Qt QPlainTextEdit::textCursor() 完全解説：日本語プログラミング入門

• textCursor() メソッドは、QTextCursor オブジェクトを返します。
• QPlainTextEdit は、プレーンテキストを表示および編集するためのウィジェットです。

詳細

QTextCursor オブジェクトを取得することで、以下の操作が可能になります。

• テキストの移動
  
  • カーソルをテキスト内の特定の位置に移動させることができます。
• テキストの挿入と削除
  
  • カーソル位置にテキストを挿入したり、選択されたテキストを削除したりできます。
• テキストの選択
  
  • 選択範囲の開始位置と終了位置を取得したり、選択されたテキストを取得したりできます。
  • プログラムからテキストを選択する事も可能です。
• カーソルの位置の取得
  
  • カーソルの行番号や文字位置を取得できます。

使用例

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Hello, World!\nThis is a test.");
    textEdit.show();

    QTextCursor cursor = textEdit.textCursor();

    // カーソルの位置を取得
    qDebug() << "Cursor position:" << cursor.position();

    // 選択されたテキストを取得
    cursor.select(QTextCursor::WordUnderCursor);
    qDebug() << "Selected text:" << cursor.selectedText();

    //カーソルを移動する
    cursor.movePosition(QTextCursor::End);
    textEdit.setTextCursor(cursor);

    return app.exec();
}

QPlainTextEdit::textCursor() は、QPlainTextEdit ウィジェット内のテキストカーソルの状態を QTextCursor オブジェクトとして取得するためのメソッドです。このオブジェクトを使用して、カーソルの位置の取得、テキストの選択、テキストの挿入と削除、テキストの書式設定、およびカーソルの移動など、さまざまなテキスト操作を実行できます。

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一般的なエラーとトラブルシューティング

1. QTextCursor オブジェクトの無効な状態
   
   • エラー
     QTextCursor オブジェクトが初期化されていないか、無効な状態である可能性があります。
   • 原因
     QPlainTextEdit がまだ表示されていない場合、または QPlainTextEdit::textCursor() が呼び出される前にテキストが設定されていない場合など。
   • 解決策
     
     • QPlainTextEdit が適切に初期化され、テキストが設定されていることを確認してください。
     • QPlainTextEdit::textCursor() を呼び出す前に、QPlainTextEdit が表示されていることを確認してください。
     • 必要に応じて、QPlainTextEdit::setPlainText() または QPlainTextEdit::appendPlainText() を使用してテキストを設定してください。
2. カーソル位置の誤った取得
   
   • エラー
     カーソルの位置が予期しない値になることがあります。
   • 原因
     
     • テキストの改行文字の扱いが正しくない。
     • テキストエディタのスクロール位置が考慮されていない。
     • テキストのエンコーディングの問題。
   • 解決策
     
     • 改行文字 (\n) の位置を正しく処理してください。
     • QPlainTextEdit::verticalScrollBar() と QPlainTextEdit::horizontalScrollBar() を使用してスクロール位置を考慮してください。
     • テキストのエンコーディングが正しく設定されていることを確認してください。通常はUTF-8を使用します。
3. テキスト選択の誤り
   
   • エラー
     QTextCursor::selectedText() が空の文字列を返すか、予期しないテキストを返すことがあります。
   • 原因
     
     • 選択範囲が正しく設定されていない。
     • 選択範囲が可視領域外にある。
   • 解決策
     
     • QTextCursor::setPosition() と QTextCursor::setPosition() を使用して、選択範囲を正しく設定してください。
     • 選択範囲が可視領域内にあることを確認してください。
     • QTextCursor::select(QTextCursor::SelectionType selection)を使用して選択する範囲を正しく設定してください。
4. テキスト挿入または削除の問題
   
