Qtでテキスト選択を制御！QPlainTextEdit::selectionChanged()の応用プログラミング

2025-04-26

基本的な説明

selectionChanged()
このシグナルは、ユーザーがテキストを選択したり、選択範囲をクリアしたり、プログラムによって選択範囲が変更されたりした場合に発行されます。
QPlainTextEdit
これは、プレーンテキスト（書式なしテキスト）を表示・編集するためのウィジェットです。
シグナルとは
Qtにおけるシグナルは、オブジェクトの状態が変化したことを他のオブジェクトに通知するための仕組みです。シグナルは、特定のイベントが発生したときに発行され、スロットと呼ばれる関数に接続できます。

具体的な動作と利用例

テキスト選択の変更
ユーザーがマウスでテキストを選択したり、キーボード操作で選択範囲を変更したりすると、selectionChanged()シグナルが発行されます。
選択範囲のクリア
ユーザーが選択範囲をクリアした場合（例えば、エディタ内をクリックして選択を解除した場合）にも、このシグナルが発行されます。
プログラムによる選択範囲の変更
プログラム内でQPlainTextEdit::setSelection()などの関数を使用してテキストの選択範囲を変更した場合も、このシグナルが発行されます。
シグナルの接続
selectionChanged()シグナルをスロット（特定の処理を行う関数）に接続することで、選択範囲が変更されたときに特定のアクションを実行できます。

利用例 (Python with PyQt5)

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit

def selection_changed():
    print("選択範囲が変更されました。")
    # ここで選択範囲の情報を取得したり、他の処理を実行したりできます。

app = QApplication(sys.argv)
text_edit = QPlainTextEdit()
text_edit.textChanged.connect(lambda: print("テキストが変更されました"))
text_edit.selectionChanged.connect(selection_changed)
text_edit.setPlainText("ここにテキストを入力してください。")
text_edit.show()
sys.exit(app.exec_())

この例では、selectionChanged()シグナルが発行されるたびに、「選択範囲が変更されました。」というメッセージがコンソールに表示されます。

一般的なエラーとトラブルシューティング

シグナルが発行されない
- 原因
  - selectionChanged()シグナルがスロットに正しく接続されていない。
  - 選択範囲が実際には変更されていない（例えば、同じテキスト範囲を繰り返し選択している）。
  - QPlainTextEditオブジェクトが正しく初期化されていない。
- トラブルシューティング
  - シグナルとスロットの接続を確認します。connect()関数が正しく呼び出されているか、スロット関数が正しく定義されているかを確認します。
  - 選択範囲が実際に変更されていることを確認します。デバッグ用のqDebug()またはprint()文をスロット関数に追加し、シグナルが発行されているかどうかを確認します。
  - QPlainTextEditオブジェクトが正常に作成され、表示されていることを確認します。
スロット関数が期待どおりに動作しない
- 原因
  - スロット関数内のロジックにエラーがある。
  - 選択範囲の情報を取得する関数（QPlainTextEdit::selectedText()など）の使い方が間違っている。
  - スロット関数内でUIを更新する際に、スレッドの問題が発生している。
- トラブルシューティング
  - スロット関数内のロジックをステップ実行してデバッグします。変数の値や関数の戻り値をチェックします。
  - QPlainTextEdit::selectedText()などの関数を正しく使用しているか、ドキュメントを確認します。
  - UIを更新する際は、メインスレッド（GUIスレッド）で実行されていることを確認します。Qt::QueuedConnectionを使用してシグナルをスロットに接続し、スレッド間の問題を回避します。
パフォーマンスの問題
- 原因
  - スロット関数内で時間がかかる処理を実行している。
  - 選択範囲が頻繁に変更される場合に、スロット関数が何度も呼び出され、パフォーマンスが低下する。
- トラブルシューティング
  - スロット関数内の処理を最適化します。不要な処理を削除したり、アルゴリズムを改善したりします。
  - シグナルとスロットの接続を調整し、必要な場合にのみスロット関数が呼び出されるようにします。例えば、タイマーを使用して、一定時間内に選択範囲が変更された場合にのみ処理を実行します。
選択範囲の取得に関する問題
- 原因
  - 選択範囲がない時に、選択されたテキストを取得しようとしてエラーが発生する。
  - テキストのエンコーディングの問題で、取得したテキストが正しく表示されない。
- トラブルシューティング
  - 選択されたテキストを取得する前に、選択範囲が存在するかどうかをチェックします。
  - テキストのエンコーディングが正しく設定されているかを確認します。UTF-8などの一般的なエンコーディングを使用します。
信号とスロットの接続問題
- 原因
  - 信号とスロットのパラメータの型が一致しない。
  - オブジェクトが破棄された後に信号が送信される。
- トラブルシューティング
  - 信号とスロットのパラメータの型が一致していることを確認します。
  - オブジェクトのライフサイクルを管理し、破棄されたオブジェクトからの信号を受信しないようにします。

