【CMake】Android向けクロスコンパイル:『CMAKE_LANG_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX』の使い方と代替方法
CMAKE_LANG_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
は、CMake のクロスコンパイル機能において、Android 向けのツールチェーンにおける GNU コンパイラと binutils のホストプラットフォームサフィックスを指定するために使用される変数です。
詳細
- 関連変数
CMAKE_<LANG>_ANDROID_TOOLCHAIN_PREFIX
: ツールチェーンにおける GNU コンパイラと binutils のプレフィックスCMAKE_<LANG>_ANDROID_TOOLCHAIN_MACHINE
: ターゲットプラットフォームのアーキテクチャ
- 例
arm-linux-androideabi
aarch64-linux-android
- 値
ツールチェーンにおける GNU コンパイラと binutils のホストプラットフォームサフィックスが格納されます。 - 用途
Android 向けにクロスコンパイルする場合にのみ使用されます。 - バージョン
CMake 3.7 以降で導入されました。
- この変数を手動で設定することで、特定のツールチェーンを使用するように CMake を構成することができます。
CMAKE_LANG_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
は、CMake が Android 向けのクロスコンパイル環境を自動的に設定する際に使用されます。
例
以下の例は、CMAKE_LANG_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
を使用して、arm-linux-androideabi ツールチェーンで C++ プログラムをクロスコンパイルする方法を示しています。
set(CMAKE_TOOLCHAIN_FILE "/path/to/android-toolchain/share/cmake/AndroidToolchain.cmake")
set(CMAKE_LANG_C_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX "arm-linux-androideabi")
set(CMAKE_LANG_CXX_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX "arm-linux-androideabi")
project(myproject)
add_executable(myprogram main.cpp)
この例では、AndroidToolchain.cmake
ファイルを使用して、arm-linux-androideabi ツールチェーンが設定されます。その後、CMAKE_LANG_C_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
と CMAKE_LANG_CXX_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
変数を使用して、C++ プログラムをコンパイルするために使用するツールチェーンを指定します。
# Android ツールチェーンファイルのパスを設定
set(CMAKE_TOOLCHAIN_FILE "/path/to/android-toolchain/share/cmake/AndroidToolchain.cmake")
# C++ 用の Android ツールチェーンサフィックスを設定
set(CMAKE_LANG_CXX_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX "arm-linux-androideabi")
# プロジェクトを作成
project(myproject)
# main.cpp ファイルを使用して実行可能ファイルを作成
add_executable(myprogram main.cpp)
- 最初の行は、
CMAKE_TOOLCHAIN_FILE
変数を使用して、Android ツールチェーンファイルのパスを設定します。このファイルは、CMake が Android 向けのクロスコンパイル環境を設定するために使用する情報を含む XML ファイルです。 - 2 番目の行は、
CMAKE_LANG_CXX_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
変数を使用して、C++ 用の Android ツールチェーンサフィックスを設定します。このサフィックスは、CMake が C++ コンパイラとリンカーを検索するために使用する名前空間の一部になります。 - 3 番目の行は、CMake にプロジェクトを作成するように指示します。
- 4 番目の行は、
main.cpp
ファイルを使用して実行可能ファイルを作成するように CMake に指示します。
CMAKE_TOOLCHAIN_FILE を使用する
CMAKE_TOOLCHAIN_FILE
変数は、CMake が Android 向けのクロスコンパイル環境を設定するために使用するツールチェーンファイルのパスを指定します。このファイルには、CMAKE_LANG_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
変数を含む様々な設定が含まれています。
set(CMAKE_TOOLCHAIN_FILE "/path/to/android-toolchain/share/cmake/AndroidToolchain.cmake")
CMAKE_TOOLCHAIN_PREFIX と CMAKE_TOOLCHAIN_MACHINE を使用する
CMAKE_TOOLCHAIN_PREFIX
変数は、ツールチェーンにおける GNU コンパイラと binutils のプレフィックスを指定します。CMAKE_TOOLCHAIN_MACHINE
変数は、ターゲットプラットフォームのアーキテクチャを指定します。
set(CMAKE_TOOLCHAIN_PREFIX "arm-linux-androideabi")
set(CMAKE_TOOLCHAIN_MACHINE "linux-arm")
手動でツールチェインパスを設定する
CMAKE_C_COMPILER
、CMAKE_CXX_COMPILER
、CMAKE_C_LINKER
、CMAKE_CXX_LINKER
などの変数を用いて、それぞれのツールチェインパスを個別に設定する方法です。
set(CMAKE_C_COMPILER "/path/to/arm-linux-androideabi-gcc")
set(CMAKE_CXX_COMPILER "/path/to/arm-linux-androideabi-g++")
set(CMAKE_C_LINKER "/path/to/arm-linux-androideabi-ld")
set(CMAKE_CXX_LINKER "/path/to/arm-linux-androideabi-ld")
CMake Modules を使用する
CMake Modules は、特定のツールチェーンやプラットフォーム向けの CMake 設定をカプセル化するために使用できる拡張モジュールです。Android 向けの CMake Modules がいくつか公開されており、それらを使用することで CMAKE_LANG_ANDROID_TOOLCHAIN_SUFFIX
変数を設定する必要がなくなります。
例
最適な方法
どの方法が最適かは、プロジェクトの要件と CMake のバージョンによって異なります。
- 特定のツールチェーンやプラットフォーム向けのサポートが必要な場合
CMake Modules を使用する - 完全な制御が必要な場合
手動でツールチェインパスを設定する - 詳細な制御が必要な場合
CMAKE_TOOLCHAIN_PREFIX
とCMAKE_TOOLCHAIN_MACHINE
を使用する - シンプルで汎用性の高い方法
CMAKE_TOOLCHAIN_FILE
を使用する