CMake: 静的アーカイブライブラリにオブジェクトを効率的に追加する方法 - CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND徹底解説
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、CMake の変数の一つで、静的アーカイブライブラリにオブジェクトを追加する方法を制御するために使用されます。主に、オブジェクト数が膨大な場合に、CMAKE_LANG_CREATE_STATIC_LIBRARY
の代わりに使用されます。
用途
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、以下の状況で役立ちます。
- 静的アーカイブライブラリの作成過程をより細かく制御したい場合
- 複数のCMake ターゲットで同じ静的アーカイブライブラリを使用する場合
- 静的アーカイブライブラリに大量のオブジェクトを追加する場合
構文
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND( <variable> <archive> <object>... )
<object>
: 静的アーカイブライブラリに追加するオブジェクトのパス<archive>
: 静的アーカイブライブラリのパス<variable>
: 静的アーカイブライブラリを表す変数名
例
set(MY_STATIC_LIBRARY my_static_library.a)
add_executable(my_program my_program.cpp)
target_link_libraries(my_program ${MY_STATIC_LIBRARY})
# オブジェクトを静的アーカイブライブラリに追加
cmake_lang_archive_append(MY_STATIC_LIBRARY ${MY_STATIC_LIBRARY} object1.o object2.o object3.o)
上記の例では、my_static_library.a
という静的アーカイブライブラリを作成し、object1.o
、object2.o
、object3.o
というオブジェクトを追加します。
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、静的アーカイブライブラリの作成過程をより細かく制御するために使用することができます。例えば、オブジェクトの追加順序を指定したり、特定のオブジェクトのみを追加したりすることができます。CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、複数のCMake ターゲットから同じ静的アーカイブライブラリにオブジェクトを追加するために使用することができます。CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、CMAKE_LANG_CREATE_STATIC_LIBRARY
と異なり、静的アーカイブライブラリを最初から作成する必要はありません。既存の静的アーカイブライブラリにオブジェクトを追加することができます。
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
を使用すると、静的アーカイブライブラリのビルドが遅くなる場合があります。CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、すべてのCMakeプラットフォームでサポートされているわけではありません。使用前に、プラットフォームの互換性を確認してください。
set(MY_STATIC_LIBRARY my_static_library.a)
add_executable(my_program1 my_program1.cpp)
target_link_libraries(my_program1 ${MY_STATIC_LIBRARY})
# ターゲット1からオブジェクトを追加
cmake_lang_archive_append(MY_STATIC_LIBRARY ${MY_STATIC_LIBRARY} object1.o object2.o)
add_executable(my_program2 my_program2.cpp)
target_link_libraries(my_program2 ${MY_STATIC_LIBRARY})
# ターゲット2からオブジェクトを追加
cmake_lang_archive_append(MY_STATIC_LIBRARY ${MY_STATIC_LIBRARY} object3.o object4.o)
例2:オブジェクトの追加順序を指定
この例では、my_static_library.a
という静的アーカイブライブラリにオブジェクトを追加する順序を指定します。
set(MY_STATIC_LIBRARY my_static_library.a)
add_executable(my_program my_program.cpp)
target_link_libraries(my_program ${MY_STATIC_LIBRARY})
# オブジェクトの追加順序を指定
cmake_lang_archive_append(MY_STATIC_LIBRARY ${MY_STATIC_LIBRARY} object3.o object1.o object2.o)
例3:特定のオブジェクトのみを追加
この例では、my_static_library.a
という静的アーカイブライブラリに、特定のオブジェクトのみを追加します。
set(MY_STATIC_LIBRARY my_static_library.a)
add_executable(my_program my_program.cpp)
target_link_libraries(my_program ${MY_STATIC_LIBRARY})
# 特定のオブジェクトのみを追加
cmake_lang_archive_append(MY_STATIC_LIBRARY ${MY_STATIC_LIBRARY} object2.o object4.o)
これらの例はあくまでも基本的な使い方であり、状況に応じて様々なバリエーションが考えられます。
- CMake のバージョンやプラットフォームによって、動作が異なる場合があります。
代替方法
add_library
コマンドを使用する
add_library(my_static_library STATIC object1.o object2.o object3.o)
target_sources
プロパティを使用する
target_sources
プロパティは、CMake ターゲットにソースファイルを指定するために使用されます。静的アーカイブライブラリを作成する場合、target_sources
プロパティを使用してオブジェクトファイルを指定することができます。
add_executable(my_program my_program.cpp)
target_sources(my_program PRIVATE object1.o object2.o object3.o)
target_link_libraries
コマンドとPUBLIC
/PRIVATE
キーワードを使用する
target_link_libraries
コマンドは、CMake ターゲットにリンクするライブラリを指定するために使用されます。PUBLIC
または PRIVATE
キーワードを使用して、ライブラリがターゲットに対して公開されているかどうかを指定することができます。静的アーカイブライブラリを作成する場合、PUBLIC
または PRIVATE
キーワードを使用して、オブジェクトファイルをターゲットに対して公開することができます。
add_executable(my_program my_program.cpp)
target_link_libraries(my_program PUBLIC object1.o object2.o PRIVATE object3.o)
それぞれの方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND | シンプルでわかりやすい | オブジェクトの追加以外の設定ができない |
add_library | オブジェクトの追加だけでなく、ライブラリのその他の設定も指定できる | 複雑で分かりにくい |
target_sources | シンプルでわかりやすい | オブジェクトの追加以外の設定ができない |
target_link_libraries | 静的アーカイブライブラリだけでなく、共有ライブラリにも使用できる | 複雑で分かりにくい |
CMAKE_LANG_ARCHIVE_APPEND
は、静的アーカイブライブラリにオブジェクトを追加するシンプルな方法ですが、状況によっては他の方法の方が適している場合があります。それぞれの方法の利点と欠点を理解し、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
- CMake のバージョンやプラットフォームによって、動作が異なる場合があります。
- 上記の代替方法は、あくまでも基本的な方法であり、状況に応じて様々なバリエーションが考えられます。