Qtのドキュメントやオンラインフォーラムを参照し、同様の問題が発生しているかどうかを確認します。
Qt Creatorのデバッガを使用して、コードをステップ実行し、変数の値や関数の呼び出し履歴を確認します。
qDebug()またはprint()文を使用して、シグナルが発行されたタイミングや、スロット関数内で変数の値を確認します。

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit, QLabel, QVBoxLayout, QWidget

class SelectionExample(QWidget):
    def __init__(self):
        super().__init__()

        self.text_edit = QPlainTextEdit()
        self.label = QLabel("選択されたテキスト:")
        self.selected_text_label = QLabel("")

        layout = QVBoxLayout()
        layout.addWidget(self.text_edit)
        layout.addWidget(self.label)
        layout.addWidget(self.selected_text_label)
        self.setLayout(layout)

        self.text_edit.selectionChanged.connect(self.update_selected_text)

        self.text_edit.setPlainText("ここにサンプルテキストがあります。\n選択範囲を変更してみてください。")

    def update_selected_text(self):
        selected_text = self.text_edit.selectedText()
        self.selected_text_label.setText(selected_text)

app = QApplication(sys.argv)
window = SelectionExample()
window.show()
sys.exit(app.exec_())

説明

QPlainTextEditとQLabelを作成し、垂直レイアウトに配置します。
text_edit.selectionChanged.connect(self.update_selected_text)で、selectionChanged()シグナルをupdate_selected_text()スロットに接続します。
update_selected_text()スロットでは、QPlainTextEdit::selectedText()を使用して選択されたテキストを取得し、selected_text_labelに表示します。

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit, QLabel, QVBoxLayout, QWidget
from PyQt5.QtCore import QTextCursor

class SelectionPositionExample(QWidget):
    def __init__(self):
        super().__init__()

        self.text_edit = QPlainTextEdit()
        self.position_label = QLabel("選択範囲の開始: -, 終了: -")

        layout = QVBoxLayout()
        layout.addWidget(self.text_edit)
        layout.addWidget(self.position_label)
        self.setLayout(layout)

        self.text_edit.selectionChanged.connect(self.update_selection_position)

        self.text_edit.setPlainText("ここにサンプルテキストがあります。\n選択範囲を変更してみてください。")

    def update_selection_position(self):
        cursor = self.text_edit.textCursor()
        start_position = cursor.selectionStart()
        end_position = cursor.selectionEnd()
        self.position_label.setText(f"選択範囲の開始: {start_position}, 終了: {end_position}")

app = QApplication(sys.argv)
window = SelectionPositionExample()
window.show()
sys.exit(app.exec_())

説明

QPlainTextEdit::textCursor()を使用して、テキストカーソルを取得します。
QTextCursor::selectionStart()とQTextCursor::selectionEnd()を使用して、選択範囲の開始位置と終了位置を取得します。
取得した位置情報をQLabelに表示します。

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit, QLabel, QVBoxLayout, QWidget
from PyQt5.QtCore import QTextCursor

class SelectedLinesExample(QWidget):
    def __init__(self):
        super().__init__()

        self.text_edit = QPlainTextEdit()
        self.line_count_label = QLabel("選択された行数: 0")

        layout = QVBoxLayout()
        layout.addWidget(self.text_edit)
        layout.addWidget(self.line_count_label)
        self.setLayout(layout)

        self.text_edit.selectionChanged.connect(self.update_line_count)

        self.text_edit.setPlainText("1行目\n2行目\n3行目\n4行目\n5行目")

    def update_line_count(self):
        cursor = self.text_edit.textCursor()
        start_block = cursor.selectionStartBlock()
        end_block = cursor.selectionEndBlock()
        line_count = end_block.blockNumber() - start_block.blockNumber() + 1
        self.line_count_label.setText(f"選択された行数: {line_count}")

app = QApplication(sys.argv)
window = SelectedLinesExample()
window.show()
sys.exit(app.exec_())

QTextCursor::selectionStartBlock()とQTextCursor::selectionEndBlock()を使用して、選択範囲の開始ブロックと終了ブロックを取得します。
ブロック番号の差を計算して、選択された行数を求めます。
求めた行数をQLabelに表示します。

QPlainTextEdit::cursorPositionChanged()シグナルを使用する

cursorPositionChanged()シグナルは、テキストカーソルの位置が変更されたときに発行されます。選択範囲の変更はカーソルの位置変更と密接に関連しているため、このシグナルを利用して選択範囲の変更を検出できます。
利点
カーソルの位置変更に関するより詳細な情報が得られます。
欠点
選択範囲のみの変更を検出するには、追加のロジックが必要です。
例

