッグが必要な場合は、CMAKE_BUILD_TYPEDebug または RelWithDebInfo に設定することをお勧めします。

  • 具体的なコンパイラフラグについては、使用しているコンパイラのドキュメントを参照してください。


cmake_minimum_required(VERSION 3.10)

project(myproject)

set(SOURCE_FILES main.cpp)

add_executable(myprogram ${SOURCE_FILES})

target_compile_features(myprogram PRIVATE CMAKE_C_FLAGS_MINSIZEREL CMAKE_CXX_FLAGS_MINSIZEREL)

このコードは、以下のことを行います。

  1. CMake のバージョン 3.10 以降が必要であることを指定します。
  2. myproject という名前のプロジェクトを作成します。
  3. ビルド対象となるソースファイルを main.cpp に設定します。
  4. myprogram という名前の実行可能ファイルを作成します。
  5. myprogram ターゲットに対して、CMAKE_C_FLAGS_MINSIZERELCMAKE_CXX_FLAGS_MINSIZEREL をコンパイルフラグに追加します。

このコードを実行すると、myprogram という名前の実行可能ファイルが生成されます。この実行可能ファイルは、コードサイズが最小限に抑えられ、実行速度が向上しています。

  • 具体的なコンパイラフラグについては、使用しているコンパイラのドキュメントを参照してください。
  • このコードは、あくまでも例であり、実際のプロジェクトでは状況に合わせて変更する必要があります。

以下の例は、CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL と共に他の CMake 変数を使用する方法を示しています。

例 1: デバッグ情報削減フラグを追加

target_compile_features(myprogram PRIVATE CMAKE_C_FLAGS_MINSIZEREL CMAKE_CXX_FLAGS_MINSIZEREL -Og)

この例では、-Og というフラグを追加することで、デバッグ情報がさらに削減されます。

例 2: リンカフラグを追加

target_link_libraries(myprogram PRIVATE -Wl,--strip-all)

この例では、-Wl,--strip-all というリンカフラグを追加することで、実行可能ファイルから不要なシンボルが削除されます。



他の CMake 変数を使用する

CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL に加えて、以下の CMake 変数を使用して、コードサイズと実行速度を最適化することができます。

  • CMAKE_EXE_LINKER_FLAGSCMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS:リンカフラグを指定します。
  • CMAKE_C_FLAGS_DEBUGCMAKE_CXX_FLAGS_DEBUG:デバッグ情報を削減するためのフラグを指定します。
  • CMAKE_C_FLAGS_OPTIMIZECMAKE_CXX_FLAGS_OPTIMIZE:コードを最適化するためのフラグを指定します。

これらの変数は、CMAKE_LANG_FLAGS_MINSIZEREL よりも詳細な制御を提供します。

例:CMAKE_C_FLAGS_OPTIMIZECMAKE_CXX_FLAGS_OPTIMIZE を使用する

target_compile_features(myprogram PRIVATE CMAKE_C_FLAGS_OPTIMIZE="-O3" CMAKE_CXX_FLAGS_OPTIMIZE="-O3")

この例では、-O3 という最適化フラグを使用して、コードを最適化しています。

コンパイラ固有のオプションを使用する

多くのコンパイラは、コードサイズと実行速度を最適化するためのオプションを提供しています。これらのオプションは、CMake 変数ではなく、コンパイラフラグとして指定する必要があります。

例:gcc の -Os オプションを使用する

set(CMAKE_C_COMPILER gcc)
set(CMAKE_CXX_COMPILER g++)

target_compile_features(myprogram PRIVATE CMAKE_C_FLAGS "-Os" CMAKE_CXX_FLAGS "-Os")

この例では、gcc の -Os オプションを使用して、コードサイズを最小化しています。

プロファイリングツールを使用する

プロファイリングツールを使用して、コードのパフォーマンスのボトルネックを特定することができます。この情報を使用して、コードを最適化し、実行速度を向上させることができます。

例:gprof を使用する

gprof myprogram

この例では、gprof ツールを使用して、myprogram の実行プロファイルを生成しています。

静的コード解析ツールを使用する

静的コード解析ツールを使用して、コードの潜在的な問題を特定することができます。これらの問題を修正することで、コードのサイズと速度を向上させることができます。

例:cppcheck を使用する

cppcheck myprogram.cpp

この例では、cppcheck ツールを使用して、myprogram.cpp ファイルの静的コード解析を実行しています。