QTextStream::setFieldWidth()

2025-05-26

Qtプログラミングにおける QTextStream::setFieldWidth() は、QTextStream クラスを使用してテキストを整形して出力する際に、次に書き込まれる項目の最小フィールド幅を設定するための関数です。

役割 (役割)

setFieldWidth(int width) を呼び出すと、それ以降 QTextStream にストリーム演算子 (<<) を使って出力されるテキスト、数値などの項目が、指定された width の幅を持つフィールドに収まるように調整されます。

アライメント
フィールド内でのテキストの配置（左寄せ、右寄せ、中央寄せなど）は、setFieldAlignment() 関数で設定できます。
指定された幅よりも長い場合
項目は切り捨てられずに、そのままの長さで出力されます。つまり、setFieldWidth は「最小幅」を保証するものであり、最大幅を制限するものではありません。
指定された幅よりも短い場合
フィールドの残りの部分には、パディング文字（デフォルトではスペース）が埋められます。パディング文字は setPadChar() で変更できます。

使用例 (使用例)

#include <QTextStream>
#include <QFile>

int main() {
    QFile file("output.txt");
    if (file.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text)) {
        QTextStream out(&file);

        // フィールド幅を10に設定（右寄せがデフォルト）
        out.setFieldWidth(10);
        out << "Hello" << "World" << endl; // Hello     World

        // フィールド幅を5に設定し、左寄せ
        out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignLeft);
        out.setFieldWidth(5);
        out << "Qt" << 123 << endl; // Qt   123  

        // フィールド幅を0に設定すると、幅の指定が解除される
        out.setFieldWidth(0);
        out << "NoFieldWidth" << endl; // NoFieldWidth

        file.close();
    }
    return 0;
}

上記のコードを実行すると、output.txt に以下のような内容が書き込まれます（スペースの表現は正確ではありませんが、イメージとして）：

     Hello     World
Qt   123  
NoFieldWidth

より柔軟な文字列整形が必要な場合は、QString::arg() などの QString の整形機能を利用することも検討してください。QTextStream は、特にファイルや標準出力への一連のデータ出力において、簡潔な整形が必要な場合に便利です。
setFieldWidth() は、一度設定すると、setFieldWidth(0) で明示的に解除しない限り、その後のすべての出力項目に適用されます。これは endl (改行) にも影響するため、改行まで指定された幅でパディングされてしまうことがあります。これを避けるには、endl の直前に setFieldWidth(0) を呼び出し、必要であればその後で再度 setFieldWidth() を設定し直すなどの工夫が必要です。

よくあるエラーと問題 (よくあるエラーと問題)

改行 (endl) もパディングされてしまう これが最もよく報告される問題です。setFieldWidth() は、一度設定されると、次にストリームに書き込まれるすべての項目に適用されます。そのため、改行文字 (\n を出力する endl マニピュレータも例外ではありません。結果として、改行の前に指定された幅の空白が挿入され、意図しないインデントや余分なスペースが発生します。
```
QTextStream out(stdout);
out.setFieldWidth(10);
out << "Item1" << endl; // Item1     （改行の前に5文字分のスペース）
out << "Item2" << endl; // Item2     （改行の前に5文字分のスペース）
```
フィールド幅が適用されない場合がある（数値の出力など） 数値が非常に大きい場合や、指定したフィールド幅よりも長い文字列を出力しようとした場合、setFieldWidth() は最小幅を保証するものであり、切り捨ては行われません。そのため、指定した幅よりも長く出力されることがあります。これはエラーではありませんが、期待した整形にならない場合があります。

例
```
QTextStream out(stdout);
out.setFieldWidth(5);
out << "LongString" << endl; // LongString (切り捨てられない)
out << 123456789 << endl;    // 123456789 (切り捨てられない)
```
アライメント（配置）が期待通りにならない setFieldWidth() と合わせて setFieldAlignment() を使用しますが、デフォルトのアライメントは通常 AlignRight (右寄せ) です。明示的に AlignLeft や AlignCenter を設定しないと、数値以外の文字列も右寄せになってしまうことがあります。

例
```
QTextStream out(stdout);
out.setFieldWidth(10);
out << "Name" << 123 << endl; //     Name       123 (Nameも右寄せに)
```
setFieldWidth(0) を忘れることによる意図しないパディングの継続 一度 setFieldWidth() を設定すると、その値はストリームの状態として保持されます。特定の出力ブロックでだけフィールド幅を適用したい場合でも、setFieldWidth(0) を呼び出して幅の指定を解除しないと、その後のすべての出力に意図せずフィールド幅が適用され続けてしまいます。