   • エラー
     テキストの挿入または削除が予期しない結果になることがあります。
   • 原因
     
     • カーソル位置が正しくない。
     • テキストの書式設定が影響している。
     • アンドゥ/リドゥスタックの問題。
   • 解決策
     
     • カーソル位置を慎重に確認してください。
     • テキストの書式設定を考慮して、挿入または削除を行うようにしてください。
     • QPlainTextEdit::document()->undo() と QPlainTextEdit::document()->redo() を使用して、アンドゥ/リドゥ機能を管理してください。
5. setTextCursor()を使用したカーソルの移動が反映されない。
   • エラー
     setTextCursor() を使用してカーソルを移動しても、画面上のカーソル位置が変わらない。
   • 原因
     
     • setTextCursor()呼び出し後に、QPlainTextEditの再描画が行われていない。
     • カーソルが可視範囲外に移動した場合、自動スクロールが行われていない。
   • 解決策
     
     • setTextCursor()の後に、必要に応じてQPlainTextEdit::ensureCursorVisible()を呼び出して、カーソルが可視範囲に表示されるようにしてください。
     • QPlainTextEditの親ウィジェットのレイアウトが正しく行われていることを確認してください。
6. マルチスレッドでの問題
   
   • エラー
     マルチスレッド環境で QPlainTextEdit::textCursor() を使用すると、予期しない動作が発生することがあります。
   • 原因
     Qt GUI オブジェクトはスレッドセーフではありません。
   • 解決策
     
     • GUI オブジェクトへのアクセスは、常にメインスレッドから行うようにしてください。
     • Qt::QueuedConnection を使用して、スレッド間で安全に通信してください。

• ステップごとにコードを実行し、変数の値を追跡してください。

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#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Hello, World!\nThis is a test.");
    textEdit.show();

    QTextCursor cursor = textEdit.textCursor();

    // カーソルの位置を取得
    qDebug() << "カーソル位置:" << cursor.position();

    // カーソル位置の行番号と列番号の取得 (Qt6以降)
    qDebug() << "行番号:" << cursor.blockNumber();
    qDebug() << "列番号:" << cursor.positionInBlock();

    // カーソル位置の文字を取得
    cursor.movePosition(QTextCursor::NextCharacter, QTextCursor::KeepAnchor);
    qDebug() << "カーソル位置の文字:" << cursor.selectedText();
    cursor.movePosition(QTextCursor::PreviousCharacter); //カーソル位置を戻す

    // 単語を選択して取得
    cursor.select(QTextCursor::WordUnderCursor);
    qDebug() << "選択された単語:" << cursor.selectedText();

    return app.exec();
}

説明

• cursor.select(QTextCursor::WordUnderCursor) と cursor.selectedText() を使用してカーソル下の単語を選択して取得します。
• cursor.movePosition() と cursor.selectedText() を使用してカーソル位置の文字を取得します。
• cursor.blockNumber()とcursor.positionInBlock()を使用して行番号と行内の列番号を取得します。(Qt6以降)
• cursor.position() を使用してカーソルの絶対位置を取得します。
• QPlainTextEdit::textCursor() を使用して QTextCursor オブジェクトを取得します。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Initial text.");
    textEdit.show();

    QTextCursor cursor = textEdit.textCursor();

    // カーソルを末尾に移動
    cursor.movePosition(QTextCursor::End);
    textEdit.setTextCursor(cursor);

    // テキストを挿入
    cursor.insertText(" Added text.");

    // 選択範囲を設定して削除
    cursor.movePosition(QTextCursor::Start, QTextCursor::KeepAnchor, 8); // 最初の8文字を選択
    cursor.removeSelectedText();

    textEdit.setTextCursor(cursor); //変更を反映させる。
    qDebug() << textEdit.toPlainText();

    return app.exec();
}

説明

• textEdit.setTextCursor(cursor)を使用して、変更を反映させます。
• cursor.removeSelectedText() を使用して選択されたテキストを削除します。
• cursor.movePosition(QTextCursor::Start, QTextCursor::KeepAnchor, 8) を使用して最初の8文字を選択します。
• cursor.insertText() を使用してテキストを挿入します。
• cursor.movePosition(QTextCursor::End) を使用してカーソルをテキストの末尾に移動します。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Line 1\nLine 2\nLine 3");
    textEdit.show();