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit, QLabel, QVBoxLayout, QWidget
from PyQt5.QtCore import QTextCursor

class CursorPositionExample(QWidget):
    def __init__(self):
        super().__init__()

        self.text_edit = QPlainTextEdit()
        self.label = QLabel("選択範囲が変更されました")

        layout = QVBoxLayout()
        layout.addWidget(self.text_edit)
        layout.addWidget(self.label)
        self.setLayout(layout)

        self.previous_selection_start = 0
        self.previous_selection_end = 0

        self.text_edit.cursorPositionChanged.connect(self.check_selection_change)

        self.text_edit.setPlainText("ここにサンプルテキストがあります。\n選択範囲を変更してみてください。カーソルを移動させても検出されます。")

    def check_selection_change(self):
        cursor = self.text_edit.textCursor()
        current_selection_start = cursor.selectionStart()
        current_selection_end = cursor.selectionEnd()

        if (current_selection_start != self.previous_selection_start) or (current_selection_end != self.previous_selection_end):
            self.label.setText("選択範囲が変更されました")
            self.previous_selection_start = current_selection_start
            self.previous_selection_end = current_selection_end
        else:
            self.label.setText("選択範囲は変更されていません")

app = QApplication(sys.argv)
window = CursorPositionExample()
window.show()
sys.exit(app.exec_())

タイマーを使用して定期的に選択範囲をチェックする

タイマー（QTimer）を使用して、一定の間隔で選択範囲をチェックし、変更があった場合に処理を実行します。
利点
複雑なロジックを必要とせず、簡単に実装できます。
欠点
リアルタイム性に劣り、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
例

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit, QLabel, QVBoxLayout, QWidget
from PyQt5.QtCore import QTimer, QTextCursor

class TimerCheckExample(QWidget):
    def __init__(self):
        super().__init__()

        self.text_edit = QPlainTextEdit()
        self.label = QLabel("選択範囲が変更されました")

        layout = QVBoxLayout()
        layout.addWidget(self.text_edit)
        layout.addWidget(self.label)
        self.setLayout(layout)

        self.previous_selection_start = 0
        self.previous_selection_end = 0

        self.timer = QTimer(self)
        self.timer.timeout.connect(self.check_selection_change)
        self.timer.start(100)  # 100ミリ秒ごとにチェック

        self.text_edit.setPlainText("ここにサンプルテキストがあります。\n選択範囲を変更してみてください。")

    def check_selection_change(self):
        cursor = self.text_edit.textCursor()
        current_selection_start = cursor.selectionStart()
        current_selection_end = cursor.selectionEnd()

        if (current_selection_start != self.previous_selection_start) or (current_selection_end != self.previous_selection_end):
            self.label.setText("選択範囲が変更されました")
            self.previous_selection_start = current_selection_start
            self.previous_selection_end = current_selection_end

app = QApplication(sys.argv)
window = TimerCheckExample()
window.show()
sys.exit(app.exec_())

QPlainTextEdit::textChanged() シグナルと組み合わせて使用する

テキストが変更された時に、選択範囲も変更される可能性が高いので、textChanged()シグナルを使用し、その中で選択範囲の確認をします。
利点
テキスト変更に伴う選択範囲の変更を正確に捉えられる。
欠点
テキストの変更がない選択範囲の変更を捉えられない。
例

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QPlainTextEdit, QLabel, QVBoxLayout, QWidget
from PyQt5.QtCore import QTextCursor

class TextChangedExample(QWidget):
    def __init__(self):
        super().__init__()

        self.text_edit = QPlainTextEdit()
        self.label = QLabel("選択範囲が変更されました")

        layout = QVBoxLayout()
        layout.addWidget(self.text_edit)
        layout.addWidget(self.label)
        self.setLayout(layout)

        self.previous_selection_start = 0
        self.previous_selection_end = 0

        self.text_edit.textChanged.connect(self.check_selection_change)

        self.text_edit.setPlainText("ここにサンプルテキストがあります。\n選択範囲を変更してみてください。")

    def check_selection_change(self):
        cursor = self.text_edit.textCursor()
        current_selection_start = cursor.selectionStart()
        current_selection_end = cursor.selectionEnd()

        if (current_selection_start != self.previous_selection_start) or (current_selection_end != self.previous_selection_end):
            self.label.setText("選択範囲が変更されました")
            self.previous_selection_start = current_selection_start
            self.previous_selection_end = current_selection_end

app = QApplication(sys.argv)
window = TextChangedExample()
window.show()
sys.exit(app.exec_())

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