改行のパディングを避ける
- 方法1: endl の直前と直後に setFieldWidth(0) を呼び出す これは最も一般的な解決策です。endl を出力する直前にフィールド幅をリセットし、その後必要であれば再び設定します。
```
QTextStream out(stdout);
out.setFieldWidth(10);
out << "Item1";
out.setFieldWidth(0); // endl の前に幅をリセット
out << endl;
out.setFieldWidth(10); // 次の項目のために幅を再設定
out << "Item2";
out.setFieldWidth(0);
out << endl;
```
  Qtには便利なマニピュレータ qSetFieldWidth が用意されており、これを使うとより簡潔に書けます。
```
#include <QTextStream> // qSetFieldWidth のために必要

QTextStream out(stdout);
out << qSetFieldWidth(10) << "Item1" << qSetFieldWidth(0) << endl;
out << qSetFieldWidth(10) << "Item2" << qSetFieldWidth(0) << endl;
```
- 方法2: endl の代わりに "\n" を使用する endl は \n に加えてストリームをフラッシュする（バッファの内容を強制的に出力する）役割も持ちます。パフォーマンスが問題になる場合や、厳密な改行のみが必要な場合は、"\n" を直接出力することでパディングの問題を回避できます。ただし、この場合も setFieldWidth(0) で幅を解除する必要があります。
フィールド幅が適用されない（切り捨てられない）場合
- これは setFieldWidth() の仕様であり、バグではありません。出力される内容が指定した幅よりも長くなることを許容するか、あるいは文字列の長さを事前にチェックして、必要に応じて切り捨てる処理を自前で実装する必要があります。
- QString::left() や QString::right() を使用して、明示的に文字列を切り詰めることができます。
- より複雑な整形が必要な場合は、QString::arg() を検討してください。これは、printf のようなフォーマット文字列を提供し、固定幅の指定やパディング、アライメントを柔軟に制御できます。
例 (QString::arg() の使用)
```
QTextStream out(stdout);
QString longString = "VeryLongString";
out << QString("%1").arg(longString, 10, QChar(' ')) << endl; // 左寄せ、10文字幅でパディング
// 長すぎる文字列は切り捨てられない
out << QString("%1").arg("EvenLongerString", 10, QChar(' ')) << endl;
```
アライメントが期待通りにならない
- 明示的にアライメントを設定する
  常に setFieldAlignment(QTextStream::AlignLeft) や setFieldAlignment(QTextStream::AlignCenter) を設定し、意図しない右寄せを防ぎます。
```
QTextStream out(stdout);
out.setFieldWidth(10);
out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignLeft); // 左寄せに設定
out << "Name" << endl; // Name      
```
- アライメント設定も setFieldWidth() と同様に、一度設定するとその後のすべての出力に適用されるため、必要に応じて変更してください。
setFieldWidth(0) の忘れ
- デバッグ出力などで、意図しない空白が延々と続く場合は、どこかで setFieldWidth() が設定されたままになっている可能性が高いです。
- 常に、フィールド幅の適用が必要なブロックの開始時に setFieldWidth() を設定し、ブロックの終了時または他の整形が必要になる前に setFieldWidth(0) でリセットする習慣をつけると良いでしょう。
- 前述の qSetFieldWidth マニピュレータは、この設定とリセットをコンパクトに記述するのに役立ちます。

基本的な使用法とパディング (基本的な使用法とパディング)

最も基本的な使用法は、出力する文字列や数値の最小幅を設定することです。デフォルトでは右寄せでスペースがパディングされます。

#include <QTextStream>
#include <QString>
#include <QDebug> // デバッグ出力のために使用

int main() {
    QTextStream out(stdout); // 標準出力へのストリーム

    out << "--- 基本的なフィールド幅とパディング ---" << endl;

    // フィールド幅を10に設定
    out.setFieldWidth(10); 
    out << "Apple" << endl;  //     Apple (左に5文字分のスペース)
    out << "Banana" << endl; //    Banana (左に4文字分のスペース)
    out << "Orange" << endl; //    Orange (左に4文字分のスペース)
    out << 123 << endl;      //       123 (左に7文字分のスペース)

    // フィールド幅よりも長い文字列
    out << "VeryLongFruitName" << endl; // VeryLongFruitName (切り捨てられない)

    // フィールド幅を0に設定して解除
    out.setFieldWidth(0); 
    out << "Field width reset." << endl;

    return 0;
}

実行結果の概念

--- 基本的なフィールド幅とパディング ---
     Apple
    Banana
    Orange
       123
VeryLongFruitName
Field width reset.

