プログラミング初心者でも理解できる! CMake の Variables における CMAKE_LANG_FLAGS の詳細解説
CMAKE_LANG_FLAGS は、CMake の Variables における重要な変数の一つであり、すべてのビルド構成で特定の言語 (C、C++、Fortran など) に対するコンパイラフラグを設定するために使用されます。これらのフラグは、コンパイルとリンクの両方において、コンパイラに渡されます。
役割
CMAKE_LANG_FLAGS は、以下の点において重要な役割を果たします。
- 特定の言語に対するコンパイラ設定: CMAKE_LANG_FLAGS は、C、C++、Fortran など、特定の言語に対してのみ適用されるコンパイラフラグを設定するために使用できます。
- ビルド構成に依存しない共通のコンパイラフラグの設定: CMAKE_BUILD_TYPE の値に関係なく、すべてのビルド構成で共通のコンパイラフラグを設定できます。
構文
CMAKE_LANG_FLAGS 変数は、以下の構文で設定されます。
set(CMAKE_LANG_FLAGS "<flags>")
ここで、<flags>
は、コンパイラフラグのスペース区切りのリストを表します。オプションを含むフラグは、引用符で囲む必要があります。
例
以下の例は、C 言語用のコンパイラフラグを設定する方法を示します。
set(CMAKE_LANG_FLAGS "-Wall -O2")
この設定により、すべてのビルド構成で C コンパイラに対して警告と最適化が有効になります。
詳細設定
CMAKE_LANG_FLAGS は、ビルド構成ごとに異なるコンパイラフラグを設定するために使用することもできます。これは、以下の構文で行います。
set(CMAKE_LANG_FLAGS_<config> "<flags>")
ここで、<config>
は、ビルド構成の名前を表します。
例
以下の例は、Debug ビルド構成でのみ C コンパイラに対してデバッグ情報を有効にする方法を示します。
set(CMAKE_LANG_FLAGS_DEBUG "-g")
- CMAKE_LANG_FLAGS 変数は、コンパイラによってサポートされているフラグのみを使用する必要があります。サポートされていないフラグを使用すると、ビルドエラーが発生する可能性があります。
- CMAKE_LANG_FLAGS 変数は、他の CMake 変数 (例: CMAKE_CXX_FLAGS) と競合する可能性があります。競合が発生する場合は、より具体的な変数を使用する必要があります。
- CMAKE_LANG_FLAGS 変数は、CMakeLists.txt ファイル内で設定する必要があります。
C 言語
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_LANG_FLAGS "-Wall -O2")
add_executable(myprogram main.c)
この例では、-Wall
と -O2
フラグがすべてのビルド構成で C コンパイラに対して設定されます。
C++ 言語
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_LANG_FLAGS "-Wall -std=c++17")
add_executable(myprogram main.cpp)
この例では、-Wall
と -std=c++17
フラグがすべてのビルド構成で C++ コンパイラに対して設定されます。
Fortran 言語
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_LANG_FLAGS "-Wall -fimplicit-none")
add_executable(myprogram main.f)
この例では、-Wall
と -fimplicit-none
フラグがすべてのビルド構成で Fortran コンパイラに対して設定されます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_LANG_FLAGS_DEBUG "-g")
set(CMAKE_LANG_FLAGS_RELEASE "-O3")
add_executable(myprogram main.c)
この例では、Debug ビルド構成でのみ C コンパイラに対してデバッグ情報が有効になり、Release ビルド構成では最適化が有効になります。
注
上記の例はあくまで基本的な使用方法を示したものです。実際のプロジェクトでは、より複雑な設定が必要になる場合があります。
以下の例は、CMAKE_LANG_FLAGS 変数を使用して、より詳細なコンパイラ設定を行う方法を示しています。
- マクロを定義する:
-DDEBUG
- インクルードディレクトリを追加する:
-I/usr/local/include
- 特定のライブラリをリンクする:
-lstdc++
これらのフラグは、CMAKE_LANG_FLAGS
変数に追加することで設定できます。
set(CMAKE_LANG_FLAGS "-Wall -O2 -lstdc++ -I/usr/local/include -DDEBUG")
CMAKE_LANG_FLAGS は、すべてのビルド構成で特定の言語に対するコンパイラフラグを設定するために使用される便利な変数ですが、状況によっては代替方法の方が適切な場合があります。
代替方法
以下の代替方法が考えられます。
- カスタム CMake モジュール: より複雑なコンパイラ設定が必要な場合は、カスタム CMake モジュールを作成することができます。
- ターゲットプロパティの使用: ターゲットプロパティを使用して、特定のターゲットに対するコンパイラフラグを設定することができます。例えば、
target_compile_features
プロパティを使用して、C++11 標準を有効にすることができます。 - 個別変数の使用: 特定のコンパイラフラグに対しては、より具体的な変数を使用することができます。例えば、C++ 言語の標準ライブラリをリンクするには、
CMAKE_CXX_LINK_FLAGS
変数を使用します。
各方法の詳細
個別変数の使用
以下の表は、一般的なコンパイラフラグと、それに対応する個別変数を示しています。
フラグ | 個別変数 | 言語 |
---|---|---|
-l<ライブラリ> | CMAKE_TARGET_LINK_LIBRARIES | すべて |
-I<インクルードディレクトリ> | CMAKE_INCLUDE_DIRS | すべて |
-D<マクロ> | CMAKE_DEFINITIONS | すべて |
-Wall | CMAKE_C_FLAGS (C 言語) | C |
-O2 | CMAKE_C_COMPILER_FLAGS (C 言語) | C |
-std=c++17 | CMAKE_CXX_FLAGS (C++ 言語) | C++ |
-fimplicit-none | CMAKE_FORTRAN_FLAGS (Fortran 言語) | Fortran |
これらの変数は、set()
コマンドを使用して設定することができます。
例
set(CMAKE_CXX_LINK_LIBRARIES "-lstdc++")
set(CMAKE_INCLUDE_DIRS "/usr/local/include")
set(CMAKE_DEFINITIONS "-DDEBUG")
ターゲットプロパティの使用
ターゲットプロパティを使用して、特定のターゲットに対するコンパイラフラグを設定することができます。
例
target_compile_features(myprogram CXX11)
この例では、myprogram
ターゲットに対して C++11 標準が有効になります。
詳細
より複雑なコンパイラ設定が必要な場合は、カスタム CMake モジュールを作成することができます。これは、より高度な設定を可能にする柔軟な方法ですが、より多くの知識と経験が必要となります。
詳細
CMAKE_LANG_FLAGS は便利な変数ですが、状況によっては代替方法の方が適切な場合があります。上記の代替方法を理解することで、より柔軟で効率的な CMake ビルドプロセスを実現することができます。