    QTextCursor cursor = textEdit.textCursor();

    // カーソルを2行目の先頭に移動
    cursor.movePosition(QTextCursor::Down);
    cursor.movePosition(QTextCursor::StartOfLine);
    textEdit.setTextCursor(cursor);

    // 2行目のテキストを選択
    cursor.movePosition(QTextCursor::EndOfLine, QTextCursor::KeepAnchor);
    textEdit.setTextCursor(cursor);

    qDebug() << "選択されたテキスト:" << cursor.selectedText();

    return app.exec();
}

• textEdit.setTextCursor(cursor)を使用して、カーソルの移動と選択を反映させます。
• cursor.selectedText() を使用して選択されたテキストを取得します。
• cursor.movePosition(QTextCursor::EndOfLine, QTextCursor::KeepAnchor) を使用して行末まで選択します。
• cursor.movePosition(QTextCursor::StartOfLine) を使用してカーソルを行の先頭に移動します。
• cursor.movePosition(QTextCursor::Down) を使用してカーソルを次の行に移動します。

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QPlainTextEdit::toPlainText() と文字列操作

• 例
  
• 欠点
  
  • 大規模なテキストの場合、メモリ消費量が大きくなる可能性があります。
  • テキストエディタのリアルタイムな更新やカーソル操作には適していません。
• 利点
  
  • テキスト全体を一度に処理する場合、効率が良いことがあります。
  • 正規表現などの複雑な文字列検索や置換が容易です。
  • QTextCursor のような位置情報管理が不要な場合があります。
• QPlainTextEdit::toPlainText() を使用してテキスト全体を QString として取得し、標準的な文字列操作関数を使用してテキストを操作する方法です。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>
#include <QString>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Hello, World!\nThis is a test.");
    textEdit.show();

    QString text = textEdit.toPlainText();
    QString replacedText = text.replace("World", "Qt");

    qDebug() << replacedText;

    return app.exec();
}

QPlainTextEdit::document() と QTextDocument

• 例
  
• 欠点
  
  • QTextCursor よりも複雑なAPIであるため、学習コストが高いです。
  • プレーンテキストのみを扱う場合、オーバーヘッドが大きくなることがあります。
• 利点
  
  • テキストの構造（ブロック、フレームなど）をより詳細に制御できます。
  • リッチテキストの操作にも対応できます。
  • Undo/Redo機能の制御が容易です。
• QPlainTextEdit::document() を使用して QTextDocument オブジェクトを取得し、QTextDocument のメソッドを使用してテキストを操作する方法です。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>
#include <QTextDocument>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Hello, World!\nThis is a test.");
    textEdit.show();

    QTextDocument *document = textEdit.document();
    QTextBlock block = document->findBlockByNumber(1); //2行目のブロックを取得

    qDebug() << block.text();

    return app.exec();
}

QPlainTextEdit::find() と QRegularExpression

• 例
  
• 欠点
  
  • 検索結果を操作するには、QTextCursor を使用する必要があります。
• 利点
  
  • 特定の文字列やパターンを効率的に検索できます。
  • 正規表現による複雑な検索が可能です。
• QPlainTextEdit::find() を使用してテキスト内の特定の文字列や正規表現を検索し、QTextCursor を使用して検索結果を操作する方法です。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QDebug>
#include <QRegularExpression>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPlainTextEdit textEdit;
    textEdit.setPlainText("Hello, World!\nThis is a test.");
    textEdit.show();

    QTextCursor cursor = textEdit.document()->find("World", 0);
    if (!cursor.isNull()) {
        qDebug() << "Found at:" << cursor.position();
        cursor.insertText("Qt");
    }

    return app.exec();
}

• QTextCursor の位置情報は、テキストの内容変更によって無効になることがあります。
• 大規模なテキストや複雑な操作では、パフォーマンスが低下する可能性があります。
• QPlainTextEdit::textCursor() は、GUIスレッドでのみ安全に使用できます。