アライメント (配置) の変更 (アライメント (配置) の変更)

setFieldAlignment() を使用して、フィールド内でのテキストの配置（左寄せ、中央寄せ、右寄せ）を変更できます。

#include <QTextStream>
#include <QString>
#include <QDebug>

int main() {
    QTextStream out(stdout);

    out << "--- アライメントの変更 ---" << endl;

    // デフォルトはAlignRight (右寄せ)
    out.setFieldWidth(15);
    out << "Right Aligned" << endl;

    // 左寄せ
    out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignLeft);
    out << "Left Aligned" << endl;

    // 中央寄せ
    out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignCenter);
    out << "Centered" << endl;

    // アライメントと幅をリセット
    out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignRight); // デフォルトに戻す
    out.setFieldWidth(0);
    out << "Alignment and width reset." << endl;

    return 0;
}

実行結果の概念

--- アライメントの変更 ---
  Right Aligned
Left Aligned   
   Centered    
Alignment and width reset.

パディング文字の変更 (パディング文字の変更)

setPadChar() を使用して、空白以外の文字をパディングに使用できます。

#include <QTextStream>
#include <QString>
#include <QDebug>

int main() {
    QTextStream out(stdout);

    out << "--- パディング文字の変更 ---" << endl;

    out.setFieldWidth(10);
    out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignLeft); // 左寄せ

    // デフォルトはスペース
    out << "Item1" << endl;

    // アスタリスクでパディング
    out.setPadChar('*');
    out << "Item2" << endl; // Item2*****

    // ドル記号でパディング
    out.setPadChar('$');
    out << "Item3" << endl; // Item3$$$$$

    // パディング文字、アライメント、幅をリセット
    out.setPadChar(' '); // デフォルトに戻す
    out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignRight);
    out.setFieldWidth(0);
    out << "Pad char reset." << endl;

    return 0;
}

実行結果の概念

--- パディング文字の変更 ---
Item1     
Item2*****
Item3$$$$$
Pad char reset.

endl との組み合わせと qSetFieldWidth マニピュレータ (endl との組み合わせと qSetFieldWidth マニピュレータ)

setFieldWidth() は endl も含むすべての項目に適用されるため、意図しないパディングが発生することがあります。qSetFieldWidth マニピュレータを使用すると、より簡潔に幅を設定し、すぐにリセットできます。

#include <QTextStream>
#include <QString>
#include <QDebug>
#include <iomanip> // std::setw ではない、qSetFieldWidth のためのヘッダは QTextStream に含まれる

int main() {
    QTextStream out(stdout);

    out << "--- endl と qSetFieldWidth の使用 ---" << endl;

    // 問題のある例: endl がパディングされる
    out.setFieldWidth(10);
    out.setFieldAlignment(QTextStream::AlignLeft);
    out << "Data1" << endl; // Data1     （改行までパディングされる）
    out << "Data2" << endl; // Data2     （改行までパディングされる）
    out.setFieldWidth(0); // リセットしないと続く

    out << "--- qSetFieldWidth で解決 ---" << endl;

    // qSetFieldWidth を使用すると、その次の項目にのみ適用される
    out << qSetFieldWidth(10) << "DataA" << qSetFieldWidth(0) << endl;
    out << qSetFieldWidth(10) << "DataB" << qSetFieldWidth(0) << endl;

    // 複数項目を同じ幅で揃えたい場合
    out << qSetFieldWidth(8) << "Col1"
        << qSetFieldWidth(12) << "Column2"
        << qSetFieldWidth(6) << "Col3"
        << qSetFieldWidth(0) << endl; // 最後にリセット

    out << qSetFieldWidth(8) << 100
        << qSetFieldWidth(12) << "Text Item"
        << qSetFieldWidth(6) << 9.99
        << qSetFieldWidth(0) << endl; // 最後にリセット

    return 0;
}

実行結果の概念

--- endl と qSetFieldWidth の使用 ---
Data1     
Data2     
--- qSetFieldWidth で解決 ---
DataA     
DataB     
    Col1    Column2   Col3
     100    Text Item  9.99

setFieldWidth() は、データをテーブル形式で出力する際に非常に役立ちます。

#include <QTextStream>
#include <QString>
#include <QVector>

struct Product {
    QString name;
    double price;
    int quantity;
};

int main() {
    QTextStream out(stdout);

    QVector<Product> products = {
        {"Apple", 1.50, 100},
        {"Banana", 0.75, 250},
        {"Orange", 2.00, 75},
        {"VeryLongProduct", 10.99, 10},
    };

    // ヘッダーの出力
    out << qSetFieldWidth(20) << QTextStream::AlignLeft << "Product Name"
        << qSetFieldWidth(10) << QTextStream::AlignRight << "Price ($)"
        << qSetFieldWidth(8) << QTextStream::AlignRight << "Qty"
        << qSetFieldWidth(0) << endl; // ヘッダーの幅をリセット

    out << QString(40, '-') << endl; // 区切り線

    // データの出力
    for (const auto& product : products) {
        out << qSetFieldWidth(20) << QTextStream::AlignLeft << product.name
            << qSetFieldWidth(10) << QTextStream::AlignRight << QString::number(product.price, 'f', 2) // 価格は小数点以下2桁
            << qSetFieldWidth(8) << QTextStream::AlignRight << product.quantity
            << qSetFieldWidth(0) << endl; // 各行の終わりにリセット
    }

    return 0;
}

Product Name          Price ($)     Qty
----------------------------------------
Apple                     1.50     100
Banana                    0.75     250
Orange                    2.00      75
VeryLongProduct          10.99      10

QString::arg() (非常に一般的で推奨される方法)

QString::arg() は、Qt で文字列の整形を行うための最も強力で推奨される方法の一つです。C++の printf のような書式指定子を必要とせず、プレースホルダー (%1, %2 など) を使って、引数を安全に、かつ国際化にも対応した形で埋め込むことができます。

arg() のオーバーロードには、フィールド幅、パディング文字、アライメントを指定できるものがあります。

特徴

QTextStream の状態変更を伴わない
QTextStream のようにストリームの状態を一時的に変更する必要がなく、整形したい文字列ごとに独立して適用できます。
柔軟性
フィールド幅、パディング文字、数値の基数（10進数、16進数など）、浮動小数点数の精度などを細かく制御できます。
安全
型安全であり、誤った型の引数を渡すことによるクラッシュや未定義動作を防ぎます。

使用例

#include <QString>
#include <QDebug> // コンソール出力用

int main() {
    // 基本的な整形
    QString s1 = QString("Name: %1, Age: %2").arg("Alice").arg(30);
    qDebug() << s1; // "Name: Alice, Age: 30"

    // フィールド幅と右寄せ (デフォルト)
    QString s2 = QString("Value: %1").arg(123, 10); // 10文字幅、右寄せ
    qDebug() << s2; // "Value:        123"

    // フィールド幅と左寄せ (負の幅を指定)
    QString s3 = QString("Product: %1 Price: %2").arg("Laptop", -15).arg(999.99, 0, 'f', 2); // -15で左寄せ
    qDebug() << s3; // "Product: Laptop          Price: 999.99"

    // パディング文字の指定
    QString s4 = QString("ID: %1").arg(45, 5, 10, QChar('0')); // 5文字幅、10進数、'0'でパディング
    qDebug() << s4; // "ID: 00045"

    // 複数の引数をまとめて指定 (推奨される記法)
    QString s5 = QString("Col1: %1 Col2: %2 Col3: %3")
                     .arg("ItemA", -10) // 左寄せ10文字
                     .arg(250, 5)     // 右寄せ5文字
                     .arg(true ? "Active" : "Inactive", 8); // 8文字
    qDebug() << s5; // "Col1: ItemA       Col2:   250 Col3: Active  "

    return 0;
}

QString::sprintf() (C言語スタイルの書式指定)

QString::sprintf() は、C言語の sprintf() 関数と同様に、書式指定文字列 (%s, %d, %.2f など) を使用して文字列を整形します。Qt 5以降では非推奨（obsolete）となり、QString::asprintf() が推奨されますが、基本的な概念は同じです。

特徴

強力な数値整形
浮動小数点数の精度、ゼロパディング、符号の表示など、数値の整形には非常に強力です。
C言語の経験者には馴染み深い
printf ファミリの書式指定に慣れている人には直感的です。

注意点

Unicode サポート
Qt の sprintf は内部的に Unicode を扱いますが、書式指定文字列自体は char* なので注意が必要です。
型安全ではない
sprintf と同様に、書式指定子と引数の型が一致しない場合、未定義動作やクラッシュを引き起こす可能性があります。

使用例

#include <QString>
#include <QDebug>

int main() {
    // 文字列の整形
    QString s1;
    s1.sprintf("Name: %s, Age: %d", "Bob", 40);
    qDebug() << s1; // "Name: Bob, Age: 40"

    // フィールド幅と右寄せ (文字列)
    QString s2;
    s2.sprintf("Item: %10s", "Tool"); // 10文字幅、右寄せ
    qDebug() << s2; // "Item:       Tool"

    // フィールド幅と左寄せ (文字列)
    QString s3;
    s3.sprintf("Item: %-10s", "Tool"); // 10文字幅、左寄せ
    qDebug() << s3; // "Item: Tool      "

    // 浮動小数点数の整形 (小数点以下2桁、全体幅8文字、ゼロパディング)
    QString s4;
    s4.sprintf("Price: %08.2f", 123.456);
    qDebug() << s4; // "Price: 00123.46"

    return 0;
}

QString::leftJustified(), QString::rightJustified(), QString::padded() (単純なパディング)

これらの関数は、文字列の左右を特定の幅にパディングする際に使用します。QTextStream::setFieldWidth() がストリーム全体に影響するのに対し、これらは特定の QString オブジェクトに対してのみ作用します。

特徴

直接的
特定の文字列に対して直接操作を行います。
シンプル
単純な左右寄せのパディングには非常に簡潔です。

注意点

文字列型のみ
数値などを直接整形する機能はありません。
切り捨ての可能性
truncate パラメータが true の場合、元の文字列が指定された幅よりも長いと切り捨てられます。

使用例

#include <QString>
#include <QDebug>

int main() {
    QString original = "Example";

    // 左寄せ (幅10、スペースでパディング)
    QString s1 = original.leftJustified(10, ' ');
    qDebug() << "Left:  '" << s1 << "'"; // "Left:  'Example   '"

    // 右寄せ (幅10、スペースでパディング)
    QString s2 = original.rightJustified(10, ' ');
    qDebug() << "Right: '" << s2 << "'"; // "Right: '   Example'"

    // 中央寄せ (QTextStream::AlignCenter に相当する直接的な関数はないが、leftJustified と rightJustified を組み合わせることで実現可能)
    // ただし、この例は厳密な中央寄せではなく、パディングの残り分を片側に寄せる
    int width = 10;
    int padLen = width - original.length();
    int leftPad = padLen / 2;
    int rightPad = padLen - leftPad;
    QString s3 = QString(leftPad, ' ') + original + QString(rightPad, ' ');
    qDebug() << "Center:'" << s3 << "'"; // "Center:' Example  '"

    // 切り捨ての例
    QString longString = "VeryLongString";
    QString s4 = longString.leftJustified(8, ' ', true); // true で切り捨てを許可
    qDebug() << "Truncated: " << s4; // "Truncated: VeryLong"

    return 0;
}

C++ 標準ライブラリの iomanip (Qt環境でも使用可能)

Qtアプリケーションでも、C++標準ライブラリの <iomanip> ヘッダーと <iostream> を使用してテキスト整形を行うことができます。これは、QTextStream の機能に縛られず、より一般的なC++の書式設定を利用したい場合に有用です。

特徴

強力な数値整形
setw, setfill, left, right, fixed, setprecision など、様々なマニピュレータが利用できます。
標準C++
C++の標準機能なので、Qt以外の環境でも同じコードが使えます。

注意点

Unicode の扱い
標準の iostream は、システムのロケール設定に依存することが多く、Unicode を適切に扱うには追加の設定や注意が必要な場合があります。Qt の QString は常に Unicode なので、変換が必要になることもあります。
std::cout や std::fstream との連携
通常、QTextStream ではなく、std::cout や std::ofstream などの std::basic_ostream クラスと共に使用されます。

#include <iostream>
#include <iomanip> // setw, setfill, left, right などのために必要
#include <string>

int main() {
    std::cout << "--- std::iomanip の使用 ---" << std::endl;

    // フィールド幅と右寄せ (デフォルト)
    std::cout << std::setw(10) << "ItemA" << std::endl; // "     ItemA"

    // フィールド幅と左寄せ
    std::cout << std::left << std::setw(10) << "ItemB" << std::endl; // "ItemB     "

    // パディング文字の変更
    std::cout << std::right << std::setfill('*') << std::setw(10) << "ItemC" << std::endl; // "*****ItemC"

    // 数値の整形 (小数点以下2桁、ゼロパディング)
    std::cout << std::fixed << std::setprecision(2) << std::setfill('0') << std::setw(8) << 12.345 << std::endl; // "00012.35"

    // 設定をリセット (重要)
    std::cout << std::setfill(' ') << std::setw(0) << std::internal << std::endl;
    // std::endl は常にバッファをフラッシュします

    return 0;
}

C++標準ライブラリとの一貫性を重視する場合
iomanip を使用できますが、Qtの QString との連携やUnicodeの扱いに注意が必要です。
C言語の printf に慣れている場合
QString::sprintf() (QString::asprintf() を推奨) を使用することもできますが、型安全性の問題に注意が必要です。
単純な左右寄せ
QString::leftJustified() や QString::rightJustified() が簡潔で分かりやすいです。
ほとんどの場合
QString::arg() を使用するのが最も推奨されます。型安全、国際化対応、柔軟性、そして QTextStream の状態管理の複雑さがないため、現代の Qt アプリケーションの文字列整形に最適です。

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QTextStream::fieldAlignment()

具体的には、以下のいずれかの値を返します。QTextStream::AlignTrailing: 数値の場合、符号や基数プレフィックスが数値の直前に表示され、全体が右寄せされます。文字列の場合はAlignRightと同じです。QTextStream::AlignLeading: 数値の場合、符号や基数プレフィックス（例: "0x"）がフィールドの先頭に表示され、残りの部分は右寄せされます。文字列の場合はAlignLeftと同じです。

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QTextStreamは、ファイルやデバイスに対してテキストデータを読み書きするためのQtのクラスです。データを書き込む際、通常はすぐに物理的なファイルやデバイスに書き込まれるわけではありません。効率化のため、データは一度「バッファ」と呼ばれる一時的なメモリ領域に蓄えられます。

日本語対応も安心！Qt QTextStreamでのBOM生成とエンコーディングのベストプラクティス

BOM は、Unicode テキストファイルで、そのファイルがどの UTF (UTF-8, UTF-16, UTF-32 など) でエンコードされているか、そしてバイトの順序 (エンディアン、Big-Endian か Little-Endian か) がどうなっているかを示すために、ファイルの先頭に挿入される特別なバイト列です。

QTextStreamで進数を操る：integerBase()とsetIntegerBase()の使い方

具体的には以下の通りです。基数の設定 setIntegerBase()関数を使って、読み書きする整数の基数を明示的に設定できます。例えば、16進数で読み書きしたい場合はsetIntegerBase(16)と設定します。デフォルトの動作読み取り時デフォルトでは0が返されます。これは、QTextStreamが数値のプレフィックス（例：0xは16進数、0から始まる場合は8進数）を自動的に検出して基数を判断することを意味します。書き込み時デフォルトでは10（10進数）が使用されます。

QtプログラミングにおけるQTextStream::locale()徹底解説

ロケールとは、ある特定の地域や文化圏における言語、日付と時刻の形式、数値の表現方法（小数点や桁区切り）、通貨記号などの慣習を定義する情報のことです。例えば、日本では小数点にピリオドを、桁区切りにカンマを使うのが一般的ですが、ヨーロッパの一部では小数点にカンマを、桁区切りにピリオドを使う場合があります。

【Qt入門】QTextStream::numberFlags()を使った数値出力のカスタマイズ方法

QTextStream::numberFlags() は、Qt プログラミングにおける QTextStream クラスのメンバ関数で、数値の出力形式を制御するためのフラグ群を取得します。QTextStream は、テキストの読み書きを便利に行うためのクラスで、ファイル、バイト配列、QString など、様々なI/Oデバイスを扱えます。数値を出力する際に、例えば16進数で表示するか、常に符号を表示するか、小数点以下の桁数を強制するか、といった細かな設定をしたい場合に numberFlags() で現在の設定を取得し、setNumberFlags() で